女性向けIT雑誌企画会議
「IT系雑誌はどうして男性向けの構成しか組まないのだろう」と夫が疑問を呈した。
「男性向けってどういうこと?」
「だって女性雑誌のように表紙に読者モデルが掲載されないし」
「『みつけた!ボクの一押しハードディスク』とか部品持ってニッコリ笑う電車男風の読者が表紙?売れるかなあ」
「じゃあ『後で言い寄られないように、オタクにパソコントラブルを質問するコツ』とか」
「ヒットアンドランですか」
「それは野球。それをいうならヒットアンドアウェイ」
「そうね。野球は打ったら走らないと」
「あと『彼のオタク度チェック』とか」
「あー。彼女の前でオシャレに装っていても、オタクを隠しているかもしれないと。鞄の中にUSBメモリくらいならOK、ぷちぷちにくるまれた部品が出てきたら要注意とか。おでん缶が出てきたらやばいかも」
「付録に『IT業界のイケメン、トレーディングカード』とか」
「トレーディングカードという時点で男の子向きですが。それならプリクラやケータイのフレームでしょ」
「『女の子が間違えてはいけないIT用語』なんてのは?」
「けっこうあるかもね。あっ!思い出した!私も騙された!!」
「たとえば鯖といっても魚ではなく…」(無視される)
「2ちゃんのトップに『「ハッキング」から「今晩のおかず」まで』ってあって、ずっとずっと2ちゃんにはレシピ板があるものと思ってた。2ちゃんねらーが『キターー。○○食品からドライトマト瓶、新発売』とか茶わん蒸しのコツとか語っているのだと信じていたのにーー。『えみちゃん。それは違うんだよ』と指摘された時はもうショックで。ショックで」
「……」
「ずっとずっと騙されていたのね、私。2ちゃんねらーに。ううう(涙)」
「ていうよりは、ひろゆきかな」
「ハッキングから料理まで、とくれば確かに広いと思ったのに」
「それに比べれば実態は狭い」
「はあ(笑い涙)。きっとこういう語彙(ごい)のギャップはまだあるわね」
「じゃあ『女の子のための2ちゃんねるの歩き方』とか。雑誌社に売り込んでみなよ」
「イヤダ」