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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

内定をもらえる人の会社研究術とは

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うちの会社のこと、調べてないんだよね

面接官の不満NO.1は「うちの会社のこと、調べてないんだよね」(出典元:望月実&花房幸範『内定をもらえる人の会社研究術』阪急コミュニケーションズの帯より)

ブログの最初にこの言葉を引用したのは、職業訓練の講師をしていた際に、訓練生と話をしていてよく感じていたことだからです。そして、私自身が家庭の事情でソフトウェア会社を何もわからないまま受験したことへの反省の意味もあります。

私の場合は大学院博士課程に進学して研究者になるつもりでした。ですが、家族が勤務していた会社の破綻に伴い、大学院 修士2年生の4月から急遽、就職活動をすることになりました。

その際、「大学院に在籍する日本文学研究者」「女子学生」「就職活動当時は23歳。就職時は24歳になる見込み」という条件でした。新卒採用の年齢制限や学部条件など、応募の時点の条件に外れてしまうことが大半で応募ができないという壁がありました。

※記憶が曖昧ですが、大学院修士が応募する場合は、理系修士でないと応募できなかったと記憶しています。

私の場合は、

  • 指導教官が「これからはITの時代だから、日本文学の研究者になっても、パソコンはしっかり学んだほうがいい」と日頃おっしゃっていたのと、
  • IT関連企業に問い合わせをしたところ、「学部卒のお給料でよければ応募していいよ」という会社が多かったので、

パソコンはワードの初級、エクセルは入力とsum関数しか使えないにもかかわらず、ソフトウェア会社のプログラマーに応募し始めたのでした。

ITスキルが低すぎる上に、自己分析も業界分析もエントリーシートも準備なしの、ぶっつけ本番で就職活動を始めました。SPIなどの試験はいきなり受験して、受験していく中で傾向と対策を立て、慣れるようにたくさん受験するという状況でした。

しかし、驚くべきことに大学院修士2年生の7月4日に内定通知が来ました。プログラミングの経験がないにもかかわらず、翌年からプログラマーとして働くことになったのです。

当時の私のマイナス要因をまとめれば驚くほどあります。

  • 業界分析ができていない
  • プログラミングしたことがないのにプログラマーに応募している
  • ITスキルがないのに大学院修了見込みなので給料のスタートが早くなってしまう
  • 理工学部や経済学部など仕事に結びつきやすい学部ではなかった

などです。

そこで「どうして学生時代の私が内定通知を夏休み前ぎりぎりにもらえたのか」を思い返してみました。

どうしてプログラミング未経験者に内定が出たのか?

私の周りの方の弁によりますと、

  • 情報をたくさん調べて分析し文章にすることはかなり好き。
  • 内気であるが大胆さもある。
  • 普通の人の斜め上を行く発想がおもしろい。
  • 体力がないのに行動力がある。
  • 無理そうなことでもどうしたら実現できるのか考え、あきらめない心で取り組むことができる。

とのことを言われました。

情報を地道に収集して整理することは、日本文学とはいえ研究者としての訓練を受けていたので、とても楽しいこと。なのですが、新卒の方ですと学校のレポートを書くのも辛い、と感じる方が多いようです。いろいろな企業の面接を受けるうちに、他の方の受け答えを聞いて「ああ、会社の人が採用したいと感じる人の受け答えはこうなのか」と傾向が見えてきました。

自分の強みは、面接してくださった人事の方のツッコミ度合い・反応をみて分かってきました。

私の場合は

  • ITスキルのなさ下手に取り繕うよりも、入ってからどんな技術を使ってどういう事業を行いたいのか、
  • 今、たりないITスキルを新人一年目のうちにどのように習得し、他の社員の人以上に働くか

など自分なりに考えた改善策を面接で言ってみました。人事の方は面倒見がいい方が多いようです。不合格になった場合も、アドバイスを下さることがわりとありました。

私が大学院2年の4月から応募を始め、5月から試験を受け始め、5月後半から面接を受け始め、という劣勢でした。運良くソフトウェア会社から7月頭に内定をいただけたのは、人事の方のアドバイスが大きかった気がします。

学生時代にがんばって勉強したことが、就活の役に立った

学部の学生の方があまり経験していない研究者としての訓練は、私の貴重な経験。だから就活に活かすんだと思い、面接ではこんな話をしました。

「プログラミングのように理系の職業であっても、私の先行している日本文学の研究であっても、真実を追求するために地道にトライアンドエラーをするのは同じだと私見では思います。

