【図解】コレ1枚でわかる3つのプライベートクラウド
「2014年の国内プライベートクラウド市場は、前年比42.4%増の6,196億円、2019年の市場規模は、2014年比3.0倍の1兆8,601億円と予測(2015/9/9)」
調査会社IDC Japanは、プライベートクラウド市場をこのように予測している。そして、このプライベートクラウド市場を「オンプレミス・プライベートクラウド」、ホスティング型プライベートクラウドである「デディケイテッドプライベートクラウドサービス」および「コミュニティクラウドサービス」に分類しているが、この分類は、ポストSIビジネス戦略を考える上で参考になりそうなので、「コレ1枚」にまとめてみることにした。
米国国立標準技術研究所(NIST)の「クラウドの定義」に「配置モデル(Deployment Model)」についての説明がある。その中で、複数の企業や組織(テナント)が共用するクラウドの利用形態を「パブリッククラウド」、個別のテナントが占有利用する形態を「プライベートクラウド」と定義している。
NISTの定義には明示的には示されていないが、「プライベートクラウド」は、ユーザー企業が自らの資産としてクラウド・システム環境を所有する「オンプレミス・プライベートクラウド」とクラウド事業者が自社の設備資産を特定のテナントに占有貸し出しする「ホステッド・プライベートクラウド」に区分することができる。ちなみに「オンプレミス(on-premises)」とは、「構内に」という意味の英語で、情報システムをユーザー企業が自社で管理する設備内に導入、設置して運用することをいう。自社所有の施設内、あるいは、データセンター事業者から賃借した施設内に設置する場合がある。
一方、ホステッド(Hosted)とは「ホスティングされた」という意味だが、ホスティング・サービスとして提供されるクラウド・システム環境と言うことになる。ホスティングとは、サービス事業者が自らの設備資産、例えば、サーバーやストレージなどを、設置する設備と共にユーザー企業に貸し出し、その運用も引き受けるサービスのことを言う。つまり、「ホステッド・プライベートクラウド」とは、サービス事業者の提供するシステム資産を、料金を支払って自社の占有のクラウド環境として利用し、その運用を任せることを言う。
この「ホステッド・プライベートクラウド」にはふたつの形態がある。ひとつは、クラウド・サービス事業者が既に所有・運営しているパブリッククラウドのシステム資源の一部を特定のユーザー企業に占有利用させる「デディケイテッド・プライベートクラウド(Dedicated Private Cloud)」とユーザー企業の要求に合わせサービス事業者がカスタマイズしたクラウド・システム環境を構築し、それをユーザー企業に貸し出す「コミュニティ・プライベートクラウド(Community Private Cloud)」がある。前者は、AWSのVirtual Private CloudやMicrosoftのVirtual Network、IBMのBlueMix Dedicatedなどのサービス、後者には、NTTコミュニケーションズのBizホスティング Enterprise CloudやNSSOLのabsonne、CTCのCUVICmc2などのサービスがある。
「ホステッド・プライベートクラウド」サービスは、企業の基幹業務や機密性の高いデータの取り扱いを前提する場合が多いこことやスループット/レスポンスの安定確保の必要からインターネットを介さずに専用線やその他の閉域網を介して企業と直結する使い方が普及している。
先のIDCのレポートによれば、今後プライベートクラウドの市場は拡大すると予測しているが、これを牽引するのは「ホステッド・プライベートクラウド」の市場であり、ここにどのような戦略を描くのかが、ポストSIビジネスの成否を分ける鍵があるだろう。
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