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Androidタブレット『WebStation』(台湾・Camangi Corp.)の次期製品(2010年末)と技適マークについて

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昨日のブログ

2010/06/21 Camangi Japan宍戸社長を訪問してAndroidタブレット『WebStation』を借りてきました

の続編となります。

  1. 次世代機について
  2. Camangiの優位性

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1.次世代機について

現行機種のスペック(http://www.camangi.com/jp/tech.html)も併せてご参照頂きたいところですが、昨日のガプシス(http://www.gapsis.jp/)・@GaApps さんの記事にて既に、

  • Android 2.2(Froyo)を搭載
  • 1GHz駆動程度の高速CPUが採用される方針
  • 抵抗膜方式のタッチパネルから、静電容量方式のパネルに変更することを検討
  • Bluetoothに関しては技術基準適合証明取得にかかるコストを考慮し検討中

という情報が提供されておりますが、これに加えて、

  • CPUはARM9/1GHz (※)が有力候補
  • システムメモリ(現行128MB)およびフラッシュメモリ(現行256MB)もスペックアップを実施
  • 現在は、Wi-FiおよびUSBインターフェイスによりイーモバイルなどの3G通信を行っていますが、外付けではなく、3GのSIMカードを内蔵できるモデルの提供も検討しているとのことです
  • 法人向けOEM/ODMの強化(※)

※ARM9
  http://www.arm.com/products/processors/classic/arm9/index.php

 Arm9

※JETROのOEM/ODM解説
 https://www.jetro.go.jp/world/qa/i_basic/04A-011247

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といった情報を頂きました。(全てを公開できないので、この範囲にてご容赦下さい。)

本年1月からの初期版出荷開始、4月からのバージョンアップ版出荷、6月からパソコン工房での販売開始と、この半年間でAndroid7インチタブレットの販売について、徐々に経験・ナレッジも積まれ、パートナー候補も増加傾向にありますし、昨日のGaApps さんの記事および当方のブログやTwitterのコミュニケーションからも、引き合いは更に増加傾向にありそうです。

Camangi Japan社としても、次のステップにどんどん進めたい状況かとは思いますが、

Androidタブレット端末はAndroidマーケットからアプリケーションをダウンロード&インストールできない

という現状(今回の訪問で、初めて知りました)は、Camangi Marketという独自のアプリ市場立ち上げと、アプリベンダーの誘導という労と時間とコストを掛けなければならず、もちろん、現在ある100ほどのアプリで満足されるユーザ層も多いかもしれませんが、選択肢が多い方がユーザのすそ野が広がる事は間違いなにので、Camangi社というよりも世界のAndroidタブレット市場を考えても、GoogleによるAndroidマーケットの早期解放実現を期待したいところです。

また、その実現を待つだけではなく、法人利用の検討も進んでいるようで、PCよりもかなり小さく・軽く、スマホの倍近い画面サイズという7インチタブレットというポジション・優位性は、プライベートクラウド化された企業アプリケーションのフィールドでの活用や、いいじゃんネット社のCAHATTO(http://www.cachatto.com/)のようなセキュアなモバイルアクセスとの連動により、ニーズが高まっていくものと想定しています。
(この場合は、iPadや他のタブレットPCも競合ゾーンに入ってくるかと思われますが。)

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2.Camangiの優位性

なぜCamangi Japanぐらいしか、日本でAndroidタブレットを販売していないのだろうか?と考えてみると、初期市場でまだ魅力が無いからだからとか、リーマンショック以降の景気が悪いからとか、複合的な要素は想定できるわけですが、私が真っ先に思いつくものが

『技適マーク取得』と『知財対策』 です。

当方の過去ログ

2010/04/19 輸入したiPadを使うのに技術基準適合認定マーク(技適マーク)を個人で取得する必要があるというので、聞いてみた。 ざっくり10万円! 更に、技術資料が必須です。

2010/05/06 藤末健三さんと、勝間和代さんのtweetやり取りに見るiPad並行輸入モノの扱い。

にも書かせて頂いた通りに、通信機能を有するデバイスは、単純に輸入・持ち込みして使ってよいというというものではないわけです。

技術基準適合認定マーク(技適マーク)が無ければ使ってはいけないものであり、かつ個人でマークを取得しようにも、必要な資料・材料が揃わないばかりか、費用的にも、その通信種別ごとに加算され、何れにしても合法的に使うためには現実的ではないという状況に陥ります。

今回訪問したCamangi社のWebStation端末の場合においても、3Gは外付けなのでWi-Fi(それもb/gのみでn無し)端末ですが、ざっくり500万円ぐらいは掛かっているということです。

Camangi_webstation_ulvccifcccemic
UL/VCCI/FCC/CE/技適マークがプリントされたWebStation

仮に1,000台の端末を@1万円=1,000万円で輸入できたとしても、技適マークのコストが乗っかることで、@1.5万円に跳ね上がってしまいます。 更に、次期モデルで、3GのSIMが内蔵される場合、その分の技適マーク取得コストはアップし、実装を検討中のBluetoothも加われば、ざっくり1,000万以上は掛かかる事が想定されます。

この他にも、ローカライズコスト(マニュアル類など)、知財費用(特許・意匠・商標)、サポートを含む営業コストが乗っかってくるわけですから、『売れる』という判断や、『売る』という強い意志がないと、どうしても英語圏や母国語圏に留まってしまうことでしょうし、Camangi社の知材投資は、約80のパテントを国際出願しており、今後も各国対応を進めるとなれば、かなりの費用が掛かっていることが想定されます。

つまり、『技術力が高い』『デザインが良い』『製造コストが安い』では日本に進出できないということなのです。

私見ではありますが、多くのベンダーが参入し、競争し、製品を高め、広い顧客層に受け入れられ、大手も参入し・・・という流れができてこそ、このAndroidタブレット市場が育っていくものと考えています。

特に、技適マークのような認証については、各国仕様でほぼ似たような検査を実施するということのようで、できれば、他国の認証で相互乗り入れできるような検査認証方式に変更して欲しいと思います。

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