もちろん表面的な取り組み方・手段は違いますが目指すべきゴールは手段が手段・プロセスが違ったとしても本質的には同じではないかと考えています。ですので、日本文学専攻だからプログラマーの仕事ができないとは考えておりません。

むしろ研究でつちかった地道に取り組む力、資料を読解する力、文章を各スキルは御社にとっても他の方とは違った強みを発揮して貢献できると考えております。」とお伝えしました。

人事の方が「たしかにそうだね。」と、いってくださったのが嬉しい経験でした。しかし、内定をいただくまでに20社落ち続け、さすがに欝っぽくなってくじけました。

それにもかかわらず、「自分が今まで取り組んできたことは、別の分野であっても無駄ではない」という強い気持ちを保てたのは、大学での学問を頑張ったという根拠なき自信だったように感じます。

私の就活体験談を訓練校で話すと「プログラミング初心者でもやりかた次第ではなんとかなるんですね」といっていただきとても嬉しく感じました。

ただし、私のように内定に必要な準備がよくわからないまま、面接を落ちつづける遠回りをしないほうが良いと思います。

そのため、わかりやすく内定をもらえる人材になるための会社研究術が書かれていた、以下の本『エントリーシートで目にとまる 面接で「できる! 」と思わせる 内定をもらえる人の会社研究術』を読んで感激した次第です。

『内定をもらえる人の会社研究術』とは

望月実・花房幸範『エントリーシートで目にとまる 面接で「できる! 」と思わせる 内定をもらえる人の会社研究術

参考:著者(望月実 氏)による本の解説
http://ac-intelligence.jp/naitei/index.html

この本は以下のような構成になっています。

  1. 第1章 内定を取るための就活戦略
  2. 第2章 会社研究のポイント
  3. 第3章 就活人気企業を研究する

第1章、第2章は、私が訓練校の講師を6年してきた中で、就職活動をする際に知っておいてほしい、と感じていたことが書かれていました。

特に学生の方・転職活動をする若手の方に読んで欲しいのは、P,35の「良い志望動機と悪い志望動機」の箇所です。著者が良い志望動機と悪い志望動機の具体例を書いています。良い・悪いの差は何なのかをぜひ読んだ方は考えてみていただきたいなと感じます。

またP,53の「面接で突っ込まれたときの対処法」も、ぜひ読んでいただきたい箇所です。だんだん年令を重ねても、仕事の上で自分の意見・発言・行動・作品を他社から突っ込まれる、というのはあると思います。突っ込みへの切り替えしをしないといけない際にどのように対応するかで仕事ができる人材か見分ける判断になるのではないかと思います。

わからないのに知ったかぶりをしてしまうと矛盾が出てしまいます。冷静に面接官の話を受け止めて『内定をもらえる人の会社研究術』に紹介されている対応を参考にされると良いかと思いました。

第2章の会社研究の方法は、決算書や損益計算書を読むための会計基礎知識が紹介されています。就活生だけでなく、社会人としてすでに働かれている方にも参考になると思います。

第3章は、就活人気企業を研究するというテーマです。「パナソニックVSソニー」「リクルートVSベネッセ」「コマツVSクボタ」など、業の分析が紹介されています。

第3章は、

  1. ○○社と□□社の歴史
  2. 主要な数字と株主構成
  3. ビジネスモデルを分析する
  4. 決算書を比較する
  5. 企業理念と経営戦略
  6. 分析に使用した資料

の6つの項目で構成されています。

私が未だに会計に弱い部分がありますが、会社の数字を理解することで経営が見えます。人気企業の数字の分析を読むのは、ワクワクしてしまいました。どのような情報をもとにして、公認会計士である著者が分析をしたのか、という点も興味深かったです。

人気企業の財務状況はどうなのか、現在の事業と数字がどのように関連しているのか。就活生だけでなく、現在の経済を知る上でもよいのではないでしょうか。人事の方は、ちょっとした所もよく観察されていると思います。ささいなことであってもご注意されてくださいね。

今回、紹介した本

望月実・花房幸範『エントリーシートで目にとまる 面接で「できる! 」と思わせる 内定をもらえる人の会社研究術

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