【図解】コレ一枚で分かるAPIエコノミー
世界479都市(2016年7月現在)で、スマホのアプリから配車手配ができるサービスを展開するUber社は、他社が作るスマホのアプリにUberへの配車リクエスト・ボタンを追加できる「Uber API」を公開しています。それを受けて、店舗やプレイスポットを検索するFoursquareは、場所を指定しなくても、アプリで取得した位置情報を使ってUberに配車してもらう機能を提供するようになりました。また世界的なホテル・チェーンのHyatt Hotels & Resortsは自社のアプリにUberボタンを追加し、Hyattのホテルの滞在客が外出時にHyattのアプリでUberボタンを押せば、別途Uberアプリを立ち上げる必要も、行き先を指定する必要もなく、ホテルまでの車を呼び、利用できる機能を提供しています。
このようにそれぞれのサービスが強みとする機能を互いに利用し合い、 「自前」だけでは容易には実現できない価値を生みだそうという取り組みが始まっています。その取り組みを実現するために、自分たちが提供するサービス機能を他のサービスからでもインターネットを介して利用できるようにしたのがAPI(Application Programing Interface)と呼ばれる仕組みです。
APIとは、本来あるソフトウェアから別のソフトウェアの機能を呼び出して利用するための方法です。それをあるインターネットで提供されるサービスから他のサービス機能を利用できる仕組みにまで解釈を拡げ、いまでは使われるようになりました。
APIを公開する企業にとっては、他社が利用してくれることで現在のサービス提供範囲を拡大できることや、新しいお客様の獲得ができるなど、自社ビジネスの拡大につながります。APIを利用する側も、顧客に魅力的な機能を自分たちで最初から開発することなくすぐに自社サービスに組み込むことができるようになります。このようなAPIを提供し、お互いに利用できるようなエコシステムは、APIエコノミーと呼ばれています。
APIエコノミーはUberに留まらず様々なサービスに拡がりはじめています。例えば、中小企業の会計管理を行うクラウド・サービスが、ユーザーの同意を得た上で日々の売上帳簿のデータを地方銀行に提供することで融資のための与信を迅速に行えるようにする、あるいは、自動車会社が自動車に搭載されたセンサーから運転データとして損害保険会社に提供し、運転の丁寧さや走行距離や走行地域などのデータに基づき保険料率を変動させる自動車保険などが始まろうとしています。
特に金融機関が、残高照会、入出金明細照会、口座情報照会といった情報を提供し、さらに資金移動に関わるAPIを提供するようになれば、金融サービスの新たな可能性が開けるとの期待が寄せられています。残念ながら我が国では、APIを正式に公開している金融機関はまだありませんが、一部機能についての実証実験は始まっています。(参照:FinTech)
APIを公開することは必ずしも容易なことではありません。例えば、セキュリティ、認証、利用者毎の権限設定、課金、性能管理など検討すべき課題は多岐にわたります。しかし、自分たちだけでは実現できない魅力的な機能をいち早く自社サービスにも取り込み競争優位を創出しようという動きは今後とも拡がってゆくでしょう。
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