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自分たちに「何ができるか」なんて考えるのは後回しにしよう

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「私たちの製品やスキルで何ができるかを考えたのですが、なかなかいい提案ができなくて、こういう場合どうすればいいのでしょうか?」

いま若手営業のコーチをしている。彼らの課題を話し合い、時に同行営業して、顧客応対の仕方にアドバイスを与える。時に、私が彼らに代わって話をしてお客様の言葉を引き出し模範を示す。

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そんな取り組みの中で、請けた相談なのだが、これではお客様の心を掴むことは難しいだろうと答えた。

営業の最初の一歩は、お客様に「相談したいと」と思わせることだ。この人なら助けてくれる、よい知恵を与えてくれる、自分のために動いてくれると「感じてもらう」ことだ。それができてはじめて、具体的なビジネスのきっかけがつかめる。そのために大切なことは、「何ができるか」ではなく「何をすべきか」を考え、それをお客様に問いかけることだ。

自分たちにできるかどうかは一旦棚上げし、このお客様が、自分の抱える課題を解決し、成功するためには何をすべきなのかを徹底して考え抜くことだ。そして、それをお客様に提示し議論することだ。

また、お客様の「あるべき姿」は何かを問うことも忘れてはいけない。例えば、以前別仕事でユーザー企業の情報システム部長からこんな相談を請けたことがある。

「いま使っているメインフレームをやめたいのだが、どうすればいいだろう。」

「メインフレームをやめることが目的ですか?それともコストを下げることですか?いまメインフレームで安定稼働しているシステムをそのまま移管しても、未知のリスクを抱え込むだけの話しですよ。システムに新たな価値や機能を与えず、移行だけに数億円のコストをかけ、移行したら移行したで、これまでの安定稼働は保証できないなんて、リスクが高すぎるのではありませんか。」

「そのとおりです。たがらこまっています。目的はコスト削減です。でも、そのためにはメインフレームをやめるしかないじゃないですか。」

「おなじメインフレームを使い続け、業務システムもそのまま動かして、コストが安くなるというのが一番良いと言うことですね。」

「そのとおりです。」

ということで、この「あるべき姿」を実現するためには「何をすべき」かを徹底して検討し、アクションを起こした。詳細は省くが、この会社が年間3億円以上かかけていたメインフレームのアウトソーシング費用を2億円以下に下げることに成功した。

お客様は「あるべき姿」の実現を望んでいる。この実現のために「何をすべきか」を考えて、お客様に示してこそ、お客様はあなたをこちら側の人間だと感じてくれるようになる。どうやるかの手段は「何をすべきか」を明らかにして、その実現のために自分たちには「何ができるか」と手段を考えるのが、正しい筋道と言えるだろう。

「そんなことすると、案件を失うかもしれません。」

それは仕方のないことだ。しかし、そんなネガティブに考える必要もない。こういう態度で接していれば、例えこの案件が実らなくても、「ところで、実はこんなことに困っているんだが、相談にのってもらえないだろうか」という話しが出てくることは多い。「何をすべきか」についてお客様と向きあうことは、新たな案件発掘につながることがある。

仮に今回はうまくいかなくても、そんな関係を築けた相手からはまた相談にのって欲しいという連絡を受けることになるだろう。このようなお客様との関係ベースを拡げていけば、案件の発掘に困ることはない。

「そんなうまくいきませんよ。」

きっとそういう人がいるだろう。でもね、やってごらんよ。きっとこの真実に気付くと思いますよ。世の中、そんな複雑じゃありません。

最新版【3月版】を更改しました。

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プラットフォーム&インフラ編
【新規】従来システムとハイパーコンバージド・システムとの違い p.136
【新規】ハイパーコンバージド・システムのメリット p.137

ビジネス戦略編
【新規】デジタル・トランスフォーメーションの定義 p.18
【新規】ITをビジネスの成果に結びつける考え方 p.48
【新規】事業会社の担うべき責任 p.49
【新規】注意すべきITベンダー・SI事業者の行動特性 p.50

サービス&アプリケーション・先端技術編/AI
【新規】人間は何を作ってきたのか p.10
【新規】知的介助: amazonの戦略 p.32
【新規】学習データと結果の関係 p.93

サービス&アプリケーション・先端技術編/IoT
【新規】デジタル・コピー/デジタルツイン p.25
【新規】amazonのデータ収集戦略 p.26
【新規】IoTビジネスはモノをつなげるのではなく物語をつなげる取り組み p.42
【新規】様々な産業に変革を促すデジタル・トランスフォーメーション p.95

運用と開発編
【新規】変わる情報システムのかたち p.6
【改訂】アジャイル開発の基本構造 p.17
【改訂】スクラム:自律型の組織で変化への柔軟性を担保する p.25

テクノロジー・トピックス編
【新規・改訂】armについての解説を新しい内容に置き換えました p.19-35

ITの歴史と最新トレンド編
【新規】量子コンピュータとは何か p.4

クラウド・コンピューティング編
*変更はありません

サービス&アプリケーション・基本編
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その他
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