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トイレに、便座カバーをしない。

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うちのトイレには便座カバーをしません。トイレマットも蓋カバーもしません。スリッパだけ置いてあります。なぜでしょうか。

便座カバーは汚れを目立たなくさせます。また、素のままの樹脂よりも汚れを吸着しやすいことは間違いないでしょう。また、カバーが汚れた際は取り外して洗濯し、代わりのカバーを取り付ける手間が必要です。便座カバー、蓋カバー、マットを統一していた場合はそのすべてを交換しなくてはなりません。これは多くの労力を必要とし、なるべく便座カバーを交換しないでおきたいという感情を思い起こさせるのに十分な動機となり得るでしょう。

反対に、便座カバーがついていない(これが便器としてのあるべき姿でありますが)場合は汚れが付着した場合に適度なアテンションをもたらします。意識の高いオーナーが所有するトイレはその清潔さを際立たせるためにしばしば輝度の高い白色であることが好まれます。その反対に、汚れが目立たない色のトイレを設置したオーナーはトイレの清掃の回数を減らしたいと考えていると受け止めて間違いないでしょう。個人宅では汚れがついていることをさりげなく認識させつつも、一見して不快に感じさせる事のない、絶妙なトーンが求められます。

便器はその色合いだけでなく、滑らかさ、硬さ、形の美しさなどの点で高度な製造技術が求められます。愛知県では古くより陶磁器の製造が盛んであり、碍子や植木鉢に並んで便器の製造量も日本一となっています。愛知県での便器製造を支えるのは愛知県常滑市に本社を構えるINAX社であり、TOTO社と合わせて9割のシェアを持っています。TOTO社もINAX社も大倉陶園創業者の大倉和親により起こされた会社であり、大倉陶園はまた愛知県に本社を置く世界最大級の高級陶磁器メーカーであるノリタケカンパニーの始まりとも深い関係があります。同様に、スパークプラグやCPUパッケージで世界シェアの多くを占める日本特殊陶業、超高電圧に耐え得る全長11.5mにも及ぶ巨大ガイシを製造できる世界唯一の碍子、セラミックスメーカーである日本碍子もまた愛知県名古屋市瑞穂区に本社を置いており、前述の陶器系企業と共に森村グループの中核をなしています。

日本のものづくりの中心たる愛知県、その中でも特に強い分野である陶磁器の技術の結晶である便器は世界トップクラスの完成度を誇る工業製品であり、手入れを怠る事が無ければ長期間の仕様に耐える事ができます。

私は週末にトイレ掃除を行なっています。トイレの水受けを除いた部分の掃除にはトイレクイックルを使っています。トイレクイックルは袋から取り出した状態での折り目を変えずに畳み返して用いる事で8面での掃除が可能です。その場合、汚れた面が手のひら側に来ることになるためゴム手袋等の使用を考慮する必要があります。

まず第1面を用いて手洗いカラン部分を吹きます。鉛直方向を基準として下に凸となる面を形成しているためにホコリがたまりやすい部分であることと、水垢に留意して清掃します。手洗い部分は一連のトイレ動作の締めにあたるところであり、クイックルが最も清潔であるうちの第1面を用いて清掃します。

次に第1面の裏に当たる第2面を用いてタンクの側面を清掃します。レバー付近の手垢に留意すれば汚れがたまりやすい部分ではありません。が、視界に締める投影面積の割合が大きな部分であり、蓋と並んでトイレの印象を左右する重要な部分であると言えます。こちらもクイックルの衛生度が比較的高い第2面で清掃します。

第1面と第2面が向かい合うように折り返し、第3面を持って蓋を裏表清掃します。蓋は閉じた場合と開いた場合とで表裏とも視界に入る箇所であり、タンク側面同様に清掃後の印象に留意して清掃します。蓋を固定する機構の部位においては拭き残しが発生しやすいため、定期的な分解掃除が必要とされます。近年に開発された便器ではスパナなどの工具を用いずとも蓋を取り外せるような構造が増えています。

第3面の裏の第4面を用いて便座を清掃します。表の面は直接肌に触れる部分であるため、汚れの残らないように丁寧に清掃します。裏の面は凹凸がついていることから拭き残しが発生しやすいことに留意します。固定部位については蓋と同様になります。抗菌加工が常識となりつつある部品であり、見た目に汚れが残っていなければあまり神経質になることはありません。

トイレクイックルbyJW-CAD

ここから大きく裏返し第5面から第8面側を使用します。

まず第5面を以って壁面を清掃します。自分のみぞおちの高さを目安に、便器に座った時の正面、左右、背面の順に清掃します。正面から清掃するのは便器に腰掛けた場合にもっともよく見える部分だからです。壁紙の素材特性によってはクイックルのような湿式の清掃が推奨されない場合があり注意が必要です。

次に第6面を以って便器の側面を清掃します。見えない部分である上にオーバーハングになっているためホコリがつきにくい部分です。ただし無理な作業姿勢になりがちですので、場合によっては次の工程である床面の清掃を先に行った上で清潔になった床に膝をついて清掃する手順の選択を検討します。

第7面、第8面を以って床面を清掃します。第7面で床面のすべてを拭き、第8面で再度拭き取りを行ないます。床と便器の接続部分にコーキング材が使用してある場合、ホコリを吸着しやすくなっている場合があります。意識してホコリを取り払います。ホコリが多い場合は逐次ホコリを水受けに落としながら拭き取りを行ないます。

最後に第1面から第8面を見渡して汚れや破損の度合の低い面を選び、便器の縁を清掃します。これを以って拭き掃除の工程が終わるため、次の工程を意識せずに便器の汚れをクイックルにしっかりと移します。終了後、クイックルを水に流します。

水受け部分のこすり掃除にはブラシを使用しますが、便器の性能向上によりこすり洗いをあまり必要としない製品も増えています。見た目に十分清潔であればこすり洗いは必須ではありません。こすり洗いをする場合、私は「シャット流せるトイレブラシ」を使用しています。ブラシ部分が取替え可能になっており、紙製のブラシを使い捨てする製品です。

捕捉になりますが、慢性肝炎などにより肝機能が激しく悪化するとおしっこの中にウロビリノーゲンという褐色の物質が多く排泄されます。ひどいとウーロン茶のような色になります。これは目に見えてウーロン茶色になる前から便器の汚れるペースがなんとなく早くなることで気付く事があります。

こすり掃除をしない場合は酸性タイプの液体洗剤を回しかけ、上からトイレットペーパーを乗せます。トイレットペーパーが洗剤を吸うと重みで便器に密着します。紙に浸透して広がることにより少量の洗剤で広い面積を覆うことができます。酸性タイプの洗剤を使い続けると酸性に強い汚れが残り、アルカリ性タイプの洗剤を使い続けるとアルカリ性に強い汚れが残る傾向があります。そのため時折アルカリ性のパイプ洗浄剤を用いて同様の洗浄を行います。ただし、トイレのドアを締め切ったままでこれらを同時に使用すると事故か自殺かわからなくなりますので注意が必要です。

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