さよならありがと
すでにスラドなどで報告されているとおり、オープンソースマガジン(旧UNIX USER)の休刊が決定した。技術者向けの月刊誌が相次いで休刊となる時代の中、仕方ないと言えば仕方ないのだが、非常に心が痛む。
旧ソフトバンクパブリッシング時代に自分の最初の配属がUNIX USERで、自分がITmediaに移って以降、編集部員は入りこそすれ、出ることはなかったように記憶するほど会社の中でも人の流動性が極めて少ない部署と化していた。それ故に、最終的な編集部員は精鋭となり、特に会社に住んでいるのでは? とひそかにささやかれていた渡辺編集長は世に言う「ナベシンマジック」を武器に活躍する希代の編集者として編集部員をまとめあげていた。ナベシンマジックをご存じない方のために、折しも佐渡氏がこの点についてエントリを書いていたので、そこから引用する形で説明すると、
2ページの中途半端な原稿が4ページの完璧な原稿に印刷所行き直前で書き変わる素晴しい編集能力
がナベシンマジックである。見よう見まねでこれをまねすると、著者からこっぴどく怒られるという諸刃の剣である。見事なまでに原稿を解体・再構築するその技は、何度も模倣を試みたが、あれはどうやら一子相伝の技のように思う。
編集者としての基本的なスキルをたたき込まれた自分のUNIX USER時代だが、特にリリース起こしはこの時期に相当仕込まれた。1本20文字×18行程度の中で内容を詰め込むこともそうだが、それを20本書かないとならないので、ホント気が滅入る作業だった。渡辺さんに「Mさん(渡辺さんの先輩にあたる方、現在はITmediaの偉い人だったりする)は、2時間くらいで片付けていた」と聞くにつけ、自分のセンスのなさをよく嘆いていたことを思い出す。
ともあれ、「ありがとう、そしてさようならUNIX USER」とでも題してお別れ会でも開催すれば、オープンソースの世界で名だたる方たちが集まってくれるのではないかと思ったりするが、そんなことを考える前に、ここ10年分くらいの雑誌PDFをDVDとしてリリースしてくれるようにオソマガ編集部詣でに行ってきたいと思った。
ともあれ、オソマガ編集部のみなさん、少し気が早いですがお疲れさまでした。何らかの形で一緒に仕事ができればいいなと強く思います。