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営業がいらない時代(1)私たちの日常は営業を必要としていない

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今日のランチは何にしようかと考える。そうだ、カレーにしようと思い立つ。さて、何処のカレー屋が美味しいだろう。客先への訪問のついでであり、はじめての場所だ。土地勘もなければ、どんなお店があるのかも分からない。ならば、Googleで検索すればいい。

「近くの美味しいカレー」

そうスマホに入力するだけで、近辺のカレー屋さん情報が表示される。その店の説明だけではない、他の人が食べた感想やランキングまで教えてくれる。そんな情報を一通り眺め、よし、この店にしようと地図をクリックすれば、経路までガイドしてくれる。

syokuji_curry_man.png

お店に入りおすすめのカレーを注文する。出てきたカレーを写真に撮る。「欧風カレーなのでマイルドだと思っていたが、なかなかスパイシー。フォンドブォーでじっくり煮込んでいるので味には深みがある。また来てしまいそう。」とのコメント共にソーシャル・メディアにアップロードする。そして、それを見た人が、「行ったことがある」、「行ってみたい」とコメントし、そんなやり取りを見た人が、それではと、その店に足を運ぶ。

店の亭主が広告を出したわけではない。誰かが売り込んだわけでもない。広告や宣伝のために代金を支払ったわけではない。誰か売り込んでくれたわけでもなければ、エスコートして道案内をしてくれたわけではない。それでもお客様がやってくる。

ショッピング・サイトを新しく立ち上げたいと思っている。どんなソフトウエアやサービスを組み合わせればいいだろう。それを動かすためのクラウド・サービスは、何がいいのだろうか。決済やカードの仕組みを組み込む必要があるが、どのような手続きをすればいいのだろう。そもそも、自分たちではWebサイトのデザインや制作はできないから、プロに仕事を頼みたい。どこに頼めばコスト・パフォーマンスのいい仕事をしてもらえるのだろう。

そんな情報は全てネットで検索すればいい。分からないことだけをWebの問い合わせフォームに書き込めばいい。そうやって必要な情報を収集し、整理して、自分でプランを作ればいい。必要な手続きもほぼネットだけで完結する。デザインや段取りなどは打ち合わせしておいた方がいいので、その時だけ担当者に来てもらおう。

ERP(会計、販売、生産などの基幹業務を管理する)システムを刷新したい。既に10年も同じシステムを使い続けてきたが、その間、自分たちを取り巻くビジネス環境が大きく変わり、新たなビジネス・モデルへの転換が必要となった。どのシステムが自分たちのビジネスにはふさわしいのだろう。それを動かすクラウド・サービスも見つけなくてはいけない。さて、この仕事はどこに頼めばいいだろう。

いま出入りしているSI事業者に相談すれば、自分たちの抱えているソフトウエア・パッケージをすすめてくるのは分かっている。また一度相談をすれば、具体的な提案をさせろとか、検討の進捗はどうかと聞かれるので面倒だ。まずはその前に自分たちにふさわしいやり方を自分たちなりに決めて、選択肢を絞っておきたい。

製品やサービスの機能や性能、取り組みの事例や課題などの情報は、ネットにいくらでもある。まずは、自分たちのやりたいことを明確にしておいて、詳細な情報や金額を聞くときに営業に声をかけることにしよう。

何かをしたい、手に入れたいと考えたとき、まずはネット検索するのが当たり前になった。まずは営業に来てもらおうと考える人はいないだろう。そして、必要な情報を手に入れたなら、次にこちらがやって欲しいことを依頼する。見積や値引きの交渉、契約や手配などは、営業に頼まなくてはならないが、それは仕方のないことだ。でも売り込みはして欲しくない。だから、できるだけ自分たちで調べ、判断し、必要最低限を営業に依頼する。

私たちは、こんな日常を当たり前に受け入れている。

人間の営業は面倒だから使いたくない

これからは、情報を提供してくれる、見積を持ってきてくれる、契約や手続きをしてくれるのもネットでできる時代になるだろう。AIが進化すれば、こちらのやりたいことや制約条件をネットから入力すれば、何が最適な組合せなのかを教えてくれるようになるだろう。必要な情報収集や問い合わせも、AIによるエージェント・サービスが代行してくれるようになるはずだ。

お客様の問い合わせや依頼に迅速、的確に応えること、お客様の求めに応じて最適な提案をすること、納期やリソースの調整を的確に行い、お客様の要請に応えること。このような仕事は、やがてAIに置き換わり、対話的なコミュニケーション機能を受け持つユーザー・インターフェースが、営業の代わりをしてくれる。

「気は使うし時間も合わせなければならない人間の営業は面倒だから使いたくない」

銀行で窓口が開いていてもATMを使うのと同じ理屈だ。面倒な人間を相手にするより、直接AIに問い合わせるお客様も増えてゆくだろう。AppleのSiriやMicrosoftのCortana、そしてAmazonのAlexaのように、自然な話し言葉で問い合わせたり指示したりできるようになれば、ますます「ものわかりの悪い」、あるいは「融通の利かない」人間の営業などを相手にするよりも「AIの営業」の方がよほど心地よい相手となる。

では、人間の営業にどのような仕事が残されるのだろう。お客様にゴマをすり、お酒を一緒に飲んで、「なにかありましたら、よろしくお願いします」と言うだけだろうか。 そんなゴマすりとか、接待につき合っているほどお客様は暇ではない。

ネットのない時代には、お客様が情報を収集する手段として営業は大きな役割を果たしていた。様々な手続きや手配も営業に頼らなくてはならなかったが、もはやそんな時代ではない。

担当が変わったら挨拶、新しい製品が出たので挨拶、年末年