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日本版O-netによるITエンジニアの分類

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日本版O-netをご存じでしょうか?日本版というからには英語版がありまして、アメリカでは様々な仕事に関する標準的な分類を政府が提供することにより、学生さんが将来の進路を考えたり、企業が求人を出したり、求職者がそれを探したり、個人が目指す職業に向けて必要な職業訓練を受けやすくなったり、ということを実現しています。日本では、

職業情報提供サイト(日本版O-NET (※))は、「ジョブ」(職業、仕事)、「タスク」(仕事の内容を細かく分解したもの、作業)、「スキル」(仕事をするのに必要な技術・技能)等の観点から職業情報を「見える化」し、求職者等の就職活動や企業の採用活動等を支援するWebサイトです。

というような目的でサイトが立ち上がりました。2020年3月のことです。

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/

私も情報サービス産業からの意見を出す機会があり、分類に関して材料を提示いたしました。

さてITエンジニアはどのような分類になっているかというとこんな感じです。

デジタルビジネスイノベーター

IT(情報技術)を含むデジタルの技術によってビジネスや社会の変革を目指す。

ITコンサルタント

顧客のIT戦略に関して、コンサルティングを行い、提案、助言する。

システムエンジニア(基盤システム)

ITインフラ(情報システムのインフラ:基盤システム)を設計、開発する。

システムエンジニア(Webサイト開発)

Webサイトを設計し、開発する。

システムエンジニア(組込み、IoT)

家電製品や機器機械の中に組み込まれたコンピューターを制御するためのシステム開発を行う。

プロジェクトマネージャ(IT)

IT分野での開発を行うプロジェクトチームの責任者として、プロジェクト実行計画の作成、予算、要員、進捗の管理などを行う。

ソフトウェア開発(パッケージソフト)

パソコンにインストールするパッケージソフトを企画、開発する。

ソフトウェア開発(スマホアプリ)

スマートフォンで利用するアプリを開発する。

プログラマー

システム開発において、システムエンジニア(SE)が作成した詳細設計に基づきプログラムを作成する。

運用・管理(IT)

サーバー等情報システムがトラブルや不具合で停止することなく安定して稼働するよう運用・管理する。

ヘルプデスク(IT)

システムやアプリケーションソフト、情報機器などを使用している時に生じる疑問やトラブル、クレームに電話やメールで対応して、問題解決する。

セキュリティエキスパート(オペレーション)

情報システムや情報ネットワークを常に監視し、攻撃や不正なアクセスから守り、攻撃等に対応する。

AIエンジニア

AI(人工知能)の様々な分野での活用に関して研究開発を行う。

システムエンジニアはインフラ系とWeb系と組み込み系の3択となっております。細かく見ればWindowsのネイティブアプリをスクラッチで書き下ろす人というのが抜けているようにも感じられますが、ソフトウェア開発という業種の中でパッケージソフトとスマホアプリがあり、そこにほぼ吸収されているようにも感じられます。SEとソフトウェア開発は受託開発かソフト販売型かで別れる感じですかね。それらとプログラマーが分かれているのは少し時代に沿わない印象を受けなくもありませんが、一方でまだまだ従来型のウォーターフォールな現場で開発を支えるプログラマーの方というのは一定数活躍しておられると思います。本事業は厚生労働省としての分類ですので、実際にそういう働き方をされている方がどれくらいいるか等の要因もあり、今後の姿というよりは今の実態を表しているものなのかと思いました。

開発職種の別れ方からすると運用管理は1つでもいい気もしますが、ヘルプデスクもしっかり分けてあるのはそういった実際に従事している人々のボリュームといった要因が働いているようにも見えます。セキュリティエキスパートがオペレーション職になっていますが、これもセキュリティの専門家は少ない少ないと言われていますが、実際に監視などを請け負うのは人手が必要とされるところがありますので納得感があります。

そしてITコンサルタントは昔からある商売ですが「デジタルビジネスイノベーター」も入ってきました。これは今現在にたくさんいるという感じもしないので、ここは将来に向けた思いの部分が入っているんでしょうか。

冒頭で述べたようにこれは単純に分類のための分類というだけではなく、学生さんが将来を考えるときの参考資料ともなっています。その点ではIT業界の仕事が気になって調べている人にデジタルビジネスイノベーターがIT業界の仕事のひとつですとアピールできる点は業界にとっても良いことのように思います。分類だけがあって実態がない絶滅危惧種にならないよう、本格的にDXを盛り上げていかなくてはと思いを新たにしました。

ちなみに、2020年9月末までO-netの愛称募集のキャンペーンが開催されており、優秀な候補を出した人には図書カードが当たるようです。(一人何件でも応募可)

https://shigoto.mhlw.go.jp/User/202007-aishou/

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