幼稚な営業
「お客様に頼られる営業になりたいんです。」
営業研修の冒頭で「理想の営業とは」という質問をすると、多くの方から、このような答えが返ってくる。
そこで、「頼られる営業になるためには、どうすればいいのでしょうか?」と切り返すと、意外とその答えは、曖昧であったり、本人に確信がなかったりする場合も多い。
なんとなくではあるが、「あるべき姿」のイメージはある。しかし、そうなる筋道はわからない。しかし、これに答えを出さない限り、「あるべき姿」は、いつまでもイメージのままだ。
では、真剣にこれを追求しているかというと、必ずしもそうではない。
「理想の営業とは」などという質問をされるまでは、そんなことを真剣に考えてもみなかった。改めて質問されて考えてみると「お客様に頼られる営業」が、自分の理想の姿なのかなぁ、となんとなくそう思えてくる。これが、本音だろう。
そもそも、「頼りにされる人」とは、どういう人なのだろう。「相談される存在」といってもいいかもしれない。相談すれば、適時、的確に答えが返ってくる。そんな人は、頼りになる。また、「頼りにされる人」とは、「代替が利かない存在」でもある。
仕事に抜かりがない、仕事が速いといった人も便利で役には立つが、代替は他にもいる。こちらの要望どおり見積りを出し、納期を満たしてくれる人もありがたい。しかし、競合も虎視眈々とチャンスを狙っている。いくらでも置き換えはきくだろう。
しかし、自分の悩みやこれからの方向について、その道筋を示してくれる。あるいは、そこまでゆかなくても、一緒になって真剣に考え、気付きを与えてくれるような存在は、得がたいものだ。頼りになることの条件のひとつとではある。
『幼稚な人間とは知能指数が低いとか、ものをよく知らないということではない。何が肝心かということがわからない、何が肝心かということを考えようとはしない者のことだ』。
「日本よ(石原慎太郎・著)」にこんな記述があった。けだし、名言というべきだろう。
たとえば、自社の製品については、よく知っていている。しかし、競合他社の製品や世の中の動向については、言葉を知っている程度である。自社の製品が、どのような位置づけにあるのか、客観的に評価することができない。
また、スマートマシンや人工知能という言葉は知っている。しかし、それが、世の中の動きやお客様の業務、あるいは自分の将来にどのような影響を与えるかについては、考えたことも、調べたこともない。
このような「肝心」なこと知らない人に、相談しようなどという気持ちが、起こるはずがない。もちろん、絶対の真理などと言うものは、容易に見つかるものではないが、自分なりの見解を持っておくことが「肝心」だ。また、全てについてなどと申し上げるつもりもない。ただ、少なくとも、自分の仕事の領域に於いては、このような心がけを怠るべきではないだろう。
話題の単語やフレーズは、ネットに氾濫している。しかし、そんな言葉の断片を、ディスプレイから脳みそにコピペするだけでは、本質は見えない。言葉の背景にある歴史や思想、目的をつなぎ合わせて体系化しない限り、「肝心なこと」は、分らないままだ。言葉を知っているということと、言葉の本質を理解し、それがもたらす変化や価値といった「肝心なこと」をわかっているということとは、まったく違う次元の話しだ。
「肝心」が分っていれは、もの事の道理が分り、筋道が見通せる。お客様は、そんな人を相談相手に選ぶのではないだろうか。大人が子供に相談しないように、お客様は、「幼稚な営業」を頼りにはしない。
「頼りにされる営業」の条件とは、もちろんこれだけではないだろう。ただ、めまぐるしく変わる技術や製品の表面的な言葉に翻弄されるのではなく、その背後にある「本質」を理解することは、「頼られる営業になる」ためには、大変「肝心」なことだ。
「何が肝心かということがわからない、何が肝心かということを考えようとはしない」、こんな「幼稚な営業」を、お客様は頼りになんかしないだろう。
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*更新しました* 今週のブログ
[どうすればこれまでの事業を守れるだろうか?」を棚上げしてみてはどうだろう
「どうすればこれまでの事業を守れるだろうか?」
新しい事業に取り組もうとするとき、こう考えてしまうのは当然のことです。しかし、既存事業を前提に考えれば、新たな発想はなかなか生まれてきません。また、自分達が今持っている人材やスキル、資金余力、顧客チャネルなど、限られた範囲で、今「できること」を考えようとします。このような「シーズ(種)起点」の発想は、多くの場合、うまくゆきません。
ではどうすれば良いのでしょうか。
今週のブログでは、そんなテーマを掘り下げてみました。