人脈があるという人の人脈のなさに気をつけなければいけない
「ああ、〇〇さんなら、よく知ってますよ。」
こういう話を聞くと、自分も気をつけなければいけないなぁ、と思わずにはいられない。
私は、安倍首相を知っています。ジョニー・デップさんだって、習近平さんだって、知っています。だから、「私の人脈は凄いんです」とは言えない。
「人脈とは、どれだけの人を知っているかではなく、どれだけの人に知られているか」だと、先達も述べているとおり、自分の存在を知られてこそ、「人脈がある」と言えるのだろう。
もちろん、悪い評判で知られているようでは、なんの役にも立たたないが、「こんなことなら、あの人に聞くといいんじゃないかなぁ」と思わせることや、何か相談を持ちかけると、「ああ、あなたでしたか。あなたなら、協力させていだきますよ。」と言ってもらえてこそ、「人脈がある」と言えるだろう。
私は、こういう人脈こそが、営業力の本質であると思っている。ここで言う営業力とは、営業職の能力という意味ではない。ビジネスのきっかけを掴み、それを拡げてゆく、そんなより広い意味で使っている。
「何かあったら、あの人に相談しよう」と思っていだける存在になれば、売り込みなど必要ない。そういう人脈が増えるほどに、営業力は強化されてゆく。
お客様にお願いし、相談するのではなく、お客様にお願いされ、相談される存在になることを目標とし、研鑽することが営業力を磨き、強化することなのだろう。
そのために必要なことのひとつは、メディア力を高めることである。「営業はメディアになれ」といろんなところで叫んでいるのだが、それこそが、営業力を磨く大切な手段だ。
ブログ、SNS、講演など、自分の想いや考えを外に向けて発信することだろう。それを受け取る人に価値をお届けできる内容とは何かを問いながら、自分の存在を発信することが大切だと思っている。
また、お客様で勉強会を開くことや、お客様に興味を持って頂ける資料や情報をまめにお届けすることもメディアのひとつのかたちだ。
残念ながら、メディア力を高めれば高めるほどに、ネガティブな反応も増えてくることは確かだ。意見の違い、自分の不見識、不適切な表現や言動など、意図するしないにかかわらず、こちらの発信が人の感情や琴線に触れて、手厳しい反応を返され、落ち込むことも増える。しかし、それこそが、「修行」なのであり、そういうネガティブな反応を頂ければこそ、学べることも少なくない。
結局は、プラスマイナスの結果がプラスになればいいのではないかと、それくらいの鷹揚な態度で臨めばいい。
また、こういうことを外に向けて書くことによって、自分が自分に言い聞かせているということも、メディアになることの価値だ。
「オートクライン(autocrine)」という言葉がある。生化学の用語で「細胞が出したホルモンがその細胞自体に作用する自己分泌のこと」を意味している。これをコーチングでは、ホルモンを言葉にみたて、「自分で話した言葉が自分自身に作用すること」という使い方をしている。
自分の発した言葉が相手に伝わると共に自分にも伝わり、そのことによって、物事が整理され、新たな気付きやアイディアを生みだし、決意を固めることを促す効果があるとされている。そういう意味でも、メディア力を高めることの価値は大きい。
改めて想う。「ああ、〇〇さんなら、よく知ってますよ。」には、自分も気をつけなければいけない ^^;
今週のブログ ---
マーケティングなきSIerの厳しい将来
Facebookページを開設しています。ご意見など頂ければ幸いです。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/ LiBRA
Kindle版 「システムインテグレーション崩壊」
〜これからSIerはどう生き残ればいいか?
- 国内の需要は先行き不透明。
- 案件の規模は縮小の一途。
- 単価が下落するばかり。
- クラウドの登場で迫られるビジネスモデルの変革。
工数で見積もりする一方で,納期と完成の責任を負わされるシステムインテグレーションの限界がかつてないほど叫ばれる今,システムインテグレーターはこれからどのように変わっていくべきか?そんなテーマで考えてみました。