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IT、特にコンサルに携わる方々を癒すメッセージを、ついでに趣味のダーツ話も交えて・・

管理職になりたい人へ:上司とうまく付き合う方法

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最近、「管理職トレーニング」のご相談が少しずつ多くなってきました。

受講者の方々、管理職に全員成りたいわけでもないので、、

・いかに管理職を目指してマネジメント実績を積み重ねていくか

・いかに管理職を避けながら自分のやりたい現場仕事のみでプレゼンスをあげていくか

講義時の質疑応答の内容・反応からも、方向性は大きく上記2つに分かれているように思いますが、これはとても大事なポイントとも思います。

ということで、これまでの小職の体験をふまえ、管理職になりたい人/なりたくない人に、今後のキャリアプランのヒントにできるだけなれたらと思うメッセージをエントリに書かせていただきます。本日は「管理職になりたい人」へのキー・メッセージとなります。

経験者として言うと、管理職になってそのまま上手に世渡りしていくためにはいくつかポイントがあるのですが、今日は、管理職必須の1つの重要キーワードとして、「上司とうまく付き合う方法」を経験談からご紹介します。

(注)上司をタイプ分けするのは何通りも手法があるため、今日は割とまるっと「わかりやすく」分類して解説してみますこと、何卒ご了解ください。。

上司.png

業界業種や企業の違いで実際にはいろいろアレンジが必要とは思いつつ、経験量の多いIT系企業にフォーカスしてみますと、まず上司の見た目は、大きくは3つに分類されると思っています。

1.オラオラ上司:指示依頼が乱暴で結果ダメだと超ディスられる一種の恐怖政治型

2.過保護上司:何でも細かく手解きしてくれるが任せてくれない=信用されてない型

3.どちらにもあてはまらない上司

まず、3の上司は、実は極めて普通です。よくある上司像と割り切りましょう。

パレートの法則じゃないですが、私がみてきた現場の自己統計では3は実に80%です。

長短いろいろあるけれど、このタイプならその上司に不満を言ってはいけません。

普通、たくさんの人がこのタイプの上司に「恵まれて」いると思うべきです。

むしろ、「上司が人格者で仕事も優秀」なんて確率、限りなくゼロに近いです(泣)。

私の実体験でも全面360度で尊敬できる上司は残念ながらいません。m(_ _)m

(私もまったくもって尊敬される上司ではありません。泣)

でも毎回、上司からいろいろプラスなこと、技術や経験談を学ぶことができました。

それでいいのです。とっても感謝です。

あまり上司を気にせず、自分のことを大事に考え、上司の特性にあわせて、上下関係をうまくバランスさせていけば、大きな事故にあわずにすみます。

・礼節をわきまえ

・手柄は上司と分け合い

・よって常日頃上司の指導の感謝の姿勢で

・勉強は自分で考え、学ぶ(上司から教えてもらおうと考えない)

ということで本エントリでは、恐縮ですが、このタイプの方へのメッセージはこれでひとまず省略させていただきます。チャートに書いた概観を参考に、流れに基本沿って過ごしてください。問題は1と2の場合なのです。

次に、1と2の上司対策の解説前に、上司の志向を4つに分類しています点を(軍隊風に)解説しておきます。

戦略家

後方から戦局を全体眺め、中長期的な施策を立案し、指示する海軍の将校タイプ。大枠で判断し成果を全体で評価するので、その過程での細かいことは気にしない。

戦術重視

戦略に基づく各施策を確実に成功させるための詳細な手順やリスク回避策・代替案を常に緻密に考え、実践しようとする陸軍の将校タイプ。結果も大事だがそこへ至る過程を重視する。

技術追求

成功のために必要不可欠な技術スキルや経験を、現場にいかにできるだけ合理的に投入して最高の評価を得るかに固執する空軍の将校タイプ。現場(仕事機会)はテクニックを磨く場だと考えている。

ムードメーカー

基本上記に入らない多数の大衆=若手・中堅を率いる役として、いかに「戦端を開き」「ダメージは少なく」「できるだけの成果をあげたらクローザー群にバトンをつなぐ」かを志向する海兵隊の大将タイプ。最終的な結果を担わないので局面を大きく変えたら任務終了=「みんな、よく頑張った、ありがとう」で成功体験を感じて終わり。

それでは、2の上司の対策について解説です。

過保護上司は、「これはこうやって」「そこはどうやったらだめだから」「こうした方がいいよ、絶対!」みたいに、或る意味丁寧に作業の手順とか教えてくれて、躓いてもきちんとサポートしてくれるし、と至れり尽くせりのタイプです。一見、頼もしいと思いますが一番のデメリットは、部下が自身のひらめきや判断で挑戦がしづらいので自己成長が妨げられ、組織・チームとしての全体ポテンシャルを伸ばせないリスクが高いことだと思います。

