【図解】コレ１枚で分かるCPS

» 2015/09/02

私たちの日常は様々な「モノ」に囲まれています。PCやスマートフォン、ウェアラブル・デバイス、家電製品や住宅、自動車や鉄道などの生活に欠かせない設備、道路に設置された機器や気象・環境観測機器、工場で働く産業用ロボットや工作機械などが、私たちの日常を支えています。これらが、いまインターネットにつながろうとしています。

インターネットにつながるモノの数は、2009年時点で25億個あったそうですが、2015年には180億個、2020年には500億個になるといわれています。いずれにしても膨大な数のデバイスやモノが、インターネットにつながろうとしているのです。

既に私たちは、PCやスマートフォンで文字や写真、音声といったデータを生みだし、そこに組み込まれたGPSやセンサーが、私たちの動作や行動をデータ化しています。また、モノに組み込まれたセンサーが、その動きや周辺の状況をデータ化しています。私たちの日常生活や社会活動が広範にデータ化され、インターネットを介して、集められる時代を迎えようとしているのです。このよう現実世界（Physical World）をデータ化するプラットフォームを「IoT（Internet of Things）」と呼んでいます。

IoTから生みだされ急速な勢いで増え続けるデータが、「ビッグデータ」です。いわば、現実世界のデジタルコピーがそこに生みだされているのです。しかし、ただ集めただけでは何の役にも立ちません。そこで、統計手法や人工知能を駆使し、モデリングやシミュレーション、最適化を行い、現実社会を分析し、未来を予測し、知識や洞察を得る必要があります。

そこから得られた結果を使い、現実世界にある「モノ」を制御したり、人々に役立つ情報を提供したりすることで、快適な生活や健康、安心・安全やエコ・省エネに役立ててゆこうとしているのです。また、得られた知見を使って「モノ」を動かしているソフトウェアを更新し、機能や性能の改善にも役立てられます。また、ロボット家電や自動運転自動車など自律的に動作する「モノ」の能力を高めるためにも使われます。「モノ」の動作やヒトの行動は、再びIoTの仕組みを通じて、データ化されて電脳世界（Cyber World）へと送られてゆきます。

このように現実世界の出来事が、電脳世界にデータとして集められれば、そこに現実世界の出来事を再現することができます。例えば、もの作りや機器の操作をシミュレーションし検証が行われ、そこで得られた最適解やモデルを使って、現実世界に適用すれば、業務の効率や品質は高まり、コストの削減や納期の短縮に役立ちます。あるいは、安全で効率の良い機器の制御や交通管制も実現するでしょう。このような現実世界とサイバー世界が密接に連携する仕組みをCyber-Physical Systemといいます。

今後、インターネットにつながるセンサーやデバイスの数が増えれば、現実世界はますますきめ細かく、そしてリアルタイムにデータ化されてゆきます。サイバー世界では、そのデータを駆使してよりきめ細かくアナリティクスを行い、高い精度で現実世界をシミュレーションしてゆくことになるでしょう。その結果は、私たちの現実世界にフィードバックされ、快適な生活や効率の良い社会を実現することに役立てられるのです。