イノベーション営業のすすめ(4/5)営業という言葉の再定義が必要
変革はお客様自身が主導し取り組むこと。外部の人間が主導することはできない。だからこそ、お客様の中に変革の推進者を見いだす必要がある。その人物を支援し変革を加速することが営業活動だ。
ビジネスのあらゆるセグメントが、IT抜きに語れない今、変革はITの新たな需要を産み出す。つまり、変革のプロセスに関わることが、営業活動となる。
「それは営業の役割ではない。コンサルタントの仕事でしょう。」
このような発想自体が、もはや時代遅れだ。営業が、自身の役割について、このような自己規定を持ち続けている限り、イノベーション営業になることはできない。
これまでの営業の「当たり前」は、新しい「当たり前」に置き換わる。これまでのことしかできない営業は、稼げない営業として、役割を失ってゆくだろう。テクノロジーのイノベーションは、ビジネスを変革し、営業という仕事も変革を求められている。これまでの営業という仕事の常識はもはや非常識となり、創造的破壊が進行している。
営業というのか、コンサルタントというのかは、あまり意味のあることではない。営業の本務は、ビジネスの創出で有り、顧客の拡大だ。その目的は変わらないが、手段は時代と共に変わる。
「そんな人材、うちにはいませんよ。経営や業務を変革するなど、うちのような小さな会社には無理ですよ。」
なにも大それた変革ばかりが変革ではないはずだ。自分たちの得意とする業務領域があるはずだ。そこに変革のタネはある。
「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」
松尾芭蕉が、奥の細道の旅を通じて会得した言葉だ。
時代を経ても変わることのない本質的な事柄を知らなければ基礎はできあがらず、変化を知らなければ新たな展開を産み出すことはできない。
「その本は一つなり」
両者の根本ひとつだ。
「不易」とは変わらないもの。どんなに世の中が変化し状況が変わっても絶対に変わらないもの、変えてはいけないものという意味だ。一方、「流行」は変わるもの。世の中の変化に従って変わっていくもの、あるいは変えてゆかなければならないもののこと。
得意の業務領域があるからこそ、「不易」のなんたるかを知っているはずだ。同時に、テクノロジーやビジネス環境の変化を探求すれば、自分たちの業務領域で変えてゆかなければならないこと、すなわち「流行」は何かを知ることができる。
この両者を結びつけ新しい組合せを見出すことが、イノベーションの本質だ。決して、自らが新しい技術を創造することではない。ならば、企業規模に関わらず、変革を促すことはできるはずだ。自らがメディアとして、変革の価値を伝えてゆくことに、大小の差はない。
まずは、こんなところから、取り組んでみてはいかがだろう。新たな顧客の開拓、そして案件の拡大に、新しい道が生まれるのではないだろうか。
・・・つづく
「最新ITトレンドとビジネス戦略【2014年10月版】(182ページ)」を公開しました!
毎月公開しています最新ITトレンドについてのプレゼンテーションです。以下のテーマでまとめられています。
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- モバイルとウェアラブル
- 仮想化とSDI (Software Defined Infrastructure)
- IoT (Internet of Things) とビッグデータ
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今月は、仮想化とSDIについてプレゼンテーションを一新し、解説文書を追記致しました。
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