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プログラミングでメシが食えるか!?

ミスの背景

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プログラマーとしてすでに30年くらい仕事をしてきて、最近になって「ひょっとして?」と気がついたことが1つあります。大したことではありませんし、勉強の偏差値の話しとかが絡むので、読んだ人がイラッとくる内容かも知れないのですが、まあ、このブログは自分のために自分で好きなことを書くのがポリシーなので、忘れないうちに書いておきます。

受託開発でも製品開発でも同じなのですが、長年この仕事で気になっていたことの1つが「完璧さ」に関することです。技術的に難しくてできないとか性能が出ないとかではなく、「作り忘れた」「確認し忘れた」「渡し忘れた」「書き忘れた」など、単純なことです。

私はずっと「気合いが足りない」「配慮が足りない」「メモしておくなど忘れない工夫が足りない」「心がこめられていない」などの原因だと思っていたのですが、確かにそういう要因もあるものの、もっと根本的なことなのではないかと最近思いつきました。

自慢話ではないのですが、私は中学時代、5教科の偏差値が平均73位でした。偏差値はテストの難易度によりますが、わかりやすく表現すると、100点満点のテストで大体全部95点位は取っているようなイメージだったと思います。自慢話ではないと言い切れるのは、高校時代には勉強に興味がなくなり偏差値が出るテストは1回しかうけませんでしたが偏差値47でしたので、偏差値が良いというのはいわゆる頭が良いという表現とはあまり関係ないと思っています。まあ、それはさておき、中学時代のテストで満点近くを取り続けるというのは、「しっかり勉強をする」というよりは、「いかにミスをしないか」がポイントだったと当時から考えていました。

中学くらいまでの勉強は、興味がない人は別として、どう頑張っても理解できないという内容はほとんどないのではと思います。考えて解くタイプも記憶するタイプも、その気になればほとんどの人ができる内容という意味です。まあ、義務教育ですしね。すると、テストで高得点を取るためには、基本的にはほとんど解けるはずのテストを、ミスなく仕上げることがポイントだったと私は感じていました。

ミスをなくすためには、何度も見直すことも大事かも知れませんが、見直しには先入観があるため、自分で解いた問題を自分で見直しても意外とミスに気がつかないもので、私は見直すよりも「1回目に十分気をつけて解答する」方がはるかに大事だと考えていました。さらに、十分に気をつけるということに関連して、「出題者が何を考えながらこの問題を作ったのか」を考えるようにしていました。引っかけ問題などは出題者の立場で考えると意外と意図が見えてきたりするものです。

そんな感じで、「とにかくミスをしない」ということばかりを考えていた中学時代があったおかげか、私はプログラマーの仕事でもミスがかなり少ない方だと思います。要するに、「頭が良いか悪いか」というよりは、単純に「ミスをしないためにどうすれば良いか」という考え方に慣れていただけ、ということだと思うわけです。

私の職場でのメンバー達は、私よりはるかにプログラミングに関する技術に詳しい連中ばかりです。プログラミング言語はもちろん、OSやカーネルの知識・アルゴリズムなど、私より断然詳しいですし、プログラミングにかける情熱も私どころではありません。でも、私からすると彼らは簡単なミス、とくに「抜け」が多いと感じているのです。せっかく難しいことはクリアーしているのに、つまらないところでミスを繰り返すと、とうぜん依頼者側からは「信用できない」というイメージを持たれてしまいます。もちろん、彼らはいろいろなことに詳しいので、「ミスを防ぐための仕組み作り」も燃えて取り組みますが、仕組みが機能するためには結局誰かがチェックポイントを設定していかねばなりませんから、繰り返し同じミスが発生することは防げたとしても、1回目のミスはなかなか防げないものだと私は思っています。1回目のミスを防ぐためにはやっぱり当人達が「最初から十分気をつけて作る」「どういうミスをしてしまいそうかを自分で想定しながら進める」など、テストで満点を取るためと同じような感じで考える必要があるのではないかと気がついたのでした。そういうことをあまりしてこなかった人に、「気合いが足りん!」などと怒鳴りつけても改善されることはなかなか難しいのではないかと思うのでした。

ちなみに、中学時代の私はテストだけでなく全てのことに関してミスを恐れて、とても臆病で引っ込み思案な性格でした。当時の私は自分で大嫌いです。確かに成績だけは滅茶苦茶良かったものの、あらゆることにチャレンジしない、度胸のない弱虫でした。何事も過ぎたるは及ばざるが如しですし、バランスも大切です。幸い高校時代に勉強に関心がなくなり、グレて落ちこぼれて、職員室に呼び出されたり、父親からも相手にされなくなったりして、怖いものがなくなり、うまいことバランスが取れて良かったと本人は思っていますが、親はせっかく進学校に入ったのにさぞかしがっかりしたことでしょうね・・・。

ミスを防ぐには気合いではなく、ミスの起きる背景を考えること、という感じでしょうか。

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