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プレゼンテーションでの「わかりやすさ」の3原則

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「わかりやすい説明を心がけています。」

私の講義のモットーだ。ただ、わかりやすさというのは、相手によりけりであり、相手の知識や経験のレベル、つまり、相手のコンテクストにどれだけ寄り添うかと言うことでもある。

例えば、大手企業のCIOを相手にしたイベントで、前日投票がおこなわれたAKB48総選挙のホットな話題を持ち出し、掴みを獲ろうとしたが、「なんのことやら」と場がしらけてしまったという話しがある。

相手の関心事や知識のレベルを想像して話題を用意しなければ、せっかくのメッセージもうまく伝わらないことは容易に想像がつく。

難しい内容を、その前提知識がない人にどう伝えるかは、特に悩ましい。例えば、今日で2回目となる「新入社員のための最新ITトレンド研修」なども、なかなかハードルが高い。そんなときに気をつけていることは、次のような3つの原則だ。

原則1:伝えたい本質を明確にする

知っていること、調べたことを全て伝えようとすると、何が本質で、なにが補足的なことなのかが分からず相手を混乱に陥れる。例えば、やたらと1ページに文字が詰め込まれたチャートなどはその典型だ。こういう資料を見ると、この人は自分でも何が大切なメッセージなのかが分かっていなのだと思えてしまう。

また、「漏らさず伝えなければいけない」と言う使命感に燃え、ゴチャゴチャとこれでもかと書き込んでいる資料もある。お役所や元公社系の企業などに多い。

いずれにしろ、このような資料や説明は、本当にわかりにくい。「情報は全て提供したから後は自分で整理してね」であり、「わかる」かどうかは、あなた次第と丸投げしているに等しい。

また、1ページにひと言、あるいは、1つの図形要素だけを描き、やたらとページが多いプレゼンテーションも、わかりにくい。その人が、そのひとつの要素をきっかけとして自分の考えをどんどんと拡げ、再びその結論として、その文字や図形に戻ってくるのなら、なるほどと思えるし、たいした展開力だと感銘もする。しかし、そこに書かれていることと、語っていることの情報量が同じで、だだ字幕のようにチャートを使っている場合は、ああなんて薄っぺらだろうと思うし、ゴチャゴチャ・チャートと同じで、本質はあなたが見つけてくださいというのとたいして変わらない。

この1枚で「これを伝えたい」。そのために一番大切な言葉や図形は何かを追求してこれに絞り込む。補足の情報は思い切って捨てる潔さが必要だ。

原則2:相手のコンテクストにより沿う

冒頭に申し上げたとおり、CIOにAKB48のコンテクストは難しいだろうが、新入社員ならうまくいくだろう。ただ、この手の芸能モノには趣味の違いや好き嫌いがあるので扱いは難しい。だから、もっと一般的なこと、例えば動物やスポーツ、学生時代に習う有名な歴史的出来事などを使うといいだろう。あるいは、相手がひとつの企業の社内研修なら、その会社に関わる製品やサービス、関心事などを話題にする。そいうことをたとえ話として持ち出すことで相手の理解を助けることになる。

もちろん、これは諸刃の剣で、こちらの理解と相手の理解が違っていると、誤った解釈をもたらことや混乱をきたすこともある。そんなときには、相手の反応を見ながら、うまく伝わっているかどうかを感じ取りながら言葉を拾ってゆく必要がある。

原則3:自分が知らないと言うことを自覚させる

自分が知りたいと思わなければ、講演者の言葉など頭の上を通り過ぎてしまう。だから、彼らが始めて聞くような話しで驚かせることもひとつの方法だ。例えば、新入社員を相手にするときは、講義の冒頭でAmazon GoやAmazon Echoのビデオを流し、世の中はこんなことになっているけど知ってた?と投げかける。あるいは、難しい事前課題をやって来てもらって、如何に自分は知らないかを自覚してもらう。また、講義の途中で「質問を考えるグループ・ディスカッション」をおこなう。4名くらいで、講師への質問を考えてもらうのだが、それぐらいの人数でやると、よく勉強している人とそうでない人が必ず居て、勉強していない人は「まずい」と思いちゃんと聞かなくては想い、勉強している人は「よーし」と想い、さらに学習へのモチベーションが高まる。

こんな工夫も、知りたいという気持ちを高め、考えながら聞いてくれるので理解がすすみ、結果として「分かりやすい」となる。

ひとつの事例を紹介しよう。

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このチャートは、機械学習と推論についての関係を説明したチャートだ。まずはこのように、全体の関係を示す。例えとしては動物だ。身近なアイコンとして心の壁を取り払ってくれる。

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次はこのチャート。機械学習の仕組みについて解説している。前ページで全体を示し、大きな構造を把握させる。続けてその詳細を伝えようという作戦だ。このように「先ず全体を示し、次第に詳細に落とし込む」は、プレゼンテーションの王道だ。

このチャートで説明が難しいのは「特徴量」だ。これは、統計確率論的アプローチとディープラーニングの本質的な違いを説明するためには、欠かすことのできないキーワードでもある。詳細なアルゴリズムの解説は、今日伝えるべきメッセージではないと割り切って一切省いている。専門家に言わせれば、これでは不十分だと言うことになるのだろうが、今日の研修のゴールはそこにはないと割り切って、この程度の内容に絞り込んだ。

