オルタナティブ・ブログ > インフラコモンズ今泉の多方面ブログ >

株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

新型コロナウイルス感染力を激減する低濃度オゾン:情報整理2020年9月

»

エステ業界で長く活躍してきた知人から、「新型コロナウイルスに効果のあるオゾンの発生器を製造している会社があるから話を聞いて下さい」という連絡があったのが今年8月中旬のことです。

しばらくあって送られてきた資料には、1)奈良県立医科大学のプレスリリースと、2)オゾンの除菌・除臭効果を解説したスライドと、3)「空間除菌装置Fresh Pro」という製品のカタログが含まれていました(定価12万円・税抜)。

また、その前日にテレビ朝日で放映されたニュース「新型コロナウイリスを不活性化 低濃度のオゾンで感染力減か」のリンクと、そのニュース源である藤田医科大学の「人体に安全な低濃度オゾンガスで新型コロナウイルスが不活性化すること」に関するプレスリリースのリンクも送られて来ました。

オゾン発生器から出るオゾンが新型コロナウイルスを不活性化するということに関して、全体を整理するために、この投稿ではまずそれらの資料の内容を説明します。
なお、「ウイルスの不活性化」とは「ウイルスの感染力の低下」と同じ意味です。

目次
■1. 奈良県立医科大学のプレスリリース
■2. オゾンの除菌・除臭効果を解説したスライド
■3. 「空間除菌装置Fresh Pro」という製品のカタログ
■4. 藤田医科大学が実証した低濃度オゾンが新型コロナウイルスを不活性化する効果
■5. まとめ

■1. 奈良県立医科大学のプレスリリース

2020年5月14日付の奈良県立医科大学のプレスリリースでは、オゾン濃度1.0〜6.0ppmのオゾンガスをオゾン発生機で発生させ、一定時間、新型コロナウイルス細胞株に曝露させると、ある条件では新型コロナウイルスが千分の一まで不活性化し、別な条件では一万分の一まで不活性化するということが、実験によって確認されたと書いてありました。

プレスリリースによると、以前からオゾンガスによる新型コロナウイルスの除菌が提唱されていたそうですが、医学的なエビデンスはなかったそうです。これは"世界でも"エビデンスがなかったということです。奈良県立医科大学の実験は、厳密な医学的実験として行われており、医学的なエビデンスになりうるものとして、大学の名前によってプレスリリースが発表されています。

これはどういう意味かと言うと、「部屋」や「施設」の新型コロナウイルスを除菌していく際に、従来はアルコールを付けた布などで拭き取る作業が行われており、非常に時間と人件費がかかる作業だったところ、一定濃度のオゾンガスをオゾン発生器で発生させて、ある時間放置しておけば、それで済んでしまうということです。なお、ウイルスは細菌ではないので「除菌」は正しくないという指摘があることは知っていますが、厚労省なども使っている言葉の慣行により除菌と記します。

これをよく考えてみると、現在、集客によって営業が成り立っている日本の多くの店舗、部屋、施設などにおいて、ものすごくたくさんの手間暇をかけて、新型コロナウイルスの除菌対策が行われているところ、一種の「空調」により、コロナウイルスが不活性化するということで、きわめて大きな商業的インパクトを持っています。人が触れたすべてのテーブルや手すりや器具を人海戦術でアルコールで拭き取らなければならないところ、一定時間、一定の濃度でオゾンにさらす装置を付けっぱなしにしておくだけで済むということです。

■2. オゾンの除菌・除臭効果を解説したスライド

私は化学の専門家ではないため、オゾンがなぜウイルスに対して不活性化効果を持つのか、今ひとつピンときません。そこで、京都大学理学部で化学を専攻し、旭化成で長らく研究員を務めていた、現在はある特許事務所にいる友人のUさんに電話で聞いてみました。

彼によると、オゾンは細胞に対して、酸化させる効果があるのだそうです。活性酸素が体内を酸化させ老化させますが、それと同じことです。オゾンが触れた部分は酸化し、細胞が変化を受けます。

酸素O2は分子が安定した状態ですが、オゾンO3は分子が不安定であり、Oが1つ離れて安定した酸素O2に戻ろうとします。そうしてこの不安定なO分子がどこかの細胞に付着すると、細胞を直接破壊します(細胞膜を酸化させ溶菌する)。それがあるため、オゾンの殺菌効果があります。

同じメカニズムで、ウイルスのエンベロープと呼ばれるタンパク質の膜をオゾンが破壊するため、インフルエンザウイルスだけでなく、新型コロナウイルスでも顕著な不活性化効果があるのです。

また、その時いただいた、2)のオゾンの除臭・除菌効果を解説したスライドでは、除臭効果についても説明してありました。悪臭成分の分子に、オゾンのO分子が化学的に働きかけて、悪臭分子を別な分子に変えてしまうため、化学的に無臭になるのだそうです。


