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贈る言葉/若気の至りが許されるうちに沢山の失敗を経験して下さい!

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「お客様と話をしていても、なかなか理解できないし、うまく質問もできません。自分の知識不足をつくづく思い知らされます。」

あるSI事業者の新入営業14名を相手とした最後の講義を終えることができました。彼らは入社後の3ヶ月間、社会人としての基礎的な研修を受けたあと、営業部門への配属に先立ち「営業基礎研修」を受講、そのときからおつきあいをしています。

なんとも頼りのなかった連中が現場に配属されて半年、成長したなぁ、とうれしく思いつつ、かつての自分を重ね合わせていました。

彼らは、自らの未熟を素直に受け入れています。そして、それをなんとかしたいと、必死にもがき苦しんでいます。すてきなことだと思いました。こういう気持ちを、いつまでも持ち続けてもらいたいものだと思いました。

「素直さ」とは成長の原動力です。それは、決して相手の言葉を鵜呑みにするのではなく、相手の言葉に真剣に向き合い、自分にとって、どういうことかと考えてみることなのでしょう。

彼らには、自らの未熟を受け入れ、先輩諸氏の言葉に真摯に向き合う「素直さ」があります。だから、こんなにも目覚ましく成長できるのです。そして、この気持ちを失ったとき、人の成長は止まります。

この真実を忘れないようにしたいものです。

ただ、なかには、よく見られようと腐心し、うまくできないことを恥じている人もいます。そして目標を引き下げ、できる範囲におさめようとしています。失敗を恐れ、失敗しないように、しないようにと、注意深く行動している人もいます。

「若気の至りで許されるうちに、若気の至りをうまく使わなくちゃいけない。28歳も過ぎれば、そろそろ通用しなくなる。だから、お客様のためと思うなら、自分の考えで突き進めばいいんです。それで失敗しても、いまなら上司が尻拭いしてくれるから、いまのうちに大いに恥をかきなさい。怒られることはあっても、殺されることはないから・・・」

こういう言葉を素直に聞いてもらえることは、本当に幸せなことです。年を重ねても、その素直さを失わないでほしいと思います。

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そんな、思いを込めて、彼ら14人に送った言葉を紹介させていだきます。なお、苗字は仮称とさせていだきました。

佐藤さん

上に向かってゆく人に人は嫉妬するか、敬意を持つかのいずれかです。嫉妬する人はほっておけばいいです。そうすれば、いずはあなたの周りにすばらしい人たちが集まってきます。それが、人脈です。こちらから何かを求めれば、去ってゆきます。前に進めば、自然と周りから集まってきます。誰かと比べて、できていないことはたいしたことではありません。昨日の自分と比べて、ひとつでもできるようになれば、それでいいのです。そういう人が魅力的なんです。

鈴木さん

すべてを正確にこなすことなど無理な話です。どれかひとつでも自信を持ってできるようにすればいい。それ以外は、まだ勉強中なんで、ごめんなさいと、開き直っていればいいのです。自信を持ってできるものが少しずつ増えていっても、完璧にすべてこなせるようになんかなれません。いつもできないことであふれているのです。だから、なんとなしたいと思う。それが、生きている証しです。

井上さん

人の話を聞くとはどういうことでしょうか。まずは、自分はどう思うかといった、明確な自分の考えを持つことです。そして、それを相手に主張し反応を見ることです。そして、その言葉を素直に理解しようと努力し、自分の主張と何が同じで、何が違うかを見極め、必要とあれば訂正し、再び自分の主張をしっかりと持つことです。その繰り返しが、人の話を聞くということです。

山本さん

顧客の視点に立つとはどういうことでしょう。それは、どうすればお客様が一番幸せになれるかを考えることです。それは、話を聞いただけではわかりません。想像を働かせることです。そして、自分なりの結論を持つことです。そして、それをお客様に聞いてみるのです。もし、その想像が間違っていれば教えてもらえるはずです。正しければ、「わかりました」と、笑顔で応えればいいのです。そして、それを実現するために全力を尽くす。お客様の視点に立つとはそういうことです。

中村さん

失敗をしてください。それもたくさん。このままでは、クビになるのではないかと心配するくらいに。それには、いい方法があります。自分の考えたことで、やってみることです。相談なんかせず、自分で考えて行動してみることです。これが成長の早道です。ただし、それは入社三年間しか使えない期間限定のテクニックです。その期間がすぎれば本当にクビになるかもしれません。でも、そのときは、クビを覚悟で大きなことにチャレンジできる人間になっていることでしょう。

