オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚で分かるシンクライアントと2つの仮想化

»

スクリーンショット 2017-11-02 7.06.07.png

「デスクトップ仮想化」は、サーバー仮想化と同様の技術でサーバー上にユーザー個別の「仮想PC」を稼働させ、ネットワークを介して「仮想PC」の画面を手元のディスプレイに転送・表示させ、キーボード、マウスなどの入出力装置を利用できるようにする技術です。「VDI(Virtual Desktop Infrastructure)」とも呼ばれています。ちなみに「デスクトップ」とは、アイコンが並ぶPC画面のことです。デスクトップ(desktop)とは机の上、そこに置かれたアイコン(icon)とは文房具や書類の象徴と言うわけです。

「デスクトップ仮想化」をクラウド・サービスとして提供するのがDaaS(Desktop as a Service)です。

仮想PCでは、普通のPCと同様にWindowsを動かし、WordやExcelを使い、作成した文書や表は、自分の仮想PCに割り当てられたストレージに保存します。ユーザーは、手元にあるPCのディスプレイ、キーボード、マウスを操作しますが、実際に使うプロセッサーやストレージはサーバー上の仮想PCに割り当てられたものです。

一方、「アプリケーション仮想化」は、PCの全機能ではなく特定のアプリケーションだけをサーバーで動かし、ネットワーク越しに複数ユーザーで共用する技術です。さらに、ネットワークがつながっていないときでも操作を継続できるようにしたソフトウェアも登場しています。

例えば、MicrosoftのIE(Internet Explorer)8でなければ動かないアプリケーションがあり、同時に最新IEも利用したいとき、IE8を「アプリケーション仮想化」で使用し、PCでは最新IEを動かせば対処できます。また、コンプライアンス上データやアプリケーションを持ち出せないアプリケーションの場合に、自社のデータセンターに設置されているサーバーでこれを動かし、その操作を外部から行うといった使い方もできます。

どちらも管理されたデータセンターに設置されたサーバーで動かすため、データの持ち出しは困難です。また、盗難や置き忘れで手持ちのPCがなくなってしまっても、管理者がそのPCから仮想PCへのアクセスを遮断してしまえば使えなくなります。さらに、忘れがちなバックアップやセキュリティ対策など、運用管理者が、サーバーに対して一括でできることから、安全安心の担保、運用管理負担の軽減にも役立ちます。

また、自宅で仕事をする場合、自宅のPCからネットワークを介して会社で使っている仮想PCのデスクトップを呼び出せば、職場と同じ環境をそのまま使えます。これは、災害や事故でPCが破損してしまっても使えることから、事業継続の観点からも注目されています。

スクリーンショット 2017-11-02 7.06.54.png

「デスクトップ仮想化」と「アプリケーション仮装化」は、手元のPC側にOSやアプリケーションを導入する必要はありません。ならば、ネットワークに接続でき、画面表示や入出力操作の機能を動かすことができるだけの必要最小限のメモリやプロセッサーでも十分です。また、プログラムや作成した文書や表などのデータをPC側に保管する必要がないのでストレージも不要です。

そこで、「デスクトップ仮想化」と「アプリケーション仮装化」の使用を前提に機能を最小限に絞ったクライアントPCが作られました。これをシンクライアント(Thin Client)と言います。Thinとは「やせた」という意味です。ちなみに、通常のPCをFat(太った)Clientと呼ぶことがあります。

最近では、タブレットやスマートフォンのアプリで、シンクライアントの機能を実現しているものも登場しています。

シンクライアントは、高い処理能力や大容量のストレージを搭載した一般のPCに比べて安価です。また、ユーザー個別の設定やアプリケーション、データはサーバー側で管理していますので、仮に機械が故障しても、復旧作業を行わず取り替えるだけで使用を再開できるのでユーザーの管理負担は少なくてすみます。

また、シンクライアントにはデータは保管できませんから、サーバーに接続する手順が分からなければ、盗難に遭ってもデータが盗まれる危険はありません。セキュリティの観点からも安心です。

「シンクライアント」は、このような機能を絞り込んだPCの名称として使われていますが、「シンクライアントが利用できる仮想化方式」すなわち、「デスクトップ仮想化」と「アプリケーション仮装化」の総称としても使われる場合があります。

最新【11月版】ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LIBRA_logo.png

================================
・コンピューターやITのトレンドについて新しいチャートを追加しました。
・人工知能研究の新しいトピックを追加しました。
・社員研修の教材として「チームを元気にするリーダーシップとマネージメント」を追加しました。
・人工知能、IoT、インフラの解説を追加・改訂致しました。
================================
ITの歴史と最新トレンド
【新規】コンピューターとは何か p.3
【新規】コンピューター誕生の歴史 p.4
【新規】歴史から見たITトレンド p.5

人工知能とロボット
【新規】コレ1枚でわかる人工知能 p.10
【改訂】人工知能の3つの役割と人間の進化 p.11
【改訂】コレ1枚でわかる人工知能とロボット p.12
【改訂】これまでの機械学習とディープラーニング p.43
【新規】敵対的生成ネットワーク GANs  p.72
【新規】深層強化学習 p.73
【改訂】自律走行できる自動車 p.105
ノートに記載の解説を改訂・追加しています。

IoT
【新規】M2MとIoT p.7
【新規】IoTと関連テクノロジー p.16
【新規】モノのサービス化の本質 p.39
【新規】IoT World Forumのリファレンス・モデル p.53
【新規】IoTの開発や実行環境 p.55
【改訂】LPWAネットワークとは p58
【改訂】LPWAネットワークの位置付け p.61
【改訂】LPWA主要3方式の比較 p.61
【改訂】ガソリン自動車と電気自動車(部品点数ほか) p.90
【補足】ノートに記載の解説を改訂・追加しています。

ビジネス戦略
【新規】デジタル・トランスフォーメーション p.4
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは p.6
【新規】何が起こっているのか p.29
【新規】IT事業者の働き方改革 p.30

クラウド・コンピューティング
【改訂】クラウドを使うことの狙い p.24

サービス&アプリケーション・基本
・変更はありません。

サービス&アプリケーション・開発と運用
【新規】情報システム部門に期待される役割 p23

インフラストラクチャー
【改訂】マイクロソフトの新戦略 p.59
【新規】仮想マシンとコンテナの稼働効率 p.95
【新規】サイバーセキュリティについての解説を追加(15ページ) p116-130
【改訂】コンバージド・システムとハイパーコンバージド・システム p.138-139
【補足】ノートに記載の解説を改訂・追加しています。

テクノロジー・トピックス
【新規】ARMについての解説を刷新 p.19-24

研修教材
【一般社員研修】チームを元気にするリーダーシップとマネージメント

LIBRA_logo.png

Comment(0)