ホテルではオゾン発生器を客室の除臭に使っている事例が複数あります。宿泊客の体臭、タバコ臭などが強い場合、一部屋で消臭剤をひと缶丸々使わなければならない場合もあるところ、オゾン発生器を一定時間動かして、その間部屋を閉じておくと、顕著な脱臭効果があるのだそうです。

そうしたことが、2)オゾンの除臭・除菌効果を解説したスライドでは説明してありました。

■3. 「空間除菌装置Fresh Pro」という製品のカタログ

「Fresh Pro」という名称の空間除菌装置(定価12万円・税抜)は、1980年代後半に創業した医療機器や美容機器を製造する日本のメーカーが開発、製造した製品で、同社は小売を行わず、現在、販売代理店の仕組みが整備されている途中です。販売環境が整い次第、社名などをお知らせするようにします。私も販売体制づくりでお手伝いをしています。

ちなみに冒頭で記したエステ業界の知人は、同社が美容機器を取り扱っていることから、エステ業界のニーズを同社にフィードバックするコンサルタントとして長年関わってきたそうです。関係が20年以上にわたることから、同社がしっかりとした医療機器・美容機器製造会社であることをよく理解しています。

9月初めに同製造会社の東京事務所に伺い、代表取締役のKさんと常務取締役営業本部長のTさんからお話を伺ってきました。

FreshPro製品写真縮小.jpeg

左の写真はFresh Pro製造元の東京事務所を訪問した際に撮影したもの。

他のオゾン発生器との大きな違いは、このFresh Proは、付けっぱなしにしておいて、部屋の広さに合わせた低濃度オゾン(0.05〜0.1ppm)を発生し続けると言うことです。オゾンの濃度が高くなりすぎないように、付けたり消したり、タイマーを設定したりする必要がありません。これは、業務で複数の顧客をひとつのスペースに招き入れなければならない飲食業、美容院、理容院などでは、大変に便利です。

この装置は元々、インフルエンザウイルスに対応できる空間除菌の装置として開発されたものだそうです。それがたまたま、今年5月の奈良県立医科大学による「オゾンが新型コロナウイルスを不活性化する」という発表により、新型コロナにも有効であることがわかりました。さらに以下の藤田医科大学の発表によって、人体に影響のない低濃度オゾン(0.05〜0.1ppm)でも新型コロナウイルス不活性化の効果があることとなって、まさにこの装置が安定的に発生する低濃度オゾンの有効性が医学的に証明されました。非常に良いタイミングで世に出る製品です。

オゾン発生器には中国製のものが少なくないですが、同社のFresh Proは日本の工場で生産されている日本製です(同社の医療機器・美容機器も同様)。

同社は製造元の役割を果たし、いくつかの総代理店の役目をする会社が決まって、9月下旬から出荷開始となります。商業的にはかなり大きなポテンシャルがあると思っています。私も間もなくデモ機を借りられることになっています。

訪問に先立っていただいたカタログでは、a. オゾンによる除菌のメカニズムの解説、b. オゾンそのものの解説、濃度と臭いについての解説、c. 低濃度オゾン発生器であり空間除菌装置である「Fresh Pro」の機器概要が記してありました。

そのうち、機器概要の部分を画像として切り出して以下に掲げます。拡大してご覧いただけます。

Fresh-Pro-catalogue.png

Fresh Proの筐体は、A4サイズに近い外形で、800gと手で持っても非常に軽いものです。床置きもできますし、壁掛けも簡単です。40畳までのスペースに対応します。

機能のポイントを簡単に書き出すと。
・部屋の大きさに合わせて、4-6畳、6-8畳、8-16畳、16-24畳、24-40畳の設定が可能。
・人の出入りがあった際などに、30分間だけ、オゾン発生を強力に行うための「一時ターボ」モードがある。
・部屋の除菌を徹底的に行いたい時に、人が入らないようにした上で、「フル除菌」のモードで運転する。
というところになります。

部屋の広さに合わせて、付けっぱなしにしておいて運転し、必要に応じて、ターボやフル除菌モードを使って、短時間の強力除菌を行うという使い方になります。
例えば飲食店では、夜、顧客が帰り、従業員もすべて帰る時に、フル除菌モードで動作させて店を出ると、夜中部屋の中の除菌が行われ、翌日最初の人が出勤した際には、実質的にウイルスフリーになっている、という使い方ができます。従業員や顧客がいる間は、通常モードで人体に安全な低濃度オゾンを発生させればよいわけです。なお、フル除菌モードで長時間運転した後の部屋では、換気をした方が良いでしょう。

それから、オゾンは気体として装置が動作している部屋の中を飛び交うため、テーブルやテーブルの裏などに付着している新型コロナウイルスに対しても不活性化の効果を発揮するそうです。つまり、アルコールを染み込ませた布で室内の色々なところを拭き取る作業が要らなくなるということです。

■4. 藤田医科大学が実証した低濃度オゾンが新型コロナウイルスを不活性化する効果

2020年8月26日、愛知県の藤田医科大学が、人体に安全な低濃度オゾンでも新型コロナウイルスを不活性化する効果があることを医学的に実証したと発表し、記者会見の模様がテレビ朝日、フジテレビで流れました。後で確認したところNHKでもそのニュースが流れていました。

