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IT業界につとめる「雑貨屋(なんでも屋)」が、業界の事、情報セキュリティの事、趣味や日々雑感を綴っていきます。お暇な方はおつきあい下さい。

083.16歳アイドルの自殺で思ったこと

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 こんにちは、佐藤@IT雑貨屋です。
 今日は土曜日で、うちの嫁は実家に行っており、私はと言うと音楽を聴きながらPCに向ってノンビリとしています。

 今日の記事ですが、すこしセンシティブな内容かもしれませんが、以下の記事について少し考える処を書いてみたいと思います。お時間がある方はおつきあいください。

 ◆16歳アイドル自殺、遺族が提訴 会社側はパワハラ否定[朝日新聞DIGITAL 2018年10月12日記事]

 私にも2人の娘がいます。
 この記事を見た時にはとてもつらい気持ちになりました。何が16歳の女の子を傷つけ、そして自殺に追い込んでしまったのか。一義的にはこの16歳の少女をアイドルとして利用し、その人間性を無視した芸能事務所側がこの少女を追い込んだ事が原因だと思います。それは否定する事は出来ないでしょう。まずは芸能事務所の経営層や管理者層がその責任を自覚して、心からの贖罪して欲しいものだと思います。

 少し話は変わりますが、私が二十代後半の頃。
 当時は知り合いの会社で開発分室の責任者として仕事をしていました。基本はシステムエンジニアでしたが、開発の実作業とは別に営業的な仕事にも取り組んでいました。
 ある時、営業会社の知り合いと仕事の打合せをするために、知り合いの会社の事務所がある都内某所に出向いていました。知り合いの会社の事務所とは言っても、会社は起業したばかりで、小さな芸能事務所の片隅に間借りをしていたので、打合せはその芸能事務所の会議室で行いました。

 仕事の打ち合わせは三十分そこそこで終わり、その後、知り合いとは近況などを雑談していたのですが、そこで知り合いが何気に一枚のプロマイド写真を私に見せてきました。

 「佐藤さん、この娘、かわいいでしょう」
 「あれー、確かにカワイイ娘ですね。誰ですか?」

 知り合いの話では、その女の子は19歳。アイドルになりたくて実家の東北某所から単身上京し、その知り合いが間借りしている芸能事務所に飛び込んで来たというのです。

 「これだけカワイイと将来有望ではないんですかね?友達になっておきたいな~」
 私が能天気な事を云うと、知り合いは身を乗り出してきて言いました。
 「いや、社長(知人が間借りしている事務所の社長)はね。この娘を東北の実家に帰す気満々なんだよね。何故だか解る?」

 かくいう私も19歳当時はイラストレーターに成りたいという夢を持ち、専門学校を途中で飛び出し、自分の足でデザイン事務所に駆け込んで仕事をした経験もあるので、若い世代に自分の夢を追いかけ、多少は無茶をしても突き進むという心情は良く理解できたので、この知人の言う芸能事務所の社長の気持ちが理解できるようで、実はあまり理解できませんでした。
 
 「佐藤さんさ、アイドルなんて夢見る女の子が100人居て、うち1人でもテレビに出れたら御の字なんだよね。ましてや名の売れるアイドルに成れるのは更に稀有なわけなんだよね。これってわかる?」

 確かに夢を以って行動しても、そこで有名になって世の中で人気が得られるのは、それこそ何百人、いや何千人のうちの一人なんでしょう。これは何も芸能界に限った事ではなく、私自身もイラストレーター関係の業界に少し触れた事があるので、これは理解出来ました。

 「でね、会社がアイドルを売り込む為には、先行投資。いわゆる会社が相当の持ち出し金をつぎ込んでプロモーションを行うわけ。これは大変な金額になるらしいんだよ。そして一年から二年で売れれば良いけれど、もし売れなかった場合には、言葉が悪いけど「不良在庫」という扱いになってしまうんだよね。そうなると会社としては投資した分をどこかで回収しない限り、これは商売にならないし、最悪の場合には会社が倒産してしまう可能性も出てくるんだよね。」

 ここまで話を聞いた時、なんとなくこの先が読めてしまいました。知り合いは続けます。

 「そうなると会社としては、その「不良在庫化」したアイドルの女の子から、つぎ込んだ資金を回収する事をするんだよね。具体的には水商売や風俗に売り飛ばすわけ。もともとアイドルを目指すだけのルックスを持っているから、それを売る事で会社としてはトントンになる事も出来るらしいんだよ。」

 「なるほど、、、」と私。

 「だからさっきのプロマイドの女の子を、ここの社長は東北の実家に帰すと言っているんだよね。"この娘はかわいそうだ"ってね。何故その判断をしたのかは解らないけど、芸能界というのは表は華やかに見えるけど、その裏側はもの凄いドロドロでどす黒い部分もあるんだよね。」

 当時の私は芸能界の裏と言われても、具体的な生々しい話を聞いたのはこれが初めてでしたので、この内容にけっこう衝撃を受けたのを憶えています。

 今でもテレビには多くの女性アイドルが出ていますが、その裏側の一端を社会の中に垣間見せたのが、今回紹介した記事にある16歳の少女の自殺なのではないでしょうか。

 記事の中には「早朝から深夜まで拘束する過密スケジュールで働かせ、学業より仕事を優先するよう強要した▽脱退の希望を伝えると「次また寝ぼけた事言い出したらマジでブン殴る」というメッセージをLINE(ライン)で送るなど、パワハラを重ねた」とありました。これは個人的な想像ですが、このパワハラは会社の経営層の焦りから出てしまった行動ではないかと思ったりもしました。

 それなりに規模があり、資金的にも余裕がある大きな芸能会社であれば、多少のリスクを飲み込む事は何てことないかもしれませんが、中小零細規模の芸能会社であれば、何かで資金繰りがショートしてしまい、もし会社が倒産した場合、その会社の経営層は身ぐるみはがされ人生を捨て去らなければならない状況に簡単に堕ちてしまいます。業界こそ違え、私も仕事の関係で多くの経営者に会ってきましたが、そういった堕ち行く人達を多く見てきました。中には不渡りを出す直前に行方不明になった社長もいましたし、その社長の居所を会社に残っていた幹部社員に尋ねたところ「もしかしたら東京湾の奥深くに沈んでいるかも・・・」と深刻な表情で言われた事もあります。

 芸能界は「人を商品」で使う業界なので、そうした業界では得てして「人を手段」として利用する事を考えていても「人を目的」として捉えるという事は困難な状況になる事もあり得る事でしょう。そういう事から言えば言葉は適切では無いかもしれませんが「エグい業界」であるかもしれません。またこの「人を商品」として扱うという事で言えば、昨今のIT業界も同じ事が言えると思います。何故なら契約形態は様々ありますが、昨今ではエンジニアをお客様に出して「ナンボ」の業界である事にはかわりありません。ただ一つ芸能界と違う処は「商材としての人」へのプロモーション等は不要なので、そういう意味ではエンジニアという「商品」への先行投資の額は芸能界とは比較にならない程度のもので済むという事かもしれません。

 今回の16歳のアイドルの自殺は、とても胸が痛む事です。しかし今の日本社会のあちらこちらに、同じような悲劇というのは潜在的にある事ではないでしょうか。
 是非とも「人を手段」ではなく「人を目的」として見れる社会になる事で、こういった悲劇が少なくなる事を願わずには居られません。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。
 IT雑貨屋をこれからもよろしくお願いします。

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