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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

北添裕己著「SEからコンサルタントになる方法」から - コンサルタントの必然性について

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私も20代のころ、一応、SEだった事がある。「一応」というのは、所属が情報システム部で、そこのエンジニアだったから、というだけだからだ。正式な役職は、Information Systems Engineer (ISE) だった。プログラミングやシステムの導入をやっていたが、先輩からは、もっと上流工程を狙いなさい、と言われていた。

当時、ITのコンサルタントという業務自体がなかった、あるいは一般的でなかったけれど(えっ?いつ頃かって。くそ、80年代前半だい!)、上流工程がシステムを左右すると言われ、上流工程は上級のエンジニアの仕事だった。

現代は、業務が細分化、明確化され、プロフェッショナルになり、その上級の役職を今は「コンサルタント」と呼ぶのだろう。

コンサルタントの一番重要な業務は、経営者への提言だろう、と思っている。IT は、どんな企業にとっても、大きな武器になりうる。業務のうち、情報を取り扱う部分は、すべて IT 化が可能なはずだ。していないのは、経営者に想像力がないからだが、経営者にすべてを求めるのは、酷である。

これからは、財務・経理と IT 部門が経営者を補佐する両輪にならなければ、その企業は破綻する。そして、財務・経理も IT も、自社内の人的資源だけでは、短期間に的確な提案を経営者に出していくことはできない。だからこそ、コンサルタントが必要となってくる。コンサルタントに任せきるのではなく、財務・経理や IT 部の縦糸とコンサルタントの横糸との連携で、初めて企業の方針を左右できる提案とその実施が可能になる。

Torapapa_book_2 北添さん(というかトラパパさん!)の近著「SEからコンサルタントになる方法」は、そういった理想像の話以上に、コンサルタントの現実を明らかにしている。そういった現状を元に、どうしたら問題点を打破し、能率を高め、かつ、コンサルタントとして実行するべき、本道とその心得を書いている。すなわち、

 

 

 

 

  1. コンサルタントに憬れる SE にとっては、懇切丁寧に書かれた準備書である。
  2. 現在、コンサルタントをされている現役の方々にとっては、コンサルタントの基本を考え直し、修正し、正しい方向性を目指すためのガイドである。
  3. プロジェクトを推進している IT 部門の担当者にとっては、プロジェクトを依頼しているベンダーが、どういった問題に直面しているのか、再度、振り返って反省するための良質な材料である。
  4. IT業界に関与する人たちにとって、結局、IT業界の成功は、このコンサルタントと呼ばれている人たちにかかっていると考えるなら、ITの今を考えるための良書である。
  5. これから、IT業界を目指そうとしている若い人たちにとって、気持ちを引き締め、自己研鑽するための入門書である。
  6. これだけ誉めたので、一杯おごってください。

m(_ _)m

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