イノベーション営業のすすめ(1/5)イノベーション営業とは何か
個々のお客様のニーズや課題を掘り下げ、解決策を提供する「ソリューション営業」も、そろそろ終わりを迎えようとしている。
それはなぜか、どうすれば良いのか、そんなことを今日から5回にわけて考えてゆく。
ソリューション営業は、お客様にとって未知の解決策、あるいは、想定外の解決策を提示することができてはじめて、その本領を発揮する。しかし、情報がさまざまな手段で手に入るようになった今、お客様は自分たちの力で解決策を探すことが容易になった。このような時代に、未知で想定外の解決策を提供することが、どこまで可能なのだろうか。
ITはコモディティ化が進み、これまでになく身近なものになった。IT部門は、テクノロジーの専門家としての役割から、テクノロジーとビジネスの橋渡しをする「プロデューサー」としての役割を求められている。言うなれば、「お客様自身がソリューションの専門家になろうとしている」のだ。
また、経営戦略や事業戦略はITと一体で考えることが、強く求められるようになった。ユーザー部門は、これまでにも増してITへの理解を深め、テクノロジーに関わる予算の決定に影響力を強めつつある。
かつて「ソリューション」であったものは知れ渡り、何をどのように手に入れればいいか、優位性や差別化の視点を第三者にゆだねる必要はなくなりつつある。「ソリューション」もまた、コモディティ化が進みつつあるのだ。そうなれば、あとは価格や技術力を値踏みし、自分たちにとって最適なベンダーを選択し、組み合わせればいいだけの話だ。ソリューション営業で差別化できる時代は終わり、次のステージに移らなければ、営業はその役割を果たせなくなる。
では、これからの営業には何が必要なのか。
「営業3.0: イノベーション営業」
私は次のステージをそのように名付けてみた。もはや、「お客様の課題やニーズ」を起点にした「ソリューション営業」では、営業としての存在価値を認めてもらうことは難しくなるだろう。ならば、「お客様の変化」を起点にしてみてはどうかということだ。
「変わろうとしている」
「変わらなくてはいけない」
「しかし、どう変わればいいのかがわからない」
そんなお客様に、新しい気づきやビジョンを提供することで、いっしょになって変革のプロセスを推進する。そんな役割を担うことができれば、営業は存在価値を持つはずだ。
「変革という課題を解決するのだから、ソリューション営業と変わらないのでは」という意見もあるかもしれない。たしかに、似ているところも多い。しかし、両者の本質的な違いは「ニーズや課題が、既知か未知か」にある。
ソリューション営業は、お客様自身が意識している顕在化されている課題やニーズ、あるいは、こちらが指摘すれば「たしかにそこが課題なんだ」と気づかせることができる潜在的な課題やニーズが存在していることを前提としている。しかし、変革を進めようとするお客様は、変革への意志や問題意識はあっても、「ビジネスプロセスをどのように変革し、イノベーションを起こすことができるのか」を明らかにできていない。「どのような方向に変革を進めていけばいいか」というビジョンやグランドデザインが描けていない。
そこでは、他社の「ソリューション事例」など役には立たない。なぜなら、「自分たち自身がどうしたいか」といったあるべき姿であるビジョンと、それを実現するグランドデザインが明らかになっていないわけだから、その手段としてのソリューションなど決めることができない。
イノベーション営業の役割は、お客様以上に深くお客様を考察し、お客様から新しい気づきを引き出し、お客様自身が自らのビジョンとグランドデザインに確信が持てるように支援することだ。その役割を果たすことができて、営業はお客様にとって、新たな存在価値を持つようになる。
営業1.0 プロダクト営業、営業2.0 ソリューション営業が、不要だとか、もはや役に立たないと申し上げたいわけではない。この段階が、しっかりとできないままに、「営業3.0 ソリューション営業」に至ることはできないだろう。ただ、前者2つに留まっている限り、競争優位を築くことが難しくなる。だから、さらに上を目指すべきと申し上げている。
ビジネスのあらゆるセグメントがIT抜きに語れない今、「ビジネスプロセスの変革」はITの新たな需要を産み出す。つまり、変革のプロセスに関わることがこれからの「営業活動」にもとめられる。では、どのようにすすめればいいのだろう。
これについては、明日紹介させていだく・・・つづく
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