「うちには、これといえる強みがありません」をどう変えてゆけば良いのか(3/3)
「自分たちには、これといった強みがない」という言葉。確かに、IBMやHP、アクセンチュアやオラクルなどと技術力や商品力で比較すれば、多くの中小SI事業者やシステム・ベンダーは、彼らに太刀打ちできないように思えてしまう。ではどうすればいいのか・・・
3.「一般論としての強み」ではなく、「自分たちならではの強み」へ
このような視点での競合優位を意識しては、はじめから、勝負をあきらめるようなもので、結局は価格で勝負するか、彼らの下請けとしての地位に甘んじるしかない。ならば、彼らとは異なる視点で、自分たちにしかできない競合優位を考えてみてはどうか。それは、お客さまのシステムや業務の現場を理解しているという強みだ。
例えば、受託開発に多くを依存するSI事業者は、お客さまの現場に入り、開発や保守に参画している。そのため、現場の「困った」や「してほしいこと」は、自分のこととして、受け止めているはず。これをExcelでカテゴリー別に整理し、一覧表にしてみる。お客さまは、自分達が本来やるべきことをやってもらえたと、大喜びだろう。そもそも、お客様自身、そこまで現場の状況を把握できていないので、このようなことができるはずはない。つまり、お客様に対して自分達の「強み」を示すことになる。
そして、それについての解決策を提示する。ただし、自分たちにできるかどうかは、別の話。まずは、あるべき姿を示すこと。そして、その内容をお客さまと合意し、次に、自分たちができること、あるいは、できないことを提示する。できないことは、他社を紹介すればいい。とにかく、大切なことは、お客さまの「困った」を解消することだ。このようなことは、ひとつの「強み」となる。
特定のサブ・システムとSI事業者の特定の担当者が、相互依存関係にあり、それぞれに切り離せない関係担っている現実。これで、一定期間の業務量は確保される。しかし、システムの統廃合や刷新により、そのサブ・システムが、不要になれば、業務がなくなる。
このサブ・システムと人との依存関係を断ち切らなければならない。そのためには、自分達の現場で培ったスキルやノウハウをうまく標準化し、サービスにすることだ。現場に深く関わっているからこそできることであり、実績に裏打ちされたものを作る。これは、大手企業には、容易にまねはできない。
ある特定のお客さまについて、このような取り組みを進めてゆくと、多くの点で他のお客さまの「困った」や「してほしいこと」と共通していることに気付く。ならば、それを整理し、他の部門やお客さまに提案することもできる。これは、紛れもない、会社の「強み」になる。
必ずしも新たな強みを一から創造することではない。既存のスキルやノウハウを整理し直し、それを「見える化」した結果、得られる「強み」だ。
どんなすばらしい強みが潜在的にあっても、それを見えるものにしなければ、武器には使えない。
こうやって「見える化された自らの強み」は、提案する人の自覚と自信をも引き出してくれる。それこそが、会社の「強み」を継続的に生みだす原動力になる。
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