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最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

音楽はなくなりはしないが、街の中からレコード店はなくなった

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ユーザー企業が情報システムに求めるのは、それを使った結果として得られるサービスです。決して、情報システムを作ることでもなければそれを所有することではありません。しかし、そうしなければサービスを手に入れることができなかったが故に情報システムを自ら作り所有していたのです。

しかし、ミッションクリティカルに応えられるクラウド・サービスや、開発や運用の生産性を上げる、自動化して人の作業を不要にする手段が普及し、結果としてのサービスを手に入れるために情報システムを作ることも所有することも必要ではなくなりました。

ユーザーは、これまでも業務の変化に即応することを求めてきましたが、"作り所有する"情報システムにおいては、この期待に応えることはできませんでした。それは誰にとっても自明のことであり、彼らもそれを受け入れざるを得なかったのです。

折しも、ビジネス環境の不確実性は、かつてないほどに高まり、安定や常識が刹那であることを誰もが受け入れざるを得ない時代となりました。経営にとって、安定を維持することではなく、変更や変化に即応することがこれまでにも増して重要視されるようになっています。

また、インターネットが社会インフラとして定着したいま、情報システムが生産性の向上やコストの削減といった経営体質を強化する手段から、競争優位の確保や売上拡大といった経営体力を強化する手段へと期待が移りつつあります。ここでもまた市場環境の変化への即応が求められています。手段である情報システムは「スピード」が、ますます重要な要件となってきました。

ニーズが変われば手段も変わります。しかし、未だ多くのSI事業者がこの変化への対応を躊躇しています。それは、「工数を増やす」ことを前提とした収益構造を変えることになるからです。

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レコード店がいつの間にか街の中からなくなってしまいました。音楽の需要は無くならなくても、レコードの需要はなくなってしまったのです。ITの需要は無くならなくても、工数の需要はなくなってしまうことと重ねて考えてみてはどうでしょうか。

アジャイル開発やDevOps、そしてクラウド・サービスもまた、情報システムの「スピード」という期待に応えようと登場してきた思想や手段ですが、そういうことへの関心や興味を持たず、その受け入れを拒んでいては、やがてレコード店と同じ運命をたどることになります。

「スピード」という期待に応えることが、これからのSIビジネスの大きな成功要因になります。このテーマに真摯に取り組んでみてはいかがでしょうか。

「新規事業が成功する条件は、成功するまで資金が続くこと」

『イノベーションのジレンマ』の著者、クレイトン・クリステンセン氏の言葉です。新規事業は試行錯誤の繰り返しが不可避であり、資金が続かなければそれができないのです。だから工数需要で稼げるうちに取り組んでおかなければなりません。工数需要が減れば稼働率は下がり人件費はコストとして重くのしかかってきます。利益率が低い仕事しかできていなければ、すぐに資金が続かなくなってしまうでしょう。そのときに「すぐに新規事業を立ち上げろ」といっても無理なことは言うまでも無いことです。

【受付開始】ITソリューション塾・東京/大阪/福岡

「IoTやAIで何かできないのか?」
「アジャイル開発やDevOpsでどんなビジネスができるのか?」
「うちの新規事業は、なぜなかなか成果を上げられないのか?」

あなたは、この問いかけに応えられるでしょうか。

「生産性向上やコスト削減」から、「差別化の武器としてビジネスの成果に貢献」することへとITは役割の重心を移しつつあります。そうなれば、相手にするお客様は変わり、お客様との関係が変わり、提案の方法も変わります。そんな時代の変化に向き合うためのお手伝いをしたいと思っています。

東京での開催は5月16日(火)からに決まりました。また、大阪では5月22日(月)からとなります。さらに福岡は7月11日(火)からを予定しています。

詳細日程や正式なお申し込みにつきましては、こちらをご覧下さい。

ITソリューション塾では、IoTやAI、クラウドといったテクノロジーの最前線を整理してお伝えすることはもちろんのこと、ビジネスの実践につなげるための方法についても、これまでにも増して充実させてゆきます。
また、アジャイル開発やDevOps、それを支えるテクノロジーは、もはや避けて通れない現実です。その基本をしっかりとお伝えするよていです。また、IoTやモバイルの時代となり、サイバー・セキュリティはこれまでのやり方では対応できません。改めてセキュリティの原理原則に立ち返り、どのような考え方や取り組みが必要なのか、やはりこの分野の第一人者にご講義頂く予定です。

2009年から今年で8年目となる「ITソリューション塾」ですが、

「自社製品のことは説明できても世の中の常識は分からない」

当時、SI事業者やITベンダーの人材育成や事業開発のコンサルティングに関わる中、このような人たちが少なくないことに憂いを感じていました。また、自分たちの製品やサービスの機能や性能を説明できても、お客様の経営や事業のどのような課題を解決してくれるのかを説明できないのままに、成果をあげられない営業の方たちも数多くみてきました。

このようなことでは、SI事業者やITベンダーはいつまで経っても「業者」に留まり、お客様のよき相談相手にはなれません。この状況を少しでも変えてゆきたいと始めたのがきっかけで、既に1500名を超える皆さんが卒業されています。

ITのキーワードを辞書のように知っているだけでは使いもものにはなりません。お客様のビジネスや自社の戦略に結びつけてゆくためには、テクノロジーのトレンドを大きな物語や地図として捉えることです。そういう物語や地図の中に、自分たちのビジネスを位置付けてみることで、自分たちの価値や弱点が見えてきます。そして、お客様に説得力ある言葉を語れるようになるのだと思います。

ITソリューション塾は、その地図や物語をお伝えすることが目的です。

ご参加をご検討頂ければと願っております。

ITソリューション塾

最新版(4月度)をリリースしました!

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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新入社員のための「最新トレンドの教科書」も掲載しています。
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*クラウドについてのプレゼンテーションをインフラ編から独立させました。
*使いやすさを考慮してページ構成を変更しました。
*2017年度新入社員研修のための最新ITトレンドを更新しました。
*新しい講演資料を追加しました。
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クラウド・コンピューティング (111ページ)
*「インフラとプラットフォーム編」より分離独立
【新規】クラウドによるコスト改善例 p101-108

開発と運用(68ページ)
【新規】管理運用の範囲 p.37
【新規】サーバーレスの仕組み p.40

インフラとプラットフォーム(211ページ)
*クラウドに関する記述を分離独立
【新規】多様化するデータベース p.127
【新規】クラウドデータベース p.156-158

IoT(101ページ)
【新規】IoTはテクノロジーではなくビジネス・フレームワーク p.16
【新規】LPWA主要3方式の比較 p.52

人工知能(103ページ)
【新規】自動化と自律化が目指す方向 p.14
【新規】操作の無意識化と利用者の拡大 p.21
【新規】自動化・自律化によってもたらされる進歩・進化 p.22

テクノロジー・トピックス (51ページ)
【新規】RPA(Robotics Process Automation) p.17

サービス&アプリケーション・基本編 (50ページ)
*変更はありません

ビジネス戦略(110ページ)
*変更はありません

ITの歴史と最新のトレンド(14ページ)
*変更はありません

【新入社員研修】最新のITトレンド
*2017年度版に改訂しました

【講演資料】アウトプットし続ける技術〜毎日書くためのマインドセットとスキルセット
女性のための勉強会での講演資料
実施日: 2017年3月14日
実施時間: 60分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち

【講演資料】ITを知らない人にITを伝える技術
拙著「未来を味方にする技術」出版記念イベント
実施日: 2017年3月27日
実施時間: 30分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち

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新刊書籍のご紹介

未来を味方にする技術

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