ソリューション営業に求められる能力の3要素(1/4)
昨日までのシリーズでソリューション営業の行動や意識について解説したが、ではどのような能力を持てば良いかを4回に分けて考えて行く。
ソリューション営業は、「知識」、「プロセス」、「スキル」の能力を持たなくてはならない。
知識
「クラウド・コンピューティング」という言葉は知っているが、これが何かを説明できるだろうか。仮想化とSDIの関係を説明できるだろうか。ハイパーバイザー型の仮想化とコンテナ型の仮想化の違いについて説明できるだろうか。
それらを、あなたのお客様の状況やビジネスに結びつけ、どのような価値を生みだすことができるかを説明できるだろうか。
「キーワードを知っている」は知識ではない。そのキーワードが他のキーワードとどのような関係に有り、その意味や価値を説明できてこそ知識となる。
サーバーを構築できる、ネットワーク機器の設定ができる、そんな知識ではない。お客様の話が理解できる、お客様のケースに当てはめて仮説を立てることができる、お客様の課題を整理できる。お客様はそんな営業を求めている。そのための基礎的な能力が営業に求められる「知識」だ。
プロセス
営業の仕事は、案件を受注することだ。そのためには、お客様の意志決定のプロセスに係わり、お客様の内部にこちらに有利な世論を作り上げていかなければならない。そのためには、お客様の組織や意志決定のプロセスを理解し、タイミング良く関与してゆかなければいけない。
お客様の組織やパワーストラクチャー(組織上の力の関係)、意志決定に影響を持つ人たちの名前や役割、社内手続きの手順などを把握しなくてはならない。
このような意志決定に関わる組織やプロセスを理解し、そこに関与してゆく「プロセス」能力が必要だ。
スキル
どんな優れた内容の提案書であっても、"汚い"ドキュメントに書かれていては、お客様は読む気も起きないだろう。前置きが長く、しかもいつまでたっても要点にたどり着かず、要点が的外れのプレゼンテーションに心を動かされる人はいない。こちらの主張を押しつけがましく語れば、相手は引いてしまうだろう。必要以上に遠慮がちな質問に、相手はいらいらするかもしれない。
プレゼンテーションやドキュメンテーション、コミュニケーションなどの能力は、仕事を円滑に進める助けとなる。このような能力を「スキル」という。
もちろん中身のない提案や相手の心の機微をわきまえないアプローチは、いくら「スキル」を駆使しても目的をかなえることはできないが、基本ができていれば、「スキル」は、仕事の効率を高めてくれる。
ソリューション営業にとっては、いずれも大切な能力だ。しかし、あえてどれが一番大切かと問われれば、私は「プロセス」と答える。それは、営業が、受注し売上を計上することが本務であり、評価の基準だからだ。どれほど知識があっても、どれほどスキルが高くても、プロセスを駆使し数字を上げられなければ営業の本務は果たせない。
それぞれの能力の中身については、次回以降で解説する。・・・続く
*募集開始* ITソリューション塾【第18期】
2015年2月4日(水)より開講するITソリューション塾【第18期】の募集を開始致します。10月より開講致しました第17期は、早い段階からご応募を頂き、会場の収容人数の関係で、お断りしなければならない方もいらっしゃいました。つきましては、参加の御予定の場合は、早々のお申し込みをいただければと存じます。または、決めかねていらっしゃる場合は、ご意向だけでもメールにてお知らせいただければ、参加枠を確保させていだきます。
第18期では、テクノロジーやビジネスに関する最新のトレンドに加え、提案やビジネス戦略・新規事業開発などについても考えてゆこうと思っています。また、アジャイル開発でSIビジネスをリメイクした実践事例、クラウド時代のセキュリティとガバナンスについては、それぞれの現場の第一線で活躍される講師をお招きし、生々しくそのノウハウをご紹介頂く予定です。
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SI事業者が生き残るための2つの戦略
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>> クラウドとSIビジネスの関係(3/3)クラウドが、なぜ従来型SI事業を難しくするのか
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拙著「システムインテグレーション崩壊」が、「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞」にノミネーションされました。お読み頂きました皆さんに感謝致します。
「システムインテグレーション崩壊」
〜これからSIerはどう生き残ればいいか?
- 国内の需要は先行き不透明。
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