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公取委によるJASRACへの排除命令でニコニコ動画はどうなるのか

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昨年の4月に公取委がJASRACに立ち入り検査をした件、ほとんど記憶からなくなりかけていましたが、結局、排除命令が出るようです(ソース)。

この件で問題とされていたのは、放送局に対する「包括利用許諾契約」つまり、曲の使用ごとに料金を計算するのではなく、十把一絡げで料金を支払う方式です。これがJASRAC以外の著作権管理団体の参入障壁になっていると判断されたわけです。

包括利用許諾契約がなくなると、放送局の人は番組で使う曲を集計して報告しなくてはならなくなりますので、大変そうですが、どっちにしろこの作業は今までもやっていたのではないでしょうか?(放送局の現場についてはよく知りませんが。)

さて、この排除命令がJASRACとニコニコ動画との関係においても適用されるかどうかはわかりません。しかし、仮に1曲ずつ報告が必要ということになっても、ニコ動はコンピュータで動いているわけですから、集計作業はプログラムを追加すれば比較的容易に実現できると思います。

ただ、投稿者に使用楽曲を入力してもらう仕組みが必要となります。ニコ動と同様にJASRACと契約しているソニーの動画投稿サイトeyeVioでは、動画投稿時に楽曲の番号をデータベースで検索して入力する仕組みになっています。ニコ動でも同じ仕組みをJASRAC、イーライセンス、(そしていずれは)JRC向けに実装すれば良いと思います。(本当は各著作権管理団体が自分の管理楽曲のデータベースをWeb APIで公開してくれれば理想的なのですが)。

そもそも、1曲ずつ報告する方式では、アクセスが多かった作品の作者に多くライセンス料が渡るようになります。ニコ動での楽曲使用のパターンは世間でのヒット曲のパターンとはかなり異なると思いますので、こちらの方が明らかに公平でしょう。

Comment(5)

コメント

t0mori

放送に関わっているものですが、少なくともアニメやドラマなどのパッケージビジネスに噛んでいる物は、パッケージ化の際に新たに使用料が発生するので記録していますが、それ以外は正確な記録などしていないと思います。

toorisugari

IT系の人間ですが、そのくらい集計するのは技術的には難しくも何ともありません。「手間がかかりすぎる」なんて大嘘も良い所です。 iTunes Storeだって一曲単位で集計していますよね?

放送局が集計していないのは放送局の怠慢です。もっと言えば彼らはクリエイターに金を払いたくないから、すべて『使途不明金』として処理することで、JASRACと共謀したと言っても過言ではないでしょう。

栗原潔

方向性としては、放送局も全曲報告の方向性にあったようですね。で、NHKは実現しつつあると、
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060825/246469/

いずれにせよ、多少は手作業運用が残っているであろう放送局の場合ととは異なり、ニコ動等のネットサービスは基本的にシステムで自動化されてますので、全曲報告もそれほど難しくはないでしょう。

むかし、ラジオDEごめん(中京テレビ)という番組で、嘉門達夫氏が替え歌などを歌っている横でアシスタントが逐一使用曲をメモっていたのを思い出して懐かしくなりました。

物作り屋

この件の本質論だけ書いておきます。昔はラジオ・テレビ・雑誌などの二次使用媒体は、全て申告をしていたのです。それをJASRACと文化庁が、著作権法を改正して、包括というアバウトな形もOKと言う事にしたのです。JASRACが出来て30年以上の長い間、日本には著作権管理団体がJASRACしか無かったのです。その間に第2JASRACの話もあったのですが、JASRACが余りにも大きくなりすぎ、それに対向できる状況作りが難しく、また、JASRACが、何時しか文化庁など官僚の天下り団体に確りなってしまったことが大きな原因です。包括方式を認めることにより、使用楽曲不明の入金が多くなる形に持って行った、と言うことは支払先不明のお金と言うことです。それはひとえにJASRACが自由に分配して使えるお金が増えたと言うことです。また、現在のJASRACの役員構成をみてもレコード業界、音楽出版社出身者も見当たりません。現在、官僚の天下りで問題になっている団体と同じ問題なのです。B-CASカード問題、ETCカード問題、などと同じ構図になってしまっているのです。ですからiPodやブルーレイ課金問題も、ある意味同じで、複製問題にかこつけて包括契約にして支払先が確定しない形を取りたがっているのです。結局、業界の発展を阻害し、ユーザーに不利益になることでも、自分たちのことだけしか考えていないのが、今のJASRACの本質です。ニコニコ動画も市場に参加するからには、権利を守ってビジネスをするのは当然のことです。デジタル時代なのですからカウント方法はいくらでもできます。著作権管理団体としてその業務を独占してきたのですから、カウント方法のシステムを構築して解放し、他の著作権管理会社が市場に容易に参加できる形を取れる用にする責任があります。JASRACはアーチストを含めたクリエーターが頑張り、それにお金を使ってくれたユーザーの為にある事を忘れています。増して、JASRACは滅茶苦茶儲かっているのですから。

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