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情報は知識ではなく、思考でもない

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表題の言葉は、「デジタルは人間を奪うのか/小川和也著」に書かれていた一節です。

私たちは、日々膨大な情報に接しています。TVやWeb、新聞や書籍など、意図する、しないにかかわらず、膨大な情報を目にし、そのために多大な時間を使っているわけです。しかし、それだけでは知識になりません。

「知識とは、その情報を整理したもの」だと筆者は語っていますが、全くその通りだと思います。

手に入れた情報を自分なりに整理してメモやチャート、文章にしてみることです。そうやって、情報を自分の中で構造化してゆくことで、記憶に定着してゆきます。そして、他の知識とのつながりや気付きを産み出してゆきます。この過程が思考で有り、その結果、情報は新たな整理の枠組みを与えられ、再び新たな知識となるのです。

毎年、新入社員研修でITのトレンドについて話をさせて頂くのですが、必ず「どうやって勉強すれば良いのですか?どうすれば、そういう知識を身につけることができますか?」という質問をいだきます。私は、次の3つについて話をします。

  1. 朝のゴールデンタイムを作る
  2. 「知っている」とは「説明できる」ことと自覚する
  3.  アウトプット思考を行う

「朝のゴールデンタイムを作る」とは、知識を獲得するための決まった時間を日常の時間の中に埋め込んでしまおうということです。特に新人の時代はこき使われる身の上です。自分のために時間を作ることは容易ではありません。残業も当たり前で、休日は英気を養うために、趣味や遊びにも使いたいでしょう。そうなると、自分の意志で学びの時間を作るとすると「毎朝」しかありません。この「毎朝」を1時間持てば、毎週1日間の研修を受講するのと同じ時間、勉強することができます。

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人より1時間早く出社する、出社前に会社のそばのカフェで過ごすなど、いろいろとやり方はありますが、兎に角、自分の自由になる時間を1時間強引に確保してしまうことです。

日常の仕事をこなしていても、多くの情報は得られますが、それだけでは不十分です。もっと多くの情報に接しなければ、仕事の質を高めることはできません。しかし、だからといって、ただただ情報を集め、それに目を通しても自分が使える知識にはなりません。

だからこそ、そのためのまとまった時間が必要なのです。それは、「朝しかありませんよ」と申し上げています。

「「知っている」とは「説明できる」ことと自覚する」とは、キーワードを知っていてもそれを説明できなければ知っているとは言えないという意味です。

新人研修での講義の冒頭、「クラウドを知っている人」と質問すると、全員が手を上げます。それほど、クラウドは多くの人が知る言葉となりました。しかし、その説明を求めると、ほとんどの人がまともに説明できません。これでは、「知っている」とはいえません。

クラウドをどう説明するかは、簡単ではありませんが、自分なりの解釈と定義を示せてこそ、知っていると言えるでしょう。さらに、一歩進めて、これまでのITを常識とどう違うか、お客様にどのような価値を提供できるかを説明できれば、「知っている」は本物です。

このようなことは、日常の仕事の現場で、学べるものではありません。自ら意識し、時間を作らなければできないことなのです。

「アウトプット思考を行う」とは、「誰かに説明するつもりで情報を収集し整理する」ことです。誰かに伝えるためには、如何にして簡潔明瞭に、わかりやすく表現しようかという意識が働きます。その意識のフィルターを通して情報を収集すると、その情報の幹と枝葉が見えてきます。そして、自分なりにメモにまとめてゆきます。その繰り返しがものごとの本質を極め、情報が知識へと昇華してゆきます。「アウトプット思考」の実践については、こちらに詳しく書きましたので、よろしければ、ご覧下さい。

>> 「アウトプット思考」実践ノウハウ/情報の大海から知識を切り取る方法

「情報は知識ではなく、思考でもない」ならば、どうすれば、知識や思考にできるかは、このようなプロセスを自分の生活の中に作ることだと思います。

このやり方が唯一のやり方とは思いません。自分に合ったやり方を見つければいいわけです。ただ、これだけは、いえることですが、「習慣化」することです。私の場合は、「朝の1時間」を強引に作り、中身ではなくかたちから入ることをしてきました。昔から、何かを始めるときは、道具を揃え、無理矢理時間を作ることからやって来ましたので、このやり方が性に合っています。

いずれにしろ、情報は整理されなければ、自分の知識にはならず、使える物にはならないのです。そのプロセスをつくることが、知識を獲得するためにとても大切なことなのだと思います。

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2014年11月10日(月曜日)18時00分~19時30分
アイ・ラーニング茅場町研修センター 2F 201教室  

詳しくは、こちらをご覧下さい。

最新ITトレンドとビジネス戦略【2014年10月版】(182ページ)」を公開しました!

毎月公開しています最新ITトレンドについてのプレゼンテーションです。以下のテーマでまとめられています。

  • クラウド・コンピューティングで変わるITの常識
  • モバイルとウェアラブル
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  • スマートマシン
  • これからのITビジネス戦略

今月は、仮想化とSDIについてプレゼンテーションを一新し、解説文書を追記致しました。

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システム・インテグレータの今と次のシナリオを考えて見ました

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「システムインテグレーション崩壊」

〜これからSIerはどう生き残ればいいか?

  • 国内の需要は先行き不透明。
  • 案件の規模は縮小の一途。
  • 単価が下落するばかり。
  • クラウドの登場で迫られるビジネスモデルの変革。

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