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メイド総論

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メイドなんたらのたぐいのビジネスが止まらない。

メイド文化の発祥地である秋葉原では、昨年あたりからこうしたメイドカフェがメディアに露出する機会が増えたこともあり、さまざまなサービスにメイドを絡めたビジネスが展開されるケースが増えてきている。すでに「メイドカフェ」はある会社が今年になって商標登録を行っているが、こうした動きを見てもメイド系のサービスはまだまだ広がるように見える。

メイドカフェブームの火付け役といえば、秋葉原のドンキホーテ5階にある「@ほぉ~むcafe」ではないだろうか。メイドとジャンケンやミニゲームで遊ぶその光景はメディアを通して幾度となく露出されたので目にした方も多いだろう。さらにこの店では、メイドにCDをリリースさせたり、タレントをメイドにしてしまうなどの手法で多くの客を取り込むことに成功した。

メイドがタレント化したことで、それにあこがれる女性も急増している。それまでのメイドで主流だったいわゆるコスプレーヤーだけでなく、制服のかわいい店で働きたいという一般的な女性もメイドの募集に応募するようになり、すでにメイドの求人倍率は100倍になることも珍しくないほど非常に高いものとなっている。このことが結果的にメイドの外見的レベルを向上させ、さらに客足が増えるというループに突入させた一因でもあるだろう。もっとも、こうした動きの陰で、メイドがストーカーなどの被害に遭うという事件も報告されるケースも多く、概してメイドたちの定着率は低い。

●メイドサービスの2極化

メイドビジネスが多様化し始めていることはすでに述べたが、そのトレンドが変化してきたようだ。飲食系のサービスに代表されるように、それまではどちらかといえば「見て楽しむ」ことがベースとなっていたメイドビジネスだが、それが接触を伴うものに変わってきている。
以前のエントリで紹介した「メイドヘアサロン moesham」は、メイドが髪を洗ってくれるというサービスをひっさげ9月にオープンした。美容室の機能も持つが、シャンプーだけなどのコースが人気を博している。もちろん、メイドとの2ショット撮影などお約束のメニューも用意されている。メイドカフェで問題となりがちな客の回転率についても、基本的には作業が終了したところで一段落するので、メリハリがある。

メニュー

オーナーによると、色モノに見られがちだが、ビジョンとしては「旦那様のアドバイザリ」であるという。そしてその第一段階がファッションなのだ。いわく、オシャレを知らない男性--少なくとも周りからオシャレと思われていない--は多く存在する。そうした男性にメイドがアドバイスすることで、トータルの外見、ひいてはその人自身を変えていくことを狙っているのだという。すでに脱オタクファッションガイドとコラボするなどその方向性が見えているが、今後はメイドがご主人様に合った服を買ってきてくれる(または一緒に行く)などのサービスも期待されよう。すでにメイドをイベントなどに派遣する派遣ビジネスを手がけるところもあるが、こうしたケースが今後のトレンドになると予想される。

ところで、メイドヘアサロン moeshamには、非常に人気のメイドカフェから移ってきた有名なメイドがいる。彼女になぜ店を移ったのかを聞くと、「もっと(旦那様と)話したりしたかった」のだと言う。前述のようにメイドカフェは「見て楽しむ」ことをベースとしており、メイドと客の間には何かしらの壁が存在する。よりお客とのコミュニケーションを求めた結果、店を移ることを決断したのだという。実際、この店におけるメイドを見ると、今なんとなく形成されている「メイド像」をいい意味で変えているのではないかと実感できる。

メイド P1040249.JPG

また、美容師免許を持つメイド長は、「普通の美容室に入っても、それではただ働くだけに思えた。この店のように話題となるような場所に身を置くことで自分のためにもなると思う」と話し、単なるコスプレによる自己満足だけでない意義を見いだしている。

メイド長

さまざまな形態のメイドサービスが増えているが、今後それらは2極化していくのではないかと思う。従順そうなメイドがリクエストにしたがって受動的かつ献身的に働くサービスと、メイドが能動的にコンシェルジェとして振る舞ってくれるサービスの2つだ。自分に仕えてくれているという感覚を得やすいという意味では後者のほうが人気を博す可能性もある。人件費が非常にかかるビジネスなので、価格面が気になるところではあるが。

ただし、メイドビジネスに参入しようとする人間の多くは、全体的に秋葉原の文化に対して意識が低いことが多い。あくまでビジネスとして考えているため、思ったより利益が出ないなどの理由ですぐに撤退するケースも目立つ。オーナーには腰を据えて取り組む覚悟だけでなく、メイドまたは秋葉原の文化に精通していることが求められるのではないだろうか。

この文を20分くらい真剣に書いたあと、ふと我に返った。深夜にこんな画像を処理している自分が悲しい。「ないだろうか」とか書いちゃってもう見てらんない。

 
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