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オープンソース系パッケージソフトウェアベンダーの社長のブログ

コロンブスの卵すぎるAWS Import/Export。

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けっこう前に、レンタルDVDという仕組みの「スループット」を計算してエントリを書いたりしたのだが、物理デバイスを郵送したほうがネットワーク転送より効率的であることをあえて認めるサービスが出てきてしまった。しかも「クラウド」とか言って最近はネットワーク時代の権化のようなAmazonから。Amazon Web Servicesが20日にベータの開始を発表したサービス「AWS Import/Export」のことだ。いやー、コロンブスの卵すぎます。参りました。

「クラウドに巨大データを転送したいけど、ネットワークでアップするのはだるいなー」を解決するサービスだ。当社でも、S3にアップするのはだるい(時間がかかりすぎる=大きいデータは不可能)と感じていたので、気持ちはよくわかる。

1. ハードディスクにアップしたいデータを移す
2. ウェブから申し込むとIDがもらえる
3. IDと自分の秘密鍵で作った電子署名をハードディスクに入れる
4. ハードディスクをAmazonに発送する
5. 到着翌営業日にクラウドにデータコピー開始(電子署名確認して本人確認)

という仕組みのようだ。泥臭いこときわまりないが本当にやってくれるならありがたい(残念ながらいまのところ米国でしかサービスしない)。レンタルDVDどころか、1テラバイトのハードディスクの内容を72時間で転送できたら、「スループット」は上り約32Mbpsだ(*1)。しかも並列転送も可能そうだ。

考えてみたら、クラウドソーシング(Mechanical Turk)に取り組んでいたり、物流という最も「物理」なサービスを手がけていたり、そういえばかなり泥臭い企業だった。それにしても、サービス化までもっていった企画者は偉大ではないか。

「ロングテール」といった言葉が流行していた頃は、無尽蔵なマーケットだとニッチもそれなりの規模になり、それにかけるコストを「Web 2.0」の力で最小限にできるという観点が新しいとされ、一人ウェブビジネスや、ゼロ人ウェブビジネス(自動的に運営され、人件費は ほとんどゼロといった)が時代の象徴になっていたような気がするのだが、参入障壁の低さにより参入するプレイヤーも無限にあらわれる(=そんなに甘くない)ということもあきらかになりつつある中、こうしたサービスのように、物理世界で築いた強みや、物理世界であえて受容したリスクを参入障壁に変えられるような「泥臭いウェブビジネス」が熱いと個人的には思う(*2)。三三とか……

(*1)計算式:(1024 * 1024 * 8)÷(72 * 3600)。意外とネットワーク転送でも現実的な数字?と思ったんですが、ストレージ技術も日々進化していますしね。
(*2)ストリートビューに見られるように、物理世界での強みを金で買ってしまうようなGoogleのような例もあるがあれはなかなか真似できない。

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