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ソリューション営業に求められる能力の3要素(2/4)知識

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新人研修での講義の冒頭、「クラウドを知っている人」と質問すると、全員が手を上げる。しかし、その説明を求めると、ほとんどの人が、まともに説明ができない。

クラウドをどう説明するかは、簡単ではないが、自分なりの解釈と定義を示せてこそ、知識があると言えるだろう。また、それがお客様の経営や業務にどのように貢献できるのか。そのためにはどのような使い方ができるかを説明できなくては、役に立つ知識とは言えない。

テクニカルなことばかりではない。政治や経済、業務や事業、文化や芸術など、知識の範囲は広い。営業は、そういう知識に貪欲でなくてはならない。

それは、次の3つの目的を達成するためだ。

会話のきっかけを掴む

1つは、お客様と会話の糸口を掴むためだ。話しても通じないでは、ビジネスの糸口さえ掴めない。言うなれば、知識は、初めてのお客様という国境を越えるためのパスポートともいえる。

特にITで仕事をしているソリューション営業なら、ITについて、一通りの会話ができる程度の常識は持ち合わせておきたい。例えば、以下のテーマは、最近話題になるキーワードだ。

クラウド・コンピューティング、モバイル、ウェアラブル、IoT、ビッグデータ、NoSQL、仮想化、コンテナ、VDI、SDI、スマートマシン、アナリティクス、人工知能、機械学習、ディープラーニング、ロボット、ソーシャル・・・

こういうキーワードの意味や関係、ビジネスに及ぼす影響などを理解しておけば、お客様との会話のきっかけを掴みやすい。

お客様を理解する

ふたつ目は、お客様を理解するためだ。お客様の業務や経営を理解するためには、当然ながら業務や経営の知識が必要だ。それがなければ、相手は何を言っているのか理解できない。ITについての会話ならITについての知識がなくてはならない。そういうベースとなる知識があるからこそ、相手が何を言っているのか理解できる。

相手の話が理解できなければ、議論を深め核心を突くことは難しい。相手の話を聞きながらその通りメモを取るだけでは、ビジネスのきっかけを探ることは難しいだろう。世間の常識や競合他社の取り組みを理解しておけば、それと照らし合わせながら相手に質問することもできるだろう。また、ITの常識と照らし合わせれば、そのギャップを示すことができるので、そこなら議論も深められる。そうやって、相手の課題やニーズを探り出す。知識とは、そのための武器になる。

提案する

最後は、「提案のための知識」だ。エンジニアとは異なり「構築のための知識」は必要ない。しかし、提案のための知識は必要になる。

「提案のための知識」とは、お客様についての知識、ITについての知識、提案についての知識だ。最初の2つはいまさらだが、提案についての知識は、例えば次のようなもの。

スクリーンショット 2014-12-03 7.15.49.png

このフレームワークは、お客様が意志決定するために必要な情報を整理したもの。これを埋めてゆきドキュメントとしてまとめたものが提案書になる。ソリューション営業は、これをお客様に買って頂く。つまり、ソリューション・ビジネスにとっての商品だ。魅力ある商品であれば、お金を出しても買いたいと思うだろう。コレを作り上げるためにも知識は総動員される。

次回は、「プロセス」について解説する。・・・続く

*募集開始* ITソリューション塾【第18期】

2015年2月4日(水)より開講するITソリューション塾【第18期】の募集を開始致します。10月より開講致しました第17期は、早い段階からご応募を頂き、会場の収容人数の関係で、お断りしなければならない方もいらっしゃいました。つきましては、参加の御予定の場合は、早々のお申し込みをいただければと存じます。または、決めかねていらっしゃる場合は、ご意向だけでもメールにてお知らせいただければ、参加枠を確保させていだきます。

第18期では、テクノロジーやビジネスに関する最新のトレンドに加え、提案やビジネス戦略・新規事業開発などについても考えてゆこうと思っています。また、アジャイル開発でSIビジネスをリメイクした実践事例、クラウド時代のセキュリティとガバナンスについては、それぞれの現場の第一線で活躍される講師をお招きし、生々しくそのノウハウをご紹介頂く予定です。

よろしければ、ご検討ください。

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詳しくはこちらをご覧下さい。また、パンフレットもこちらからダウンロードできます

SI事業者が生き残るための2つの戦略

従来型SIビジネスが難しくなることについて、これまでにも多くの方が語られています。これについては、私も、その理由を詳しく解説しています。詳細は、こちらをご覧下さい。

>> クラウドとSIビジネスの関係(3/3)クラウドが、なぜ従来型SI事業を難しくするのか

ポイントは次の通りです。

  • 人月積算を前提とした収益構造を維持できなる。そのため、この収益構造に過度に依存した事業は、規模の縮小を余儀なくされる。
  • 求められるテクノロジー・スキルや開発・運用スキルが大きく変わるため既存人材の持つスキルとの不整合が拡大する。
  • 比較的単純な業務しかこなせないエンジニアは、クラウドや人工知能に置き換わってゆく。仮に人月型の需要があって、オフショアとの価格競争を強いられる可能性が高く、収益に貢献しにくくなる。

この事態に対処するための「アウトサイド戦略」と「インサイド戦略」について整理してみました。

よろしければ、ご投票頂ければ幸いです m(_ _)m

拙著「システムインテグレーション崩壊」が、「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞」にノミネーションされました。お読み頂きました皆さんに感謝致します。

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「システムインテグレーション崩壊」

〜これからSIerはどう生き残ればいいか?

  • 国内の需要は先行き不透明。
  • 案件の規模は縮小の一途。
  • 単価が下落するばかり。
  • クラウドの登場で迫られるビジネスモデルの変革。

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