加藤さん

情報を手に入れるもっともいい方法は、足を使うのではなく、頭と口と手を使うことです。まずは考えるのです。きっとこんなことになっているはずだ、きっとこんなことに困っているはずだ、きっと自分たちについてこう思ってくれているはずだ。想像力たくましく、自分なりの仮説をたてることです。そして、その仮説を自分の口で訊いてみることです。それが正しいかどうかが、確認できます。また、間違いがわかるでしょう。そして、思わぬ情報がそんな会話から手に入ります。そして、それを整理するのです。自分なりに手を使ってまとめてみる。そして、自分の結論を書き出してみるのです。情報は、こちらから仕掛けてこそ手に入るものです。情報とは、自分の手で整理してみてこそ、役に立つものになるのです。ただ、足を動かし人に会うだけでは、情報は手に入りません。

林さん

大切な話は、本人が話したいと思わなければ、話してはくれません。どうすれば、話したいと思うようになるでしょうか。それは、あなたが相手の幸せを願い、なんとかしたいと心から思って会話をしているときです。何かを聞き出そうとして、あるいは、差し障りのない話をして、その雰囲気を演出したからといって、本当に大切な話など聞き出すことはできません。怒りをあらわにし、なぜやらないんですかと、食って掛かってもいいじゃないですか。相手に反論してもいいと思います。もし、それが、相手の幸せになると思うのなら。たとえ、その場の雰囲気がささくれ立っても、それは心のヤスリです。やがては角が削れ、しっくりと考えが一致するでしょう。そういう、対話こそが必要なのです。

渡辺さん

朝の30分、早く出社して自分のための勉強をするという目標が達成できないなら、それを何分に変えても、きっと続きません。毎日はできないけど、一週間で何分以上と変更し、自分につじつま合わせをしても、それは逃避でしかないのです。ならば目標なんか決めずに成り行きに任せた方が、精神衛生上ずっと健全です。できない自分を蔑んでください。そして、悔しいと思ってください。その気持ちから逃れてはいけないのです。できない自分を恥ずかしいと思うべきです。そんなできない自分を避けずに受け止めてください。そして、涙を流しながらも、なんとかしようとがんばるしかないのです。ひとは、そんなあなたをすてきだと思うでしょう。

小野さん

自力でなんとかしようとがんばっている自分。あなたはそんな自分をほめてあげたいかもしれませんね。しごとをしている気がするでしょう。でも、冷静に考えてください。周りから見ればいい迷惑かもしれませんよ。たとえ自分はがんばったと満足しても、結果は不完全であり、相手にとっては不満が残ることかもしれません。相手を満足させるということは、ただがむしゃらに一生懸命やればいいということではないのです。自分が未熟であることをさらけ出し、相手にそういう自分を指摘してもらい、どうすればいいのか、なにをすれば満足してもらえるのか、心から尋ねることです。相手は、満足したいのです。だから、こうしてくれというでしょう。そして、それに素直に応えることしかできないのです。それでいいのです。そうすれば、どうすれば成功できるかだんだんわかってきます。自分を成長させたいと思うのなら、自分のわからないことや無能をさらけ出すことです。ひとは、そういうあなたに惹かれてゆくでしょう。

吉田さん

あなたは誰と比べて自分の成長を推し量ろうとしていますか。他人ですか、それとも過去の自分ですか。他人は、才能も知識もあなたとは全く違う存在です。しかし、自分という存在は、まったく同じ相手です。こんなにわかり易い比較はないでしょう。誰かと比べて優れていると満足してみても、劣っていると憂いてみても、それは所詮基準が違うのです。それよりも、過去の自分より、いまはできることが多くなった、完成度があがっている。それを見つめることが、大切なのです。成長とは、他人より優れた存在になることではありません。過去の自分より、優れた存在になることです。

石川さん

仕事のゴールとはなんでしょうか。それは、お客様に最大の満足を与えるコト以外にありません。自分がどう考えるか。そんなものは、独りよがりです。お客様がどう考えるかです。あなたにはそれが見えますか。それが見えないとすれば、それがあなたの実力です。残念ながら、それが今の自分です。仕事の優先順位は、何が重要かで決めるという話をしました。これが、肝心なことなのです。その重要を成し遂げるために、あなたは何をしてきたでしょうか。優先順位の付け方を間違ってはいませんか。一番大切なことは、いつもわからないものです。年を重ねても、答えが見つかりません。だから、いつも勉強しなきゃいけない。仕事をするとは、そういうことだと思います。

