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ソリューション営業(2/3)「あるべき姿」を起点にする

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「PC100台の見積をお願いします。」

お客様からこのような依頼があったら、貴方ならどのように応えるだろう。

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必要な仕様を伺い、金額や納期などの条件を確認し、見積を提出する。なにも間違った手順ではない。しかし、これでは競合他社との価格競争は避けられない。

「なぜPC100が必要なんですか?」

このような質問をしたところ次のような答えが返ってきた。

「新商品の通信販売を始めます。その受注のためにコールセンターの要員を100人増やさなくてはならないんです。」

だから、PC100台が必要だという。つまり、お客様が望む真の「ニーズ(Needs)」は、「増加する受注に対応する」ことなのだ。これがお客様の「あるべき姿(To Be)」だ。PC100台は手段であり、これを「欲しいもの(Wants)」という。彼らは決して、手段が欲しい分けではない。「あるべき姿」を実現したい。

PC100台よりももっと言い手段があるのなら、当然それについて話を聞きたいと思っているはずだ。それを考えることこそ、営業の仕事だ。

例えば、WFM(Work Force Management)ツールを導入し、コールセンターへのインバウンドを時間毎に定量的に把握すれば、最適なタイムシフトを組めるので、要員を70名にとどめることができるかもしれない。そうすれば、社員の給与や設備などの固定費を削減できるだろう。あるいは、CRMを導入して応対時間を半減させることができれば、PCは50台で良いい。また、応対が迅速になるので、お客様の満足度も上がるはずだ。あるいは、ECサイトでの受注にすれば、PCは不要になる。新規の採用も不要になり固定費も抑えることができる。また、お客様は在庫状況が即座にわかり顧客満足も上がるかもしれない。

いずれにしろ、「求めていること」に応えるのではなく「必要としていること」に応えることが大切だ。こうなると、もはや価格競争にはならない。PC100台とWebサイトとの競争であり、どちらがお客様により多くの価値を提供できるかという競争になる。

これを「To Be起点」という。それは、「なぜ」の言葉から始まる。「なぜ」によってお客様の「あるべき姿」を見つけ出し、お客様の価値を最大化できる手段を考えるアプローチだ。優れた「ソリューション」すなわち課題解決の手段は、この視点なくして生まれない。価格や条件の競争ではなく、価値の競争へと持ち込むこと。これが、ソリューション営業の基本だ。

このような行動を心がければ、お客様は貴方をただの出入業者としてではなく、良き相談相手と見做してくれるようになるだろう。このような関係を築ければ、競合への安定的な優位を維持することができる。・・・次回へ続く

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「システムインテグレーション崩壊」

〜これからSIerはどう生き残ればいいか?

  • 国内の需要は先行き不透明。
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  • クラウドの登場で迫られるビジネスモデルの変革。

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