マネー・ボールから学ぶ。経験からくる山勘は邪魔になる。
最下位の弱小球団だったオークランド・アスレチックスが、他のチームの6分の1の経費で、年俸最高額を誇るヤンキースをぎりぎりまで追いつめた奇跡の物語、マネー・ボール (MONEY BALL) の紹介です。映画、本ともにおすすめです。
映画:監督ベネット・ミラー 本:マイケル・ルイス (中山宥=訳)
ゼネラル・マネージャーのビリー・ビーンは、出塁率や奪三振率などの数値を重視しました。これらのデータ分析により、今まで見逃されていた選手を起用することでチームをプレーオフ進出に導きました。
埋もれていた選手を安い費用で獲得することにより、潤沢な資金 = 強いチームが作れる、という当時の常識を覆しました。
つまり、資金をどれだけたくさん持っているかではなく、どれだけ有効に活用できるか、が成功の秘密でした。投資効率を高めるために的を絞る。そのためにはデータ分析が重要になる、というわけです。
でも、データ分析を重要視する代わりに、ある考え方をあきらめる必要がありました。
それは選手を偏見から解き放ち、非科学的な評価をやめることです。経験に伴う山勘やら甘ったるい感情は邪魔になるからです。
ゼネラル・マネージャーのビリーは元メジャーリーガーです。彼は試合を生で見ることはありませんでした。なぜなら、興奮して野球科学を忘れるからです。感情部分が人の判断を鈍らせると、ビリーは考えていました。
逆に野球経験が無いゆえに、理論的な判断ができる例もありました。
物語でビリーがレッドソックスのゼネラル・マネージャへのスカウトを断った後、セオ・エプスタインという若者が就任しました。28歳のエール大学卒業生。野球経験無しです。しかし、就任から2年後、彼はレッドソックスをワールドシリーズに導き、制覇しました。
極端に解釈をすると、判断に必要なデータを選択し、それを信じて行動に移す能力さえあれば、業界経験は必須ではなくなる可能性が今後あるということです。実に怖い実例でした。
IT業界ではいま、 "Business Analytics" という言葉があります。
何でもバズらせてしまうIT業界なので鵜呑みはいけませんが無視もいけません。
"Business Analytics" とは、クエリー、レポート、分析という今までのBIに、言葉通りのアナリティクスという2つの組み合わせに、DWHも加え "Business Anayltics" と定義しています (By IDC)
定義なんかより、分かりやすい映像はこちらをご覧ください。
変化に飛んだ現状を把握して、近未来を予測する "Business Analytics" 、野球の世界でオークランド・アスレチックスのゼネラル・マネージャーのビリー・ビーンが実践しました。
もしこれが普通の業界なら、とうの昔にライバルを片っ端から買収して、ビリー・ビーンは一大帝国を築いていたでしょう。Google, Amazon, Oracleなどのように。
IT業界で有名なデータに関する言葉を紹介しておきます。自分自身のためにも。
"Data is king (By Amazon) Don't believe me believe the numbers (By Oracle)"