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人事領域(上流/elearing/ERP)コンサルでの人材開発/人事の一歩先の動向を考えます!

ホワイトカラーエグゼンプションの是非と外資の圧力

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新年明けましておめでとうございます。ってすでに8日なんですが。

今年の正月は年明けにカウントダウンパーティー@渋谷O-Nest(旧OnAir-Nest)でDJをして以降は完全に寝正月でした。おかげで体重が増えてしまって戻すのが大変です。

今日は成人式ですね。私は今日会社に出社しているのですが、電車で晴れ着姿の新成人を見かけました。

毎年成人式の報道で酔っ払って逮捕とかそういう話題が後を経ちませんが、あの報道って本当にする意味があるのでしょうか?あれを報道することが前提になっているので騒ぎを起こす方も面白がってやるんじゃないかと思うのですがどうなんでしょう???一度報道をやめてみたら騒ぎ自体も少なくなるのではと毎年思ってしまいます。

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人事のことについて最近あまり書いていないのでちょっと書いておこうかなと。

今回は今話題の「ホワイトカラーエグゼンプション」についてちょっと意見を書いておきたいと思います。

前提知識のない人のために書いておくと、ホワイトカラーエグゼンプション(white collar exemption)とは、ホワイトカラーに対する労働時間規制を適用免除することです。要するに一部の事務職らを法定労働時間規制から外し、残業代をゼロとするということです。この制度では、主に高所得のサラリーマンを対象として、1日8時間の法定労働時間規制を撤廃し、残業代をなくす方向で検討されています。

この制度が施行されることを検討され始めた背景にはホワイトカラーの成果をどう図るかという問題があると考えています。

「ホワイトカラー」はそもそも労働時間の長さと成果が比例しないため、時間に対して賃金を支払うのではなく、成果に対して賃金を支払う必要があるというのが要旨です。会社の先輩の言葉を借りれば「ホワイトカラーのペイポリシーを明確にする必要性がある」わけです。

新年テレビを良く見ていた人はニュースでも結構話題になっていたのですが、『今月25日召集予定の通常国会への提出が見送られる公算が大きくなってきた。』ということです。その背景には「賃金の抑制や長時間労働を正当化する危険性をはらんでいる」という反対意見が根強くあるわけです。

私は個人的にはこの制度条件付で賛成します。

というのは今のままの日本の労働環境にこの条件を適用しても、前述のように賃金の抑制や長時間労働を正当化することに繋がるに過ぎないということと、導入後現在の「高所得者」という定義がなし崩し的に拡大し、低所得者をさらに圧迫する要因になりはしないかということです。また労働時間は経営者の管理対象から外れるので、過労死した場合に企業側の責任が回避されやすくなる懸念があります。労災にも問われなくなるので労災保険料が減少し、過労死裁判などで従業員の遺族に多額の賠償金を支払う、という可能性も減少するわけです。

安倍総理大臣は「残業代が出ないから帰宅する時間が早まり、家族の団らんが増え、少子化問題も解決する。」と述べていますが、これは非常に安直な意見です。そもそも今までは社員に過度に仕事を与えると残業代がかさむ為、抑制がかかっていましたが、そのタガがはずれることで帰宅する時間が早くなるどころか、帰宅時間が遅くなる可能性があります。

つまりは厳格な適用方針と労働者の健康への配慮を促す条件、労働者への説明がきちんと整わない限りは適用すべきではないと思うわけです。

ただ一方で私が賛成している理由は、先ほども述べた、そもそもホワイトカラーの成果を図る指標が今まで「時間」であったという点が間違っていると感じるからです。

前職が典型的な日本企業であったため身をもって分かるのですが、だらだらと残って残業代を稼ぐ従業員はどこの会社にもいると思います。それは成果とまったく無縁であり、むしろ悪なのですが、遅くまで残っていると仕事しているように見えるという矛盾は絶対に日本において解消されるべき問題でもあります。

つまりは社員の成果をどうはかるか?という問題に行き着くわけです。そしてやはり前述の「ペイポリシーの明確化」という問題に繋がります。ですからもし今後この制度を企業が導入する際には何をもって従業員に対して給料を払っているのかを明確にする必要があるわけです。成果をはかる指標は時間ではなくアウトプットなのか、それとも売上げ貢献なのか、コールセンターなら苦情処理件数なのかなど、そういったポリシーをあらかじめ従業員に対して明確に表現することが大事であると考えています。

またこの制度の背景を考えるうえで気づかなければいけないのは、この制度自体が日本の政府が考えて発案したものというよりはアメリカからの圧力があるという点です。

『2006年6月に発行された日米投資イニシアチブ報告書には、アメリカ政府が世界的に進めるグローバル資本主義導入の一環として日本国政府に対し「労働者の能力育成の観点から、管理、経営業務に就く従業員に関し、労働基準法による現在の労働時間制度の代わりに、ホワイトカラーエグゼンプション制度を導入するよう要請した」と記載されており、アメリカからの要請という側面も持つ。アメリカ政府は日本における外資企業(自国企業)の収益性・効率性を上げるために、日本の親米保守派に圧力をかけたと考えられる。』(wikipediaより引用)

これを考えてみると日本企業のためというよりも日本に進出してきているアメリカ系企業がその競争力を確保するために、アメリカにおける企業経営のあり方をそのまま日本に展開できるようにしているという点もあるのです。ここは気をつけてかからないと日本企業がまた外資系企業にビジネスを奪われることになりかねない。

弊社もアメリカ系企業であり、殆どの社員が裁量労働制であるので私がいうのもなんですが、是非日本企業にはそういった点も理解してうえでこの制度の導入の是非を考えていただければと思います。

Comment(3)

コメント

taps(管理人)

今日のニュースで新たな動きがありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070109-00000075-jij-pol

柳沢厚労相は今国会の法案提出に前向きなようです。となるとかなり早く法案が国会を通過する可能性もありますね。土台となる産業医などの健康管理の仕組み、日本人の働き方に対する意識改革を早急に進める必要がありそうですね。

taps

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007011001800.html

今日のニュースではどうやら提供対象は年収900万円以上で検討しているようですね。『対象労働者の仕事内容を「職務記述書」などで明確化する』とのことですが具体的にどうやって運用するのかが知りたいところです。

taps(管理者)

紆余曲折のあげくに結局今国会での提出を見送りましたね。選挙の争点として不利だと判断したら取り下げるというところが見えすぎていて、どうも真剣に国民の理解を得るような行動をとったり、真に労働者の事を考えて制度を充実させるという行動がとられなかったように思います。

非常に残念です。


http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2007011604270.html?fr=rk

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