「うちには、これといえる強みがありません」をどう変えてゆけば良いのか(2/3)
どんな仕事であっても、それを生業にするということは、お客様にないものを補い、必要とされる価値を提供することだ。だからお金を頂ける。この当たり前を実践するためには、「お客さまは何をすべきか」を考え、それを実現することにある。
2.「自分たちに何ができるか」ではなく、「お客さまは何をすべきか」へ
予め自分たちにできることを限定してしまい、その範囲でお客さまの需要を探るだけでは、お客様の解決できない。
お客さまは、決して、貴方の会社と仕事をしたいわけではない。自分の課題を解決したいと考えている。
この期待に応えるためには、自分たちができることをいったん棚上げし、お客さまの困っていること、してほしいことは何かを、まずは追求すること。昨日のブログでも述べた「お客さまへの関心」も、これを考える上で大切な前提となる。
だからといって、「して欲しいことをしてあげる」だけでは、不十分だ。まずは、お客さまがしてほしいことの背後にある、「その結果、最後には、どういう状態になっていたいのか」つまり、お客様が望む「あるべき姿」を明らかにし、これをお客様と確認し、合意することだ。
「あるべき姿」を確認せず、合意もないままに、「このやり方でやりましょう」と手段だけを議論しても、お客様の満足を得られる保証はない。
手段の前に「あるべき姿」を明らかにし合意する。そして、これを実現する上で、どのような手段が最適なのだろうと考える。
もちろん「自分にできること」もあれば、できないこともある。そういうものも全部含めて、全体を描き出す。その上で、自分のできること、できないことを切り分け、最適な手段を考えることが必要だ。
では最適な手段とは何か。自動車王ヘンリー・フォードの有名な逸話がある。
「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは、もっと速い馬が欲しいと答えていただろう。」
当時は、自動車が普及する以前で、主要な交通手段といえば馬車だった。自動車を知らない人々は、自動車の利便性を想像できないので、「自動車を作ってくれ」などとは言わない。
お客様が、最適な手段を知っているとは限らない。だから、それを提示できれば、それは「強み」になる。自分の関わる業務領域の知識を振り絞って、あるいは、製品やサービスだけではなく、ビジネス・プロセスまで踏み込んで、一番良い方法を調べ、考え、提示することだ。
「自分にできること」だけに範囲を絞っていては、こんなことはできない。視野を広げ、お客様にとっていちばんいい手段は何かを必死で考えることだ。
自分にできること、できないことも含め、お客様の「あるべき姿」を実現する最適な組合せを作り上げること。このような取り組みそのものが「強み」になる。
こういうことができれば、お客様は貴方を良き相談相手として受け入れてくれるだろう。そうなれば、自ずと競合を回避し、むしろ競合をコントロールする立場に立ち、ビジネスの主導権を握ることができる。
・・・続く
「最新ITトレンドとビジネス戦略【2014年10月版】(182ページ)」を公開しました!
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今月は、仮想化とSDIについてプレゼンテーションを一新し、解説文書を追記致しました。
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