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あるいはファシリテーションが得意なコンサルタントによるノウハウとか失敗とか教訓とか

少年漫画における髪の長さの考察、あるいはマトリクスを通して世の中を見るということ

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今日は、僕が小中学生の頃に読んでいた少年漫画、特にラブコメと言われるジャンルについて考察する。具体的には「きまぐれオレンジロード」 「みゆき」 「めぞん一刻」あたりを取り上げる。
この3作品ともに掲載雑誌は違えども、物語の構造はほぼ同じである。

・特別かっこいい訳ではない男の子が主人公
・おしとやかな女の子に恋している
・女の子の方は主人公を好きなようなそうでもないような・・
・活発な女の子がもうひとり登場して、そちらは主人公に積極的にアプローチ
・2人の間で行ったり来たりする優柔不断な主人公
みたいな感じだ。

2人の女の子の間で揺れ動くって、恋愛未経験の少年からしてみると、夢のような状況だ。漫画を読むことでそれを疑似体験できる。たまらんよね(だからこそ、主人公はイケメンや真面目クンではダメで、自分を投影しやすい、フニャフニャしたヤツである必要がある)。

舞台装置はちょっとずつ違う。例えば主人公がエスパーだったり(オレンジロード)、活発な子が妹だったり(みゆき)、おしとやかな人が年上の未亡人だったり(めぞん一刻)。だが、その辺はちょっとしたスパイスであって、話の構造は上記5項目で言い尽くせていると思う。

この構造をより理解するために、こんなマトリクスを書いてみた。

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縦軸に髪の長さ。横軸は性格。それぞれこんな配置になる。

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そう。必ず左上&右下という構図になっているのだ。
おそらく「まだちゃんと恋愛したことがない男の子」にとって、これが分かりやすいのだ。長い髪というのは女の子っぽさの象徴であって、より女の子らしいおしとやかな子の髪は長い。逆にボーイッシュという言葉があるように、元気がよい女の子は髪の毛も男の子みたいだ。
ちなみにこの構図は「ノルウェイの森」でも採用されていて、おしとやかで主人公が愛する直子の髪は長く、活発(というかエキセントリック)で主人公にちょっかいを出す緑の髪は途中ですごく短くなる。

この話、もちろん実際の女の子の性格がそうだ、と言っている訳ではない(実際を語るほど僕は女の子を知らない)。ノルウェイの森の緑も作中で「私、髪が長くて性格が悪い女の子、100人くらい知ってるわよ」と発言している。

実際がどうかはともかく、少年にとっては、髪の毛の長さという記号と中身がマッチしていて、対角線上にある方が分かりやすい、ということだ。特に2人の女の子の間で翻弄される様なストーリーの時は。


もちろん例外を挙げようと思えばたくさんある。一番有名なのは「うる星やつら」のラムちゃんで、髪長&活発だ。だが同様に、左上と右下の王道の組み合わせももっとたくさんあると思う(思いついた人はコメント欄なりTwitterなりで教えてください・・・)。

例外というよりも、画期的だと思ったのはエヴァンゲリオン。僕は世代的にもエヴァンゲリオンファンではないが、当時のフィーバーを横で見ていて関心したのを覚えている。これは、「みゆき」や「オレンジロード」の組み合わせが定番としてあったからこその、革命ですよ・・。

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あと、お嫁さん選びで有名なドラクエ5は左上(フローラ)と右上(ビアンカ)だが、ビアンカの髪がショートだったら、伝統的な少年漫画の構造に沿うし、その場合は反射的にフローラを選ぶ人がもっと多かったり、むしろストーリー自体もフローラがメインヒロインになっていたかもしれない・・。(ふたりともロングヘアになったのは、小さなアイコンにした時にショートカットだと男の子に見えてしまうという事情があったのかもしれない)
どちらにせよ、エヴァンゲリオンもドラクエも、1980年代にあまりに定型化が進んだことへのアンチテーゼなのだろう。

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前に面白かったのは、社内ミーティングのIcebreakerでこのマトリクスを使って「あなたの理想の女の子は?」というアンケートを取ってみたら、弊社の男子諸君は見事に左上⇒右下の斜め線の上にプロットしたことだ。

社員の個人情報を守るために写真を掲載するのは控えて模式図に留めるが、マッピングされたドットは見事に左肩上がりの直線上に乗っていた。少年時代からの刷り込みのちからだろうか・・。少なくとも何らかの文化的な背景がありそう。(ちなみに女性に好きな女の子について聞いてみたら、この直線上には乗らなかった。やはり男子には何らかの偏見がある・・)

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さて。
ここまで書いたのは100%お遊びなのでフェミニストの人とかマンガマニアの人とか怒らないで欲しいのだが、僕らはコンサルタントという職業がら、こんな感じのマトリクスを使って遊ぶことがままある。
Icebreakerでもマトリクスのどこ?というお題を出すこともあるし、オフィスには全社員のマグネットを貼った、大きなマトリクスが飾ってあったりもする。
なぜそんな遊びをするかと言えば、プロジェクトメンバーが自己開示をし合うことによりOPENなプロジェクトカルチャーを作るためでもあるし、遊びを通じて本業でクールなマトリクスを考案するスキルを身につけようとする意図もある。新刊「リーダーが育つ 変革プロジェクトの教科書」でも、Icebreakerで使うようなマトリクスをいくつか紹介した。

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そこまでマトリクスにこだわるのは、本業である変革プロジェクトで、マトリクスをうまく使うと劇的にコミュニケーションがよくなるからだ。僕は20年ファシリテーターをやっているので、議論を活性化させ、意思決定を導くための色々な引き出しを持っているが、マトリクスはもっとも使い勝手が良いものの一つだ。

マトリクスを使って真面目な議論をする例としては、ずいぶん前にこんなブログを書いた。
変革プロジェクトの立ち上げマトリクス、あるいはカルチャーによって変わる対処法
このマトリクスは今でも初めて会う方に聞くことが多いし、4象限のどこに位置するかによって、プロジェクトの立ち上げ方を調整する。

戦略立案みたいな、重めのテーマに取り組むきっかけづくりにもマトリクスは活躍する。
先日はケンブリッジ自身の関西エリアの事業戦略を議論したのだが、皆に考案してもらったマトリクス(例えば、どんなプロジェクトをやりたいか?どんな価値を顧客に提供したいか?どう成長したいか?を議論するマトリクス)に全メンバーの意見をマッピングしていった。
単純に「あれ?みんながやりたいのは実はこれだったの?」という、お互いに対する発見もあったし、「今はここだけど、こういうルートでこっちに行きたいね」という今後の発展を意識した議論にもマトリクスは適している。
一番重要なこととして、「戦略を立案せよ」と言われると普通考え方が分からずに硬直してしまうのに、マトリクスのどこに行きたい?であれば、まずは自分の考えを表明できることだ。だからお客さんメンバーが議論をガツガツ戦わせるのに慣れていない方々の場合こそ、威力を発揮する。
「リーダーが育つ 変革プロジェクトの教科書」はその名の通り、リーダーシップに縁遠い人々のポテンシャルを引き出す方法を書いた本なので、かなりのページを割いて、マトリクスを変革プロジェクトに活用する方法を紹介した。
お客さんとやったプロジェクト事例を詳しく紹介したり、良いマトリクスを作るコツも書いてみた。もちろんここであげたような不真面目な例ではなく、真面目な例も多く載せたので、興味がある人は読んでみて欲しい(その部分だけ本屋で立ち読みする手もある・・)。

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