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COACH は成功した (のか?)

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コーチ (COACH) というレザー製品の会社は、みなさんご存知でしょう。最近は総合ファッションブランドとしての位置を確立しており、「C」のモノグラムのキャンバス地のバッグなどで女性に人気ですね。 

COACHは1941年ニューヨーク・マンハッタンに創立された家族経営の小さなショップからすスタートしています。1985年に会社ごと買収され、2000年にニューヨーク市場に株式公開をしました。その後、特に日本市場を中心にマーケットリサーチを充分にし、日本の有名デパートの一階にコーナーを構え、若い女性をターゲットにした、カラフルですてきなデザインのバッグを中心に販売を伸ばしています。最近は、COACHの専門ショップも繁華街に行くと必ずあるようになってきました。ここ5年間の株価をみても、確実に右肩上がりの伸びを示しており、たいへんに優良な株といえます。

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しかし、私にとってのCOACHは違うものでした。

 

COACHのレザー製品は、もともとは野球のグローブの皮を使い、要所要所はダブルステッチで縫ってあり、長年に渡って使える、丈夫でしかもセンスの良い製品でした。たとえばこのメトロポリタン・ブリーフなど。この頃のCOACHの製品の特徴は、ロゴが表に出ないことでした。ブランド・ロゴなどなくとも、ひとめでCOACHとわかる上質な皮とスタイル。昔は大人の男性のブランドだったのですね。

あと私が好きだったのがベルトです。プレーンなバックルで、2インチごとに長さが固定のベルトを愛用していました。つまり、長さ調節式のベルトではありません。このベルトも外からはロゴは見えないようになっており、バックルはすっきりとしたデザインでロゴなし。表の厚みのある皮と裏の滑らかな皮を接着し、ふちを巧みなステッチでしっかりと縫ってありました。ロゴは裏の皮にひっそりと型押ししてあるだけでした。

ちゃんとしたベルトは、5つ穴の真ん中(右からも左からも3番目の穴)で止めます。この穴もCOACHは丈夫なのですが、さすがに数年使ってくると楕円形に伸びてきます。これはみっともないので、交換時です。あと私は太ったりやせたりするたちなので、数年に1本COACHのベルトを購入していました。

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昨年、久しぶりに購入したのですが、すべてのベルトのバックルにロゴがついていたので、一番ロゴが目立たないものにしました。ステッチはなく、ステッチに見せかけた型押しをしてあるだけでした。そして、値段は昔の数倍になっていました。まあ、時代は変わるのか。しかし何回か使っているうちに、なんと表の皮と裏の皮が剥がれてしまいました。こうなると使い物になりません。かみさんは突っ返して来いと言うのですが、私はなんかがっかりして、そんな気持ちにもなれませんでした。

 

結局のところ、COACHのビジネス上の成功は、徹底したマーケティングにあると思います。男性用かばんだけでは、TUMIやHartmannなどの競合他社が現われ、かつ、丈夫で長持ちする製品では、購入機会が減少し、利潤を上げられません。ターゲットを日本の若い女性に変更することにより、活路をひらいたのでしょう。
 

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そう、COACHは成功したのです。でも、もう私のお気に入りのブランドではなくなってしましました。COACHにとっては、なんでもありませんが、私にとっては困った問題です。これからどのブランドのベルトを購入したらいいんだろう。 

 

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