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夏目房之介の「で?」

冥福を祈る

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多分80年代からつきあいのある友人が突然亡くなってしまった。いや、突然というのは僕にとってであって、事故があって体が不自由だったり、酒飲みで内蔵もだいぶやられていたみたいだし、性格的にも破滅系のところがあった。それでも最後まで編集者の仕事をしていた。頑固なのだ。ここしばらくは忘年会で顔をあわせるだけで、普段から交流があったわけでもない。体調もよくはなかったはずで、突然感はあっても、予想はどこかでしていた。でも、とにかく間違いなくいい奴だった。僕よりはだいぶ若く、まだ50くらいだ。東京者として親愛をこめて「馬鹿野郎」と小声でいいたい気分だ。あいつがいないと、年一回でも寂しい。とくに話したりするわけじゃなくても、だ。僕にとってはそういう奴だった。くりかえす。いい奴だった。ゆっくり眠ってくれ。

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