遠藤さん

説得力や交渉力とは想像力で、相手がどこで合意してくれるかを予測する力です。会話をスムースに進める力は想像力で、相手の関心のある話題は何かを予測し、それにあわせることです。話を聞き出すこつは想像力を働かせて適切な質問を繰り出すことです。スケジューリングは、想像力で、仕事の流れを予測することです。知識や経験がないことは仕方ありません。それは、いつになってもないのです。年を重ねれば、その年相応の知識や経験が求められます。でも、いつも足りないのです。だから、想像力でそれを埋めるしかないのです。相手は何を幸せと感じるでしょうか。それを想像し、先手を打つことです。それを思いやりと言います。あるいは愛情と言います。そうなんです。仕事は想像力という愛情なくしてできないことなのだということ。あなたに足りないのは、想像力かもしれませんよ。

原田さん

慎重とはどういうことでしよう。少しずつ実行し、確認し、仕事を前に進めることではないでしょうか。考えて、考えて、失敗してはいけないと思案して、それでも不安だからまわりに相談して、絶対失敗しない確信を持ってから行動に移すことではありません。失敗はつきものです。人生とは、失敗を繰り返し、そしてなんとか最後のつじつまを合わすことかもしれません。だから、早いうちに実行して、小さな失敗を積み重ね、修正を繰り返し、ゴールを目指せばいいのです。ドカンと大きな失敗をするよりも、被害は少ないはずです。恐れるべき失敗があるとすれば、それは命を失うことです。それ以外は、みんな小さな失敗です。あなたは仕事で命を取られる心配はありませんよ。

酒井さん

お客様にかわいがられるとはどういうことでしょうか。ニコニコして、いいこぶって、できるふりしていればかわいがられるでしょうか。かわいがられるとは、真剣にお客様に向き合うことです。自分で考えて、お客様の為に何をすべきか、その答えをいつも問い続けることです。お客様と意見が異なるとすれば、お客様とけんかしてもいいです。ことなった主張があればはっきりと伝えるべきです。もちろん礼儀をわきまえて。その真剣さこそが、かわいがられる秘訣です。

最新版(2月度)をリリースしました!

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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*ビジネス戦略のチャートと解説を充実させました。
*人工知能の動画事例を追加しました。
*大手IT企業の現場改善大会での講演資料を掲載しました。
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ビジネス戦略編 106ページ
新規チャートの追加と解説の追加
【新規】ビジネス・プロセスのデジタル化による変化 p.6
【新規】ビジネスのデジタル化 p.17
【新規】ビジネス価値と文化の違い(+解説) p.19
【新規】モード1とモード2の特性(+解説) p.21
【新規】モード1とモード2を取り持つガーディアン(+解説) p.22

人工知能編 98ページ
【新規】Amazon Alexa (+解説) p.18
【新規】動画での事例紹介 Amazon Go p.94
【新規】動画での事例紹介 Amazon Echo p.95
【新規】動画での事例紹介 Tesla p.96
【新規】動画での事例紹介 Nextage p.97

IoT編 93ページ
LPWAについての記載を追加、また日米独の産業システムへの取り組みについて追加しました。
【新規】LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークの位置付け p.47
【新規】ドイツでインダストリー4.0の取り組みが始まった背景 p.82
【新規】アメリカとドイツの取り組みの違い p.88
【新規】インダストリー・インターネットのモデルベース開発 p.90
【新規】日本産業システムが抱える課題 p.91

インフラ編 294ページ
【新規】Googleのクラウド・セキュリティ対策 p.72

基礎編 50ページ
変更はありません。

開発と運用編 66ページ
全体の構成を見直し、チャートや解説を追加しました。
【新規】自律型の組織で変化への柔軟性を担保する p.20
【新規】超高速開発ツール(+解説) p.37
【改定】FaaS(Function as a Service)に解説を追加しました p.39

トレンド編 
変更はありません。

トピックス編 
変更はありません。

【講演資料】変化を味方につけるこれからの現場力
大手IT企業の改革・改善活動についての全社発表会に於いての講演資料。
・実施日: 2017年1月25日
・実施時間: 90分
・対象者:大手IT企業の改善活動に取り組む社員や経営者

詳しくはこちらから

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新刊書籍のご紹介

未来を味方にする技術

これからのビジネスを創るITの基礎の基礎

  • ITの専門家ではない経営者や事業部門の皆さんに、ITの役割や価値、ITとの付き合い方を伝えたい!
  • ITで変わる未来や新しい常識を、具体的な事例を通じて知って欲しい!
  • お客様とベンダーが同じ方向を向いて、新たな価値を共創して欲しい!
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から"あたらしい常識" の作り方が見えてくる。2017年1月6日発売
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