テレビ朝日:新型コロナを不活化 低濃度のオゾンで感染力減か(2020/08/26)

フジテレビ(動画):低濃度オゾンも感染リスク減 世界初...藤田医科大が発表(2020/08/27)

NHK:新型コロナ 低濃度オゾンガスで感染力抑制効果 藤田医科大学(2020/08/26)

プレスリリースからその骨子をまとめると。

<概要>
藤田医科大学(愛知県豊明市)の村田貴之教授(ウイルス・寄生虫学)らの研究グループは、低濃度(0.05〜0.1ppm)のオゾンガスでも新型コロナウイルスに対して除染効果があることを、世界で初めて実験的に明らかにした。
医療施設など人が集まる場所でも常時、人体に許容される濃度でオゾン発生器(低濃度かつ適切な濃度管理が維持できる機器)による新型コロナウイルス感染防護のための使用が可能となる。
藤田医科大学病院ではすでに導入済みのオゾン発生器を使用して、病院内の待合所や病室などでの感染リスクを低減させる取り組みを、9月初旬より開始する。

<実験結果>
・日本国内では、オゾン濃度の作業基準として、日本産業衛生学会・許容濃度委員会が定めた0.1ppm(1日8時間の平均曝露濃度)がある。湿度80%でこの濃度(0.1ppm)のオゾンガスに10時間曝露した(さらした)ところ、感染力を示す値TCID50が100%から4.6%まで95.4%低減した。
・オゾンガスの曝露量を示す単位"CT"は、濃度×分数を示すCT値で測られる。0.1ppmで10時間(600分)はCT60となる。(例えば濃度1.0ppmで60分曝露すればCT60)
・日本よりも厳しい米国のオゾン濃度の作業基準である0.05ppmで、上と同じCT60となるように20時間(1,200分)曝露したところ、感染力を示す値TCID50は100%から5.7%まで94.3%低減した。
・湿度が55%の場合、0.01ppmで10時間曝露するCT60の曝露量では、感染力を示す値TCID50は100%から32%まで68%低減した。
*以上は藤田医科大学のプレスリリースのテキストに加えて、添付されているグラフから読み取った値の双方です。

ということで、人体に安全な0.05〜0.1ppmの低濃度オゾンガスでも、新型コロナウイルスの感染力を大きく低減させる効果が医学的に実証されました。

プレスリリースでは、以下の考察のテキストが末尾にあります。

人体に無害とされる濃度のオゾンガスであっても、新型コロナウイルスの感染性を抑制する効果があることが、実験によって証明されました。特に湿度の高い条件では効果が高いことも明らかになりました。本研究は、特に湿度の高い部屋において、人がいる環境であっても継続的に低濃度オゾンガスを処理することで、新型コロナウイルスの伝播を低減できる可能性があることを示唆する世界初の基礎研究となりました。

■5. まとめ

以上の内容をまとめると次のようになります。

・人体に安全な低濃度オゾンガス(0.05〜0.1ppm)であっても、曝露量をコントロールすれば(濃度と曝露する時間をコントロールすれば)、新型コロナウイルスの感染力は1割以下にまで落ちる。ただし湿度が高いことが重要。
・オゾンガスは濃度が高ければ人体に影響があるので(外気に露出した目や喉がおかしくなる)、オゾン発生器を使う場合は濃度のコントロールが重要。
・空間除菌措置Fresh Proは、人体に安全な低濃度オゾンを常時発生し、付けっぱなしにして運転できる。必要があればフル除菌モード、ターボモードで短時間の除菌ができる。(ウイルスに「除菌」という言葉を使うことについては、上述の通り厚労省などの慣行に従っています)

低濃度オゾンによる新型コロナウイルスの空間除菌は、今、医学的な実証の光が当たったばかりです。おそらくは、ロジャーズのイノベーション理論が言うように、まず社会のイノベーター層(2.5%)が導入し、アーリーアダプター層(13.5%)が導入し、さらにそれをアーリーマジョリティ層(34%)が追いかけると言う風になっていくのでしょう。

以下のニッポン放送の導入事例は、イノベーター層の導入を示すものとして大変に興味深いです。

ニッポン放送プレスリリース
生放送スタジオに低濃度オゾン発生器を導入(2020/09/09)
新型コロナウィルスの感染拡大防止策として、業界初の取り組みを実施!

8月26日に、藤田医科大学(愛知県豊明市沓掛町田楽ヶ窪1番地98)の村田貴之教授(ウイルス・寄生虫学)らの研究グループが、世界に先駆けて発表した「低濃度(0.05または0.1ppm)のオゾンガスでも新型コロナウイルスに対して除染効果がある」という発表を踏まえて医療情報研究所 伊藤隼也代表の協力監修の下、キー局で初めてスタジオに採用する。

Comment(0)