つまり、その上司を仰ぐ貴方は、具体的なスキルや経験の成長機会を限定されているわけです。そんな貴方が管理職にのし上がっていくには、その上司と次のように付き合う必要があると思います。

・ひとまず、「言われた通りにはやってみる」こと。上手くいけばそのまま吸収すればいいし、違ったら、どうして上手くいかないのか、自分なりに分析しておく。

・ただし、上司に逆らう必要もない。結果も過程もさておいて「言われた通りにやってます」で報連相は基本OK。

・慣れてきたら、言われたことの一部を端折り、自分流でさらに合理的な道を模索することもこっそり試そう。上司には結果が上手くいっている限り「いわれた通りやりました!」と言えばOKだから。

一般的に、このタイプの上司は、上昇志向かどうかに関係なく、結局のところは管理職としてさらに上に行く確率は低いタイプです。なぜかというと、

・このスタイルで部下をたくさん抱えることが困難=大規模組織の長には不向き

・部下に追い付かれた/追い抜かれた時のショックが甚大=大規模組織の管理職に不向き

だからです。パレートの法則的にいうと、その時点での上司クラスとしてはアリだけど、その上にいけるかは疑問なタイプなのです。むしろ8割の「3」のタイプの上司の方が母数は多いですから、さらに上にのし上がる確率は高くなります。

過保護上司の場合、組み合わせ的に戦略家とムードメーカーということは基本ありえませんので、戦術重視か技術重視かで対策を考えます。

>対戦術重視型

チャートにあるとおり、この組み合わせの上司は「超ウザい」です。

緻密に戦術を解説し、任されることなく教えられた戦術をその通り実践して結果をいかに確実に出すかが大事となります。結果が無事創出できたら=上司の手柄となりますので、貴方が大きく褒められることはありません。ですが「よく言ったとおりにやってくれた」と感謝はされます。ですから、ウザいけれども確実に指南通りに実施して結果成功する必要があります。(=この繰り返し以外に出世の道がありません)

指南が間違っているのでは?と思ったときは、それを実践前に否定的に問いただしてはいけません。まずこっそり自分の判断と技能で軌道修正できるか考えてみましょう。それで乗り切れそうなら「言われた通りにやってる」ように演じましょう。仮に失敗しても、軌道修正したことは伏せておけばいいです。また、軌道修正ですから大きく手順を変更するとバレます(苦笑)。そのくらい指南が間違っていたら、しょうがないので丁寧に自分の意見を言いましょう。「ウルサイ、いいからやれ!」と言われたら、自分の主張はしたのだから、まずは言われたままにやりましょう。「言われたとおりにやって」失敗したら貴方のせいではありません。きっと上司は「あれー、おかしいなあ」と頭をかくでしょう(泣)。ですが、これはその上司についてしまった以上、仕方のないプロセスです。

3のタイプでない限りは、上司に反論して昇進する道はとても狭くて遠いと心得ましょう。残念ですがこれが社会の仕組みとも言えます。

自身の技能を鍛錬する観点で言えば、「言われた通りに実践する」ことは立派なスキルです。貴方が意識すべきはまず「生き延びる」ことです。

>対技術重視型

この組み合わせの上司には「抵抗不能」とも言えます。技術力で上司に勝っていない限り、論破することはかないませんので、過保護上司に逆らう意味はありません。また、戦術重視型と違って、技術重視型の手ほどきは、よほど大きく方針が間違っていない限り、ちゃんと結果に向かってそこそこの成果につながる手順となっているはずです。工夫や訂正の余地があっても、ひとまずこの場合は「言われたとおりにやる」以外にありません。明らかなプラスとマイナスの勘違いで、穏便に間違いを訂正できる場合は礼節を持って進言すれば、技術屋はそこにはプライドはありませんから即座に訂正し方針や手順も訂正してくれるでしょう。ですが、手順が微妙に非効率だったり、特定の例外パターンの対処が考慮されてなかったり等、ついつい口出ししたくなることについては、割と相手がその指摘に感情的になることも多いです。自分でこっそり軌道修正できるならそうしましょう。しかし軌道修正が(自分なりに)完璧にできない場合はやめておきましょう。繰り返しますが、技術重視型の場合は、勘違いによるもの以外は大きなバグは生まれず、よって手ほどきされた結果はほぼほぼきちんと出来上がっています。だからそのまままずは実践しましょう。むしろ「言われたとおりにやった」結果うまくいかなかったときに、上司に報告し、相談しながら自分の軌道修正案をうまく上司の追加案に混ぜる努力をして、一緒に二次対処をする付き合い方が良いと思います。

