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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

記者クラブは開放してほしいけど

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 ここのところ記者クラブ開放に関する話題が気になる。政権交代したら政府会見を記者クラブ以外にも開放する・・という話があったのだ。新聞やテレビなどすでに開放されていたメディアはあまり報じなかったけど。

 先日、用事で地下鉄国会議事堂前で降りた。周辺地図を見ると出口のすぐ近くに国会記者会館というのがあるので、通りすがりに道路からチラ見してみた。入口には筆字で縦書きの看板が掲げてあった。看板のあるところから見ると道路の向こうに国会の側面があり、左を向けば道路の向こうに首相官邸の正面があり、それらの間となる斜め前には議員の事務所となる国会議員会館があり、すぐ背後には内閣府、その奥には省庁のビルが並ぶ霞ヶ関。まさに政治の中心、となるロケーションだ。

国会記者会館周辺

 #画面キャプチャでごめんなさい。久しぶりにGoogleMapを使おうとしたのだが。。

 前に新聞の政治記者さんとお話しできたことがあるが、普段からこのあたりをぐるぐる回って取材しているらしい。当時は自民党担当だったが、今年あたりから民主党担当になったのだとか。そして意外にもかわいいノートにメモしていて親近感が持てた。だが政治との距離は雲泥の差である。

 昨今ではネットのおかげで少しは政治が身近になってきている。委員会をライブ動画で見たり、議事録を検索することもできる。だがこれまでの政権では政治は一般の視界には入らないところで動いていたし(もちろん今後もある程度は同じだろう)、それを間近に知ることができるのは特定のメディアや関係者のみだ。筆者は政治ネタで記事を書ける立場ではないが、興味ある話題なら自分の目で見てみたい、と思うことはある。政治に興味があれば至極当然な欲求だ。だからこそ少し前に政権交代したら記者クラブを開放するという発言は画期的だったし、多くが期待した。

 ところが政権交代してみたら実現が不透明となれば、怒りや反発が起きるのは必至。イメージとしては「政権交代したら、新しいわが家のそばの会員制クラブにもご招待しますよ。そこでいろんな話をしましょうよ」と誘われていたのに、いざその時が来たら「いやちょっと警備上の問題で…」と難色を示されれば「裏切られた。仲間に入れてくれるのではなかったのか」という気になる。

 記者クラブ開放の件はまだよく分からないが、前よりオープンになるなら望ましいことだと思う。これまでも海外メディアなどから記者クラブを問題視する指摘はいくつか見てきた。閉鎖的だとか、オフレコの懇談会とか。それで一般の人には限られた情報しか届かない。クラブのメンバーが増えれば、習慣も変わるだろうし、違った視点からの記事が出る可能性もある。

 だが一方で、記者クラブだけが政治の情報を得る場ではないと思う。もちろん政治の中核ではあるけれど。政治ってもっと遠く広いところからのうねりが永田町へと届いて形になるものではないかしら。記者クラブに入れなくても政治ネタを拾える場所はあると思う。それに同じ記者会見の内容ばかりが散布されることになったら面白くないしね。

 民主主義に欠かせないのは報道の自由。いくら主権や判断が民に委ねられていても、正しい情報が得られなければ正しい選択はできない。記者クラブ開放の件は、いい方向に進むといいなと願っている。

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