スクリーンショット 2017-09-04 8.37.42.png

次は、推論についてのチャート。全体のストーリーは犬と猫で統一しているから、これを外してはいけない。

この3枚によって、機械学習と推論、統計確率論的アプローチとディープラニーニングの本質を伝えようというわけだ。

「わかりやすさ」の追求は、本質を見極める取り組みでもある。まずは、自分が納得できる「幹」と「枝葉」の区別を整理すること。そして、話す相手のコンテクストに寄り添う想像力、相手に聞きたいと思わせる演出。そんな3つの原則を心がけている。

おまけ

二枚目のチャートを描くために作った下書き。「Vienna(6歳の孫)が描いたの?上手ねぇ」と家人に言われてしまった(笑)。

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受付開始!ITソリューション塾・第26期

古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなりません

  • 古い知識のままで、知っているつもりになってはいませんか?
  • 新しい言葉を知ってるだけで、知っているつもりにはなっていませんか?
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「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思っています。

10月4日(水)より開催される「ITソリューション塾・第26期」の受付を開始致しました。内容も一部変更し、「ITでビジネスを革新する」をテーマに、ビジネスの課題にITをどのように活用してゆけばいいのか、また、情報システム部門やSI事業者は、いまの時代の変化にどのように向きあえばいいのかについても考えてゆきます。

講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂けます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。

第26期 ITソリューション塾

  • 日程 2017年10月4日(水)〜12月12日(火) 18:30〜20:30
  • 回数 全11回
  • 定員 60名
  • 会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
  • 料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む

詳しくは、こちらをご覧下さい。

大阪開催決定!新入社員のための最新ITトレンド・1日研修

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こんな話をする新入社員は少なくありません。もちろん経験のない彼らが仕事をうまくこなせないのは当然のことです。しかし、「言葉が分からない」というのは別の問題です。

IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることなく現場に送り出されてしまいます。そのため、お客様が何を話しているのか分からないままに、曖昧な応対しかできず、自信を無くしてしまう、外に出るのが怖いなどの不安をいだいている新入社員も少なくないようです。

そんな彼らに、ITの最新トレンドを教え、ITがもたらす未来への期待、そこに関わることへの誇りを持てるようにと企画しました。

参加費が1万円なら、懐の寂しくても自腹で参加できるはずです。また、既に新入社員研修の予算を使い切った企業でも、何とかやりくりして頂けるのではないでしょうか。そんな想いで、この金額にしてみました。また、100ページを超えるテキストは、パワーポイントのままでロイヤリティフリーで提供させて頂きます。

*大阪での開催のご希望が多数寄せられたこともあり、大阪でも開催させて頂くこととなりました。

実施内容

  • 【大阪】 9月07日(木)10:00〜17:00 *追加*
    • *昼休み1時間、休憩随時
  • 東京会場:株式会社アシスト・本社1階セミナールーム/市ヶ谷
  • 大阪会場:株式会社アシスト・大阪セミナールーム/グランフロントタワーA
  • 定員:50名/回
  • 費用:1万円(税込10,800円)
    • 新入社員以外(例えば、他業界からIT業界に転職された方や人材開発・研修担当の方)で参加されたい場合は、3万8千円(税込 41,040円)でご参加いただけます。
  • 内容:
    • ITビジネスの歴史と最新トレンド
    • クラウド・コンピューティング
    • ITインフラと仮想化
    • サイバーセキュリティ
    • IoT
    • AIとロボット
    • アジャイル開発とDevOps
    • これからのITとITビジネス

詳しくはこちらをご覧下さい。

最新版(7月度)をリリースしました!

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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最新版【2017年7月】をリリースいたしました。

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今月度は、AIとIoTを中心に大幅に資料を追加しています
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ビジネス戦略編
【新規】3つのIT:従来のIT/シャドーIT/バイモーダルIT p.23
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】IoTとAIの一般的理解と本当のところ p.4
【新規】人工知能の3つの役割と人間の進化 p.12
【新規】自動化から自律化への進化 p.16
【新規】スマートマシンの必要性 p.16
【新規】人工知能のロボットへの実装 p.24
【新規】専門家と人工知能 p.26
【新規】人工知能は知的望遠鏡 p.27
【新規】ITと人間の関係の変遷 p.33
【新規】これまでの学習とディープラーニング p.42
【新規】ルールベースと機械学習 p.43
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】IoTとAIの一般的理解と本当のところ p.15
【新規】従来のやり方とIoTの違い p.18
【新規】LPWAとは p.51
クラウド・コンピューティング編
変更はありません
サービス&アプリケーション・基本編
【新規】ERPシステム/パッケージとクラウドでの利用形態 p.11
【新規】SOAの狙いと成果 p.27
開発と運用編
【更新】ウォーターフォール開発とアジャイル開発 p.17
インフラ&プラットフォーム編
【新規】認証基盤 p.117-118
【新規】認証に関わる課題 p.119
【新規】シングルサインオンとフェデレーション p.120
【新規】Apache Spark p.179
トピックス編
変更はありません
ITの歴史と最新のトレンド編
変更はありません

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