さて最後に、1の上司の対策について解説です。

オラオラ上司って、確かにすごいやっかいです。残念ながら今に至っても絶滅しておらず、丁寧に細部まで考え抜いてもいないのに、「細かいことは部下が自分の責任で考える。それでできなかったら部下が悪い」と悪気もなく(?)考え指示するタイプです。もう人間というより(肉食)恐竜です。成果をあげられなかったらあなたが上司に噛まれます。

チャートにあるとおり、ムードメーカーはこの組み合わせが成立しません。上司は必ず戦略家、戦術重視、技術重視、のどれかの型に該当します。ですから考え方、やり方には実は強いこだわりがあります。しかし細かい手ほどきはしてくれません。「細かく言わなくてもお前ならできるだろ!」と冷たく恐ろしい言葉で作業指示が飛んできます。

3が80%と言いました。2は15%くらい、この1のタイプは5%くらいだと自己統計では分析しています。交通事故的にも聞こえますが、実は、うまくやれば最も出世が期待できる上司との組み合わせでもあります。細かいことは任せてもらえるので、上手くいったときに自分の手柄は自動的に「周囲から」認めてもらいやすいのです(上司はすべて自分の手柄と言うかもしれないが)。

>デメリット

・厳しい言葉で指示され、結果が悪いと罵られる

・指示が半端なので、自身で詳細手順が思い浮かばないと着手すら憚ることに

・短納期、低予算、等条件が厳しいことが多い

>メリット

・うまくいった時に上司はもちろん周囲の賛辞が絶大(出世の近道)

・うまくいかなくても周囲の同情を得られる(あらたなチャンスがもらえる可能性大)

・たまに詳細手順が自分で思い浮かぶときは自己アピールの大チャンス!

もう1つ基本アドバイスは、この場合「肉食恐竜」相手ですから、困ったときに上司に相談しても何もいいことはないってことです。周囲に相談できる仲間を確立し、相談はそちらにしましょう。恐竜は恐竜で、部下が困ったらそうするだろうことは意外と見抜いていたりします。実はこの「オラオラ」タイプは残念なことに単体としては結構に優秀で、さらに管理職として出世する確率が高いのです。

・部下が考えて成果を出すので、大規模体制に向いているともいえる

・恐怖政治的に成果を求められるので統計的には大失敗しない

(誰が何をするかは置いといて、みんなで結果を出しに行くため)

・恐竜は部下がいないと生きていけないため、自身が出世したら部下も出世させる

 (連れていかないと大組織に君臨できない)

上司が戦術志向の場合はまだマシですが、戦略家、技術志向の場合は基本パワハラに遭います。その覚悟で付き合うことが必要です。本当のパワハラ事故にならないように頼れる「仲間」を確立しておきましょう。

戦略家や技術志向の上司の場合は、乱暴な指示の割に、万が一の場合は自分で細かく作業指示をし直したり、自分でバックアップしたりと、実は備えがされているケースが多いです。したがって、パワハラそのものは置いといて、指示の内容確認や作業の方針の軌道修正等、仕事の進め方について自分の意見を言いすぎると終わりです。恐竜に食べられることになるでしょう(涙)。基本心得は次の通りです。

・どうしていいかわからないときは固まらないですぐに上司に陳情する=スピーディ

・上司に問われたことは「すぐ打ち返す」「変化球を投げない」=簡潔

・相談は「仲間」に行う。それが上司にバレることは問題ではない=成果への執着

・うまくいったら褒めてもらおう=信賞必罰

パワハラは良くないことですが、世の中で5%のパワハラ上司が結構上級管理職に出世していく現状をふまえると、私達はそういう上司に出会ってしまっても、自分に余裕がないメンタルコンディションでない限りは(注:これは重要前提条件です!)、最も出世に近い境遇と心得、自身が納得できるまでは結果を出せるよう努力してみましょう。

上司をあてにせず。残業もそうですが、自身を痛めつける必要はありません。この場合、上司は成功したら出世の道に登用してくれる確率が高いのですから、自分で計画をたてて、問題ない範囲での自分の限界まで頑張ってみるのは、貴方が管理職として本当に出世したいと思うのであれば、一度は通ってみて自分の実力を試し、さらに磨いてみる機会でもあります。そのくらいの意気込みを持てないのであれば、貴方は今、恐竜と対峙する必要は絶対ありません。配置換えでも転職でも、回避策のみを考えましょう。。。

3が80%と語ってしまったがゆえ、どこまで参考になるかわかりませんが、、、世の中の上司がいかにまともな人は少ないか、自分のキャリアパスを考え直すきっかけになっていただければ誠に幸いです。

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