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10年後の未来から逆引きし、ビジネスのシナリオを描く

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秋川雅史の「千の風になって」が大流行した2007年、米国ではAppleがiPhoneを発売しました。そして、GoogleはAndroidを発表しています。それから10年が経ちました。もはやスマートフォンは日常に欠かせない存在として広く普及し、ビジネスの基盤として大きな役割を果たしています。

2006年にボーダフォンを買収し携帯電話事業に参入したソフトバンクが、2007年、自社の契約回線への音声通話を無料にするが「音声通話定額プラン「ホワイトプラン」を発表し、大躍進を遂げた年でもあります。そして、翌2008年にはソフトバンクが日本で唯一のiPhoneサプライヤーとなり、さらにその存在感を高めてゆきます。

YouTubeの日本語版が公開されたのもこの年で、インターネットを介した動画配信が拡がる先駆けとなりました。2003年に月額数千円で使えるADSLが全国で使えるようになり、同時期に光ファイバーも月額1万円以下で使えるようになったことから、YouTubeのような動画配信サービスが普及する環境が整い始めていました。

そんな当時のノートPCのメモリーは512MBが標準となり、Windows XPとInternet Explorer 6が圧倒的なシェアを誇っていました。

サーバーは自社で所有するのが当たり前で、仮想化はOAには使えても基幹業務には使えないというのが常識の時代でした。そんな時代にAmazonが「Amazon Simple Queue Service(SQS)」、「Amazon Simple Storage Service(S3)」、「Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)」のサービスを開始したのが、前年の2006年、当時GoogleのCEOであるエリック・シュミットが「クラウド・コンピューティング」という言葉を使ったのも同じ年ですが、まだ2007年にはこの言葉は定着してはいませんでした。一方で、ASP(Application Service Provider)やSaaS(Software as a Service)ということば既に使われており、やがては、アプリケーションはネット越しに使うのが当たり前の時代が来るだろうという「予言」拡がりはじめていました。

それから10年目の2017年、スマートフォンが当たり前の時代になり、PCは出荷台数を落としています。基幹業務はパブリック・クラウドやホステッド・プライベート・クラウドへ移行させる取り組みが急速に増えています。

たぶんこれからの10年の変化はもっと加速するでしょう。例えば、回線速度がいまの4Gの100倍の5Gが当たり前になり、その回線サービスとしてネットワークスライシングで閉域網が提供されるようになれば、自社でネットワークを引く企業はなくなってしまうかもしれません。自社でサーバーを所有する企業はほとんどなくなり、パブリック・クラウド上に自社システムやデータを持ち、他のSaaSやPaaSと組み合わせて使っている時代となっているでしょう。

人工知能が生活やビジネスの随所で使われるようになり、ITサービスの標準機能として使われるようになるでしょう。また、2021年頃から販売が始まるとされる完全自動運転の自動車は、まずは物流や公共交通機関で使われるようになり、人手不足の解決に大きく貢献するはずです。

音声を認識するデバイスはもはや当たり前の存在となり、リビングに置かれたAmazon EchoやGoogle Homeのようなデバイスに語りかければ家電製品を操作でき、オンラインでの買い物や自動運転タクシーが迎えに来てくれます。また、IoTによって私たちの日常はことごとくデジタル・データでつながり生活や仕事の効率は大幅に上がっています。自動車や生活用品、宿泊施設など様々なモノはシェアされ、低コストでも便利で豊かな生活ができるようになっているかもしれません。

アジャイル開発やDevOpsは当たり前の時代となり、PaaSや高速開発ツール、自動化ツールなどを活用し、開発や運用の効率や品質は桁違いに高まっているはずです。

そんなこれからの10年にIT需要は大きくシフトしていきます。システム開発の需要がなくなることはなく、むしろ、これからのデジタル社会の進展を考えれば、その需要が拡大するはずです。しかし、そこに求められる価値は、柔軟性とスピード、そして開発生産性の高さです。工数の提供ではないことも理解しておく必要があります。

そうなれば、ビジネス・モデルや収益構造の転換を急速に推し進めなければなりません。既存エンジニアの再教育、新入社員研修も、そんな時代の変化に備えなくてはなりません。

「十年一昔」があっという間の出来事であることは、冒頭でお伝えした「これまでの10年」を考えれば容易に想像のつくことです。そして、あっという間の10年がこれから始まります。

そのために、どんな取り組みをおこなえばいいかは、拙著「システムインテグレーション再生の戦略」や「未来を味方にする技術」で詳しく語らせていただきましたが、それらに共通する基本原則があります。それが下記の等式です。

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「少ない開発量で最大の成果をあげる。しかも短期間で!」

これは、情報サービス産業協会(JISA)会長 横塚 裕志氏が講演で紹介されたものです。アジャイル開発、DevOps、高速開発、自動化・自律化、クラウドなどがこの等式を成り立たせる要件となるでしょう。

そんな時代の変化に備えはできているでしょうか。

10年後に世の中はどうなっているのか。

  • そのとき、自分たちは何をしているのか。
  • ならばそのためにいま何をしなければならないのか。
  • そんな視点で事業施策をかんがえてみてはどうでしょう。

10年後は間違えなくやってきます。ならば、その時代から逆引きして、これからの10年に向けた取り組みを考えてはどうでしょう。

新入社員のための最新ITトレンド・1日研修

「お客様の話しに、ついてゆけません。言葉が分からないんです。」

こんな話をする新入社員は少なくありません。もちろん経験のない彼らが仕事をうまくこなせないのは当然のことです。しかし、「言葉が分からない」というのは別の問題です。

IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることなく現場に送り出されてしまいます。そのため、お客様が何を話しているのか分からないままに、曖昧な応対しかできず、自信を無くしてしまう、外に出るのが怖いなどの不安をいだいている新入社員も少なくないようです。

そんな彼らに、ITの最新トレンドを教え、ITがもたらす未来への期待、そこに関わることへの誇りを持てるようにと企画しました。

参加費が1万円なら、懐の寂しくても自腹で参加できるはずです。また、既に新入社員研修の予算を使い切った企業でも、何とかやりくりして頂けるのではないでしょうか。そんな想いで、この金額にしてみました。また、100ページを超えるテキストは、パワーポイントのままでロイヤリティフリーで提供させて頂きます。

実施内容

  • 日時:下記日程のいずれか1日間(どちらも同じ内容です)
    • 【第1回】8月28日(月)10:00〜17:00
    • 【第2回】9月04日(月)10:00〜17:00
      • *昼休み1時間、休憩随時
  • 会場:株式会社アシスト・本社1階セミナールーム/市ヶ谷
  • 定員:50名/回
  • 費用:1万円(税込10,800円)
    • 新入社員以外(例えば、他業界からIT業界に転職された方や人材開発・研修担当の方)で参加されたい場合は、3万8千円(税込 41,040円)でご参加いただけます。
  • 内容:
    • ITビジネスの歴史と最新トレンド
    • クラウド・コンピューティング
    • ITインフラと仮想化
    • サイバーセキュリティ
    • IoT
    • AIとロボット
    • アジャイル開発とDevOps
    • これからのITとITビジネス

詳しくはこちらをご覧下さい。

【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 増強改訂版

スクリーンショット 2017-04-24 12.36.16.png

  • 何ができるようになるのか?
  • どのような価値を生みだすのか?
  • なぜ注目されているのか?

「知っている」から「説明できる」へ
実践で「使える」知識を手に入れる

  • IoT とインダストリー4.0
  • AR とVR
  • 人工知能と機械学習とディープラーニング
  • サーバ仮想化とコンテナ
  • ネットワーク仮想化とSD-WAN
  • アジャイル開発とDevOps
  • マイクロサービスとサーバレス

キーワードは耳にするけど、
それが何なのか、何ができるようになるのか、
なぜそんなに注目されているのか理解できてなかったりしませんか?

最新版(7月度)をリリースしました!

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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最新版【2017年7月】をリリースいたしました。

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今月度は、AIとIoTを中心に大幅に資料を追加しています
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ビジネス戦略編
【新規】3つのIT:従来のIT/シャドーIT/バイモーダルIT p.23
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】IoTとAIの一般的理解と本当のところ p.4
【新規】人工知能の3つの役割と人間の進化 p.12
【新規】自動化から自律化への進化 p.16
【新規】スマートマシンの必要性 p.16
【新規】人工知能のロボットへの実装 p.24
【新規】専門家と人工知能 p.26
【新規】人工知能は知的望遠鏡 p.27
【新規】ITと人間の関係の変遷 p.33
【新規】これまでの学習とディープラーニング p.42
【新規】ルールベースと機械学習 p.43
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】IoTとAIの一般的理解と本当のところ p.15
【新規】従来のやり方とIoTの違い p.18
【新規】LPWAとは p.51
クラウド・コンピューティング編
変更はありません
サービス&アプリケーション・基本編
【新規】ERPシステム/パッケージとクラウドでの利用形態 p.11
【新規】SOAの狙いと成果 p.27
開発と運用編
【更新】ウォーターフォール開発とアジャイル開発 p.17
インフラ&プラットフォーム編
【新規】認証基盤 p.117-118
【新規】認証に関わる課題 p.119
【新規】シングルサインオンとフェデレーション p.120
【新規】Apache Spark p.179
トピックス編
 変更はありません
ITの歴史と最新のトレンド編
 変更はありません

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新刊書籍のご紹介

未来を味方にする技術

これからのビジネスを創るITの基礎の基礎

  • ITの専門家ではない経営者や事業部門の皆さんに、ITの役割や価値、ITとの付き合い方を伝えたい!
  • ITで変わる未来や新しい常識を、具体的な事例を通じて知って欲しい!
  • お客様とベンダーが同じ方向を向いて、新たな価値を共創して欲しい!
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から"あたらしい常識" の作り方が見えてくる。2017年1月6日発売
斎藤昌義 著
四六判/264ページ
定価(本体1,580円+税)
ISBN 978-4-7741-8647-4Amazonで購入
未来を味方にする技術
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から"あたらしい常識" の作り方が見えてくる。
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