【図解】コレ1枚でわかるデジタル・トランスフォーメーション
ヒトやモノがデジタル・データで直接つながり、地域や時間、移動といった様々な制約を気にすることなく、新たな仕組みを作り出せるようになりました。このような時代の変化は「デジタル・トランスフォーメイション」と呼ばれています。トランスフォーメイションとは、形を変える、あるいは再編成するという意味があります。そこにはこれまでにない新たな魅力を提供する「デジタル・ビジネス」が登場しつつあります。
「デジタル・トランスフォーメーション」によりサービス化、オープン化、ソーシャル化、スマート化の4つの大きな変化が生まれつつあることが分かります。
サービス化
ジェットエンジンを「出力×稼働時間」で従量課金する、あるいは建設機械を測量、設計、自動運転とともにサービスとして提供するといった、これまでは販売が常識だったビジネスにもサービス化の流れが生まれています。また、所有することが当たり前だったコンピューターは、もはやクラウド・サービスとして使用することは当たり前になろうとしています。
私たちは、これまでITを利用するためにはその手段を所有しなければなりませんでした。しかし、様々な価値がサービスとして手に入れられる時代へと変わろうとしています。
人々が求めているのは、結果としての価値であり、その手段ではありません。手段を所有しなくてもサービスとして求める価値が直接手に入るのであれば、そちらに人々の需要がシフトするのは自然の流れといえるでしょう。
オープン化
「特定の企業が占有する技術や製品ではなく、ひろく多くの人が関与する技術や製品の方が進化のスピードは早く、安心・安全も担保される」
そんな「オープン」という常識が広く受け入れつつあります。
オープンであることが、もはや社会正義にも近い感覚となりつつあります。そして、自らがオープンなコミュニティのなかで貢献し、その中でリーダーシップを示すことがビジネスを成長させる原動力となることを、多くの人が受け入れはじめています。また、密室での意志決定や経営判断が、企業価値を大きく毀損する事件は後を絶ちません。「アラブの春」や「香港での民主化デモ」など、オープンは政治をも動かす大きな力ともなっています。
もはや、世の中はオープンに支えられ、オープンでなければ生き抜くことができなくなったとも言えるでしょう。
スマートフォンを誰もが持つようになり、インターネットやソーシャルメディアを介してオープンに情報が行き交う時代、ビジネスは「オープン」を味方に付けることが不可欠になろうとしているのです。
ソーシャル化
インターネットの普及と共にコミュニケーション・コストが劇的に下がりました。その結果、誰もが仲介者を介することなくフラットにつながることができるようになりました。その結果、仲介者となって権力や富を集中させることは難しくなりつつあります。
ソーシャル・メディアをささえるテクノロジーは、この流れをさらに加速しています。UberやAirbnbなど、これまでの常識を破壊しようとするビジネスはこんな仕組みに支えられています。これまでの常識を破壊する新たなビジネスを登場させる基盤としても大きな役割を果たすことになります。
スマート化
人それぞれの趣味嗜好に合わせ個別に対応していたら手間もかかりコストもかかります。そのため大量生産や標準化、全体最適化こそがあるべき姿だと言われ続けてきました。しかし、IoTの普及により、「個別の事実」をきめ細かくリアルタイムに捉えることができるようになり、この常識も変わろうとしています。
IoTによって収集された「個別の事実」は、人工知能によって分析され、それぞれの事実や意向をくみ取ります。そして、全体を考慮しつつも可能な限り個別のニーズに対応しようとするでしょう。さらに人工知能は大量の「個別の事実」を分析し、新たな知見、未来予測、最適な判断を促し、私たちの住む現実社会をより快適にしてくれます。
また機械が人間の代わりを果たしてくれる範囲はますます拡がってゆくでしょう。肉体的にも知的にも、時間と労力をかけることで生みだしてきた価値は機械に置き換えられてゆきます。その方が、遥かに効率的で正確で安全だからです。一方で、人間の役割は大きく変わってくるでしょう。感性、協調性、創造性がこれまでにも増して重視されるようになり、人間は新たな進化のステージに立たされることになるのです。
かつてITは、コストの削減や時間短縮、生産性の向上とといった「効率化」という価値を提供してきました。しかし、デジタル・トランスフォーメイションは、新しい常識を生みだし、ビジネスをこれまでの常識とは異なるカタチへと向かわせようとしています。見方を変えれば、既存のビジネス常識の破壊であり、ITの活用は、いまそういう次元へと移りつつあるのです。
かつての競合は、機能・性能、品質、価格でした。したがって、機能・性能の向上、品質の向上、製品ラインアップの拡大、業務プロセスの効率化、印象的なマーケティングの実践により、競合に打ち負かすことができました。しかし、いま業界を隔てる境界線が消滅し始め、他業界の企業が、そこで培った能力を生かして新たな競合を仕掛けています。例えば、
- Uberとタクシー業界
- FinTech企業と金融業界
- Airbnbと旅行・ホテル業界
- Googleの自動運転車と自動車業界
- スマートフォンとデジタルカメラ
- 人工知能による機械翻訳と人手による翻訳など
また、これまでの業界の壁を乗り越えた新たな融合も生まれています。例えば、
- 富士通は、自社の施設内に「植物工場」を作り農産物の生産・販売を行い、そのノウハウを使った「データに基づく農業」を推進
- Appleは、身体に装着するウェアラブル・デバイス「Apple Watch」で人の運動量や身体の状態をデータとして記録、それらを活かしたヘルスケアや医療サービスを提供。
- 大手コンピューター・メーカーのIBMは自社の人工知能製品を使った気象情報サービスを提供
こうした競争環境の変化の背後にあるのはテクノロジーの進化に支えられた「デジタル・トランスフォーメーション」とそれに伴う市場の変化です。これまでの「業界の常識」にとらわれず、ITを味方に付けた新たなビジネスへの取り組が求められています。
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