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「情報システム部門」しかお客様がいない営業への提言と取り組んで欲しい3つのこと

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「他社の製品と比較すると、性能や機能は大幅や向上し、運用管理も大幅に自動化されて楽になります。」

情報システム部門にこのような提案をしても容易には受け入れてはくれないだろう。それは、情報システム部門が「変わらないこと」と「コストが下がること」という、2つの行動原理に支えられているからだ。

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「変わらないこと」とは、いままでの開発や運用方法、アーキテクチャーをできるだけ変えないか、変えるとしても過去のやり方をできるだけ継承しながら、確実、安全に、そしてユーザーに変わることを意識させないように徐々にすすめたいと考えているということ。その背景には、彼らは減点でしか評価しかされないという企業文化がある。

安定稼働して当たり前で、トラブルでシステムが停止したり、処理に不具合が生じたりしたら、それは直ちに彼らへのクレームになり、減点評価されてしまう。ならば安定しているシステムはできるだけ変更を加えず、その安定を維持することが得策だと考える。

新しいことは、不確実性を増すことになり、これまで築いてきた「安定」が維持できなくなってしまうかもしれない。そのため、たとえ大きなメリットが期待できるとしても、不確実性が増すような取り組みには、できるだけ手を出したくないと考えてしまう。

また、コストを下げたいとも願っている。ある大企業の情報システム部門のミッションに「ITコストを削減すること」と明記されていて、正直驚いた。もちろん安定を犠牲にすることはできないから、不確実性を増すような手順の変更や新しい取り組みには慎重だ。例えば、自動化で仕事が楽になるとしても、そのための新たなコストが発生することや運用方法が変わることには抵抗がある。つまり、いまのやり方や安定をそのままにコストだけを下げたいと願うわけで、それは単金の引き下げや値引き要求になるだけで、新たな価値を生みだすことはない。

また、コストを下げることが、情報システム部門の予算を減らすことであってはいけない。もしそんなことをしてしまえば、自分たちの社内における存在感を小さくしてしまう。つまり、コストを減らすとは、それを原資に自分たちにメリットがあり、情報システム部門内部で意志決定できることに使いたいと考えるからだ。

もちろん新しいことに果敢にチャレンジしている情報システム部門もあるが、未だ多くの情報システム部門が「変わることなくコストを下げる」ことを願っているのではないか。

情報システム部門しか顧客がいないとすれば、この現実に対処しなければならない。必然的に「新しいこと」を提案しても、それが「変わることなくコストを下げる」という基準で判断されるから、ビジネスを大きくするにも選択肢は限られる。しかし、見方を変えれば、「何も変える必要はなく、コストだけ下げることができます」という提案ができるのであれば、きっと受け入れてくれるだろう。しかし、「何も変える必要はなく、コストだけ下げることができます」は消耗戦になる。規模の経済で徹底してコストを下げ、同じやり方で横展開できてこそ旨味がある。それは何かを見つけ出すことが、情報システム部門を対象とした営業戦略となるが、これは、かなり覚悟のいることだ。

一方、経営者や事業部門に対しては、情報システム部門とは違う3つのアプローチが考えられる。

まず、経営者に対し、「情報システム予算を大幅に削減したくはありませんか」と持ちかけるアプローチだ。どうするかではなく、結果としての魅力や価値を伝える。情報システムなら拒否するようなメインフレームからオープンシステムへの移行、自社所有のシステムからパブリック・クラウドへの移行などを仕掛ける場合は、このやり方が有効だ。

ただ、システムの運用管理も変われば、アーキテクチャーも変わるので、情報システム部門から強い反発があるだろう。それでも、経営者が強権を持っている企業の場合は、情報システム部門は対応せざるを得ない。もちろん、情報システム部門との関係は難しいものになる。しかし、技術面で十分な能力を発揮し、経営者に対しても、情報システム部門を評価するように促す配慮があれば、感情面でもうまく対応できるはずだ。結果として情報システム部門の成果となるので、彼らの社内での評価は高まり、提案した企業への評価も高まるだろう。

ふたつ目は、経営改革や業務改革を提案すること。そうなれば、既存システムでは対応できず、新たなERPの導入や新しい業務システムの開発などの案件を手に入れられるチャンスが生まれる。

情報システム部門も新たな予算を付けてもらえるチャンスだ。彼らも、いろいろと変えたい、変わりたいは潜在的にはあるが、「減点評価」のプレッシャーから自ら言い出しにくい。しかし、経営や業務からの要請であり、予算も新たに与えられるというまたとないチャンスとなれば積極的に動いてくれるだろう。

トップからの強権で、メインフレームをオープンに移行する、オンプレのシステムをパブリック・クラウドに移行するというだけでは、何ら新たな付加価値は生まれず、これまで同様の「安定」を求められるし、不確実性が高まり、「安定」の保証は得られない。そんなことにモチベーションが上がらない。しかし、経営や業務から「新しいこと」を求められると言うことは、不確実性はある程度許容されることが前提となる。なによりも、保守や運用などのどちらかと言えば後ろ向きで、新しいことができない仕事から、「新しいことができる」というモチベーションは情報システム部門の士気を高める。

最後のアプローチは、新規ビジネスの起ち上げだ。ITで効率化やコスト削減を行うのではなく、ITを差別化の武器として事業競争力を高めようという提案だ。ITを前提としたデジタル・ビジネス、あるいは、IoTやAIを駆使した事業サービスの革新などを提案し、新たなビジネスをお客様と共に立ち上げよういう取り組みだ。

このような場合は、情報システム部門との協力や連係は必要となるが、彼らが主導することはない。むしろ、事業主体となる事業部門がイニシアティブを取り、彼らと協業するといった体制が現実的だ。当然、事業への精通や積極的な関与、技術的な優位性を持って対応しなければならない。また、情報システム部門に対しては、事業部門のスタッフとして指導的な立ち位置が求められる。

情報システム部門をお客様と考えるなら、彼らの行動原理を正しく理解し、それに従ってアプローチしなくては、ビジネス・チャンスを手に入れることはできない。また、経営や事業部門にも積極的にアプローチし、かれらの価値を高めるように取り組んでゆくことだ。それが結果として、彼らの信頼を勝ち取り、安定したビジネスの源泉になる。むしろ、そちらに重心を置かなければ、新たなビジネス・チャンスを生みだすことは容易ではないことを理解しておく必要があるだろう。

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【新規】機械学習でできる3つのこと p.17
【更新】AIと人間の役割 p.18
【新規】機械学習の仕組み/学習が不十分な状態 p.56
【新規】機械学習の仕組み/学習が十分な状態 p.57
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