変革を求められる情シス、だからSI営業も変わらなくてはいけない
「情報システム部門は、もう存在感を失っているので、そんなところを相手にしても、ビジネスにはなりませんよ。これからは、ユーザー部門や経営者に直接売りに行ける営業を育てなければいけない。」
先日、あるSIerの営業責任者が、こんな話をされていた。
「情報システム部門は、存在感を失っている」とは、言い過ぎの感もあるが、「存在意義を問われている」ことは確かだろう。それは、テクノロジーが、急激に変化する中、情報システム部門への期待もまた、急速に変わってきたことによる。これまでと同様のシステムとの付き合い方が、もはや時代遅れとなりつつあるなか、どうすれば良いかの答えを見いだせないままに、経営や業務の現場からの期待に応えられないことへの焦りもあるだろう。
あるいは、答えは見えていたとしても、人材の流動性が少ない我が国においては、人の入れ替えは容易ではなく、この変化に即応できないままに、ますますテクノロジーは、その進歩を加速させ、情報システム部門の現実との乖離をさらに大きくしていることも背景にあるだろう。
しかし、だからと言って、彼らを飛び越して、ユーザーや経営者に行けば良いということにはならないだろう。
確かに、彼らと会話し、テクノロジーの価値を、彼らの言葉でわかりやすく伝え、どのように経営に役立てるべきかを説明できる力は、必要だ。ITがこれまでに無く、企業の競争力を左右する時代となり、かれらが、もっとITを理解し、ITの戦略的活用の重要性を理解させることは、お客様の企業価値向上に直結する。その役割を営業が果たすためにも、大切な能力だ。それができれば、結果として、ビジネスもついてくる。しかし、それは、情報システム部門を飛び越えることと同義ではない。
確かに、彼らのこれまでの機能や役割は変えなくてはならないが、経営戦略を支えるためのIT戦略を策定することは彼らの役割だ。また、ITガバナンスを担保し、適切なIT投資のポートフォリオを維持するためにも、彼らの果たすべき役割は大きい。
だからこそ、SI営業は彼らの良き相談相手なり、かれらのIT戦略を一緒になって作り上げ、経営者やユーザーにも魅力を感じていただけるIT戦略や施策作りに貢献する必要がある。また、そのためのドキュメンテーションにも貢献すれば、大いに感謝されるだろう。
これは、彼らの変革を支援することであり、彼らの社内における存在感を高めることに貢献することでもある。
それは、コンサルタントの仕事だというかもしれない。その通りである。営業は、もはやコンサルタントであることを目指すべきだ。その力があればこそ、お客様は、SI営業を相談相手として受け入れてくれる。情報システム部門の変革を支援し、彼らをしてお客様の経営者を動かすことも、これからの営業に求められる大切な能力だ。
「そんなことは、無理だ」、「自分は、そんな経験なんてしたことがない」と思われる方がいるだろうが、もしそうなら、今の仕事を辞めた方が良い。もっと、楽ができて、稼げるところに転職した方が良いだろう。「そんなことは、会社から求められていない」のならば、その会社は、早々と辞めた方が良い。残念ながら、その会社の未来は危うい。
ビジネス環境の不透明感が増し、ビジネス・スピードも加速する中、経営者は、難しい舵取りを迫られている。だからこそ、ITは不可欠な競争の源泉となる。その価値を経営者や事業部門に伝え、それを支える戦略や施策を情報システム部門と共に組み立て、その実現をプロデュースする。営業には、そんな役割が求められている。
「簡単なことではない」。だからこそ、やりがいのある仕事なのだと私は思っている。
黙っていても、向こうから仕事がやってくる時代は、長続きしない。そのときに、自分の存在感を失わないためにも、変革が必要なことは確かだろう。
「システムインテグレーション崩壊」
〜これからSIerはどう生き残ればいいか?
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「ソリューション営業力を鍛えてください。」
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