オルタナティブ・ブログ > C'est la vie >

デジタルとアナログの間を行ったり来たり

ブログと日本語のくびれ

»

 素朴な疑問。ブログでは段落はじめに全角スペースを入れるべきか。結論からいえば、大した問題ではないような気がする。だが職業柄、軽視していいものだろうか。とりあえず自分のルールとしてスペースは入れることに決めた。

 大した問題ではないが習慣を考慮するという点で似たようなことを思い出した。学生時代に理学部数学科の友人が「日本語の横書きでは句読点はコンマとピリオドが正しい。数学の教科書もそうだろう」というので、なるほどと思ってまねることにした。卒業後もしばらくはパソコンを使う時にはわざわざ句読点の設定をコンマとピリオドにしていた。

 だが仕事として原稿を出すようになり、コンマとピリオドはテンとマルに置換される。きっと一括変換しているとはいえ、編集さんに作業を増やすのは申し訳なく感じた。それで日本語変換の設定を変更することにした。その時コンマとピリオドに別れを告げるような、どこか名残惜しい気がした。

 話を元に戻すと、ブログで段落はじめにスペースをいれるべきか。これはレイアウトとして必要な習慣なのだろうか。つまり段落はじめのスペースとはインデントの役割があるのだろうか。それならスペースは本文には含まれないものなのだろうか。などと疑問が生じてきた。

 レイアウトならスペースを使うよりスタイルを設定するべきだろうかとも考えた。CSSには最初の1文字目だけに適用する first-letter 設定があるが、それを使うべきか。試しに実験してみたことがある。すると段落の最初にカギカッコがある場合や、個条書きの場合には都合が悪くなることがあると分かった。とりあえずは手動でスペースを入れるのが確実のようだ。

 こんなことで悩むのも理系出身で日本語をきちんと学んでいないからだろうか。なんてことを考えていると、こんな風にアドバイスをくれた人がいる。

日本での作文は原稿用紙というグリッドが文部科学省推薦の原稿のモデルです。パラグラフの区切りを明示するために、1文字空ける習慣になっていたわけです。

 これですっきりした。段落の区切りを分かるようにするためか。

 段落の区切りを分かりやすくというのなら、Webでは空行がよく使われる。それなら空行さえ入れればスペースを入れる必要はないような気もする。しかし習慣は習慣で、お作法だからやっておいたほうがいいような気もする。

 そうこう考え、結局段落の間には空行を入れ、段落はじめにはスペースを入れるように決めた。ただし誰かやどこかが指針を決めているわけでもない。あまり気にすることもないのかもしれない。それにブログだとメールや掲示板に書いているような気軽な感覚がある。原稿用紙に向かっている感覚がないためスペースは忘れがちだ。でもそれでいいと思う。

 思えば原稿用紙も縦書きもすっかり縁遠い。縦書きだと段落はじめのスペースは「へこみ」というイメージだが、横書きだとやや違う。左側に垂直に引かれた線にところどころ見えるへこみは「くびれ」という表現の方が合っているような気もする。

 ブログは日本語の習慣に変化を与えるだろうか、なんて考える今日このごろ。

Comment(10)