言葉にならない気持ち
GW半ばの1日、ふと立ち上げたメールボックスに興味深いリリースが飛び込んできた。すでに記事にもしている「刑務作業でRuby、世界初の受刑者によるソフトウェア開発」がそれだ。これを見て、「ほほう、刑務作業でソフトウェア開発ですか」などと悠長に構えつつ見ていたのだけど、最後までリリース文を読んでみて浮かんでくるのは、「いったいなぜ? どうして?」という不可解な気持ちばかり。
それは例えば、「プリズニーズ」という企業そのものについてであったり、受刑者にRubyを教える人選やそのカリキュラムなど、少し考えるだけで幾つも浮かんでくるわけだけど、いったい総務省はどういう基準で刑務作業の提供企業を選定しているのかと思うことしきり。
プリズニーズについて言えば、設立は1週間ほど前の2007年4月24日といわゆるベンチャー企業である。事業内容を見ると、「社会貢献事業、刑務所ITアウトソーシング事業」とあり、かつ取引先が「セコム」「社会復帰サポート美祢」となっている。社会復帰サポート美祢は今回刑務作業でソフトウェア開発が取り入れられるPFI刑務所「美祢社会復帰促進センター」の整備・運営事業を落札した「美祢セコムグループ」が設立した特定目的会社(SPC)であることを考えれば、プリズニーズは実質的に美祢社会復帰促進センターで行われる刑務作業の提供企業であることが分かる。
我が目を疑ったのは、「女子受刑者にプログラミング言語教育を行っていただける方を急募」という文言である。明らかにリリースの内容に相当する案件のことだと考えられるが、決まっていなかったのかと驚くことしきり。しかも募集している人材は、必ずしもRubyでの開発経験を必要としておらず、「なんらかのプログラミング言語で2年以上の業務経験のあるかた」とされている。受刑者に教えるのは「基礎」であるからエキスパートでなくともよい、という論理も考えられるが、往々にして教える側には相応の知識が求められる。そもそもリリースを打ったにもかかわらず、実際にはその体制が整っていないというのはどういうことだろう。あまりにもずさんではないか。
プリズニーズはてっきりセコムの関連会社かと思っていたが、Webサイトを見てみると、どうも素人くさい感があり、とてもセコム関連会社とは思えない。昔からどうでもよいことにこだわる自分は、何となく調べているうちに、同社の代表取締役である吉田氏は「ローカルホスト80」なるサイトも運営しているようだった。ローカルホスト80の会社所在地はプリズニーズと同じ場所であることからも、それは間違いないだろう(後の電話で確認済み)。ローカルホスト80については、携帯電話を使ったポイントサイトのようだが、Googleなどで見る限り知られたサイトであるようだ。
●電話してみる
ここまで来たら聞いてみた方が早い、そう感じた自分はプリズニーズに電話してみることにした。電話に出てくれたのは吉田氏。どうやら代表取締役の吉田氏本人であるようだ。
同氏からはいろいろとお話を聞かせていただいたが……続きは次回。久しぶりにドキドキものの展開です。