ファシリテーター。坂本龍馬。そして実行する人。
「走れ!プロジェクト・マネージャー!」の ooki さんが「ファシリテーターは要らない?」というブログを書かれているので、触発されて投稿します。
以前お客様から私に対して「ファシリテーターとして、良くやってくれた」という内容の言葉をいただき、そのこと自体はたいへんうれしく、また、そのように考えていただける事ができたのかな、と思いました。「ファシリテーター」言われたこと自体、初めてだったのですが、それをきっかけに、少しファシリテーションについて考えてみました。
何はなくとも Wikipedia なので、Wikipediaを見てみると、こんな感じです。
「ほう、坂本龍馬はファシリテーターだったのか」
Wikipediaによると、
龍馬は薩摩・長州いずれの藩の利害も代弁せず、外圧に対抗するため薩長連合の実現を最優先事項として両勢力に関わる。
坂本龍馬がほんとうにファシリテーターならば、龍馬がなにを成したかを見ればファシリテーターの役割の一端がわかるのかもしれない、と思いました。坂本龍馬が実現したのは、
- 神戸海軍訓練所
- 亀山社中(のちの海援隊)
- 薩長同盟
- 船中八策
神戸海軍訓練所は勝海舟が建てたもの、坂本龍馬は塾頭だった。亀山社中は坂本龍馬の発案。訓練所も社中も多くの仲間が集まって運営している。薩長同盟は、上記のように坂本龍馬は双方を取り持った。船中八策は、ほんとうに坂本龍馬が作ったのか、わからないそうだが、大政奉還を進める起爆剤にはなったのでしょうね。船中八策は以下の8条です。
- 一策 天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事
- 二策 上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事
- 三策 有材ノ公卿諸侯及天下ノ人材ヲ顧問ニ備ヘ、官爵ヲ賜ヒ、宜シク従来有名無実ノ、官ヲ除クベキ事
- 四策 外国ノ交際広ク公議ヲ採リ、新ニ至当ノ規約ヲ立ツベキ事
- 五策 古来ノ律令ヲ折衷シ、新ニ無窮ノ大典ヲ撰定スベキ事
- 六策 海軍宜シク拡張スベキ事
- 七策 御親兵ヲ置キ、帝都ヲ守護セシムベキ事
- 八策 金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事
つまり、多くの人を納得させ、ひとつの方向に向けてまとめ上げていく事が、ファシリテーターの役割の重要な部分であると思われます。
坂本龍馬がファシリテーターの最高峰だったとして、しかし明治維新を成しえたのは、大久保利通や西郷隆盛、木戸孝允、後藤象二郎など考え方もやり方も、求めていた新政府の構想も全部異なる人々の群れだった、ということになりますね。坂本龍馬が、近江屋で暗殺されなかったら、歴史は変わっていたのでしょうか。明治維新直後では、坂本龍馬の評判は大したことは無かったとも言われています。
結局のところ、明治維新で元勲と呼ばれた人たちは、実際に維新を実現する為に刃や鉄砲玉の下をくぐって活動を続け、生き残った人々なのであって、実行をした人々なのです。ファシリテーションが方向付けなら、その後、その目標を達成するために実行した人が評価されるべきなのだろうな、と思います。だから、私はファシリテーターと呼ばれるより、実行者と呼ばれたいものだと思っています。
追伸:ところで!龍馬の船中八策のうちの第三策、「有材ノ公卿諸侯及天下ノ人材ヲ顧問ニ備ヘ、官爵ヲ賜ヒ、宜シク従来有名無実ノ、官ヲ除クベキ事」など、いまだに達成されていませんね!