クラウド・コンピューティングは、ユーザの視点
バズワード (専門用語のようであるが、実は明確な合意や定義のない用語。キーワード・マーケティングなどに使われる。) など、あまり使う気はないのだが、明確でなくとも、ある程度「こっち方面」的な使い方が出来るものは、便宜上使ったりする。
今回は、「クラウド・コンピューティング」について、ある程度まとめてみたい。現在、コンピュータ環境は、好むと好まざるとに係わらず、メインフレーム、 クライアント・サーバ、インターネットなどの混在環境にある。すでにメインフレームとクライアント・サーバの進歩は停止したが、ネットワーク上での、サー バ側のさまざまな技術やビジネスモデルは、進化し続けている。
Web2.0、仮想化、ASP、データセンターサービス、オンラインストレージ、SaaS、グリッド・コンピューティング、オープンソースソフトウェア、 マルチコアプロセッサ、検索技術、Wiki、・・・。まあ、きりがない。さて、こういったものをいちいち意識しながら、何十億人もいるインターネットユー ザが、アクセスをするのだろうか。
たとえば、単純な話、インターネットにアクセスするとき、いまだにURLをキーインするひとがいるだろうか。普通、Google に検索キーワードを入れて、検索結果からアクセスするのは、当たり前だ。普通のインターネットでもそうだし、社内の情報だって検索で探す。まさか、いまだ にポータルを通してのみアクセスしているなんて、いませんよねぇ。
そこで、Google の CEO エリック・シュミットが、「雲」と言い出したのだ。ユーザには、ブラウザなり、ターミナルなり、さまざまな「アクセス」するものから、ネットを通じて 「雲」の向こうにアクセスできるなら、それでユーザの要求が満足されるのなら、それこそ、人類が望んでいたコンピューティングのあり方ではないか。
きのう私が投稿した、ジム・ベイティ博士のビデオ、もう一度見てみよう。HEREnetのユーザが次のインターネットユーザなのだから。さらには、そう いった新しいユーザが、もっと自由で美しいデザインで、情報にアクセス出来たら、最高だ。それを実現する一つの手段が、「JavaFX」である。これを RIA(Rich Internet Application:リッチ・インターネット・アプリケーション)と呼んでいる。
さて、ユーザからの視点が「クラウド・コンピューティング」であったとしても、IT部門も「雲」しか見えないのでは仕方がない。IT部門側からは、可視化 されなければならない。「クラウド・コンピューティング」は、ユーザの視点とIT部門の視点が異なるのが特徴である。貼り付けた図を参照してもらいたい。
さて、この「クラウド・コンピューティング」を視野に入れながら、小さなアプリではなく、ある程度以上の企業の中で、いかに新しい IT サービスを設計していくか、どの「クラウド・コンピューティング」の説明にも、そこまでは記載されていない。
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さて、そういったIT
サービス設計の新しい方法論を、少し時間をいただいて講演しようと思っています。6月12日(木)午後1時半開場で、サンの用賀オフィスで開催します。小
さな企業の「雲」は人間が把握できるサイズなので、一般に大企業と呼ばれている企業のIT
部門、企画・開発の方々が対象です。その企業での多くのプロジェクトを束ねる立場の方に最適だと思います。
サンなので、さすがに Java なしでは済みませんが、いまの IT の実環境を充分に把握・認識した方法論になっています。
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