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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

ヒーローたちを通じて法律を考える本

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 UFO論争に参戦するつもりはないのだが、もしそうした話に興味があるのならこの本をどうぞ。

UFOじゃないよ、雪だるまだよ  念のためUFO論争とは、民主党の山根隆治参議員の質問主意書を発端とする、主に政治家の間で交錯しているUFOに関する認識や意見……という感じだろうか。政府はUFOの存在を確認していないとの答弁書を閣議決定するものの、町村官房長官はナスカの地上絵を引き合いに出してUFOの存在を信じると主張したり、石破茂防衛相が「災害派遣が使えるのか。領空侵犯でもなさそうだ。防衛出動なのか」などとUFOの存在を仮定した上で大まじめに持論を展開したとか。「見た」とか「いない」とか「見てみたい」とか、もうなんだか。一種の余興なのだろうか。政治の場が非現実的な仮定の上に盛り上がるのはどうかとも思うが、議論のテーマにすると面白みがあるのは分かる(わが家でもこの手の議論はよく盛り上がる)。

 UFOの存在うんぬんについてはさておき、もしそうした仮定の上で法律を考えるのが面白いと思うなら、「空想法律読本」をおすすめする。ウルトラマンや人造人間キカイダーなどの世界で日本に実在する法律を適用したらどうなるか大まじめに考察する本だ。

 例えばウルトラマンが怪獣と格闘してビルが倒壊したら、その責任は誰が負うか。この問題について本書では刑法の正当防衛や緊急避難から建造物損壊罪を当てはめてみたりする。ほかにも「仮面ライダー連続蹴殺事件」、「マジンガーZ没収事件」、「エイトマンスピード違反事件」などと事件としてとらえ、刑法、道路交通法、相続まで考察している。

 ただあれこれ考えても、そもそもとなる前提が非現実的なのだから議論の経緯は面白くても結論は適切なものになるとは限らない。これは法律とは万能ではなく、適用には想定した範囲があるということだと思う(実際には大昔に制定した法律で、すでに陳腐化した法律もあるが)。加えて法律というのは人間が人間のために考えたものなので、人間以外の存在に適用しようとすると限界が生じてしまう。本書を通じてそんなことを考えていただけたら、より有意義だと思う。

空想法律読本〈1〉 (空想科学文庫)
空想法律読本〈1〉 (空想科学文庫) 盛田 栄一

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 本当にUFOが襲来したら後で特別措置法とか作って対応するのかな(ぼそっ)。。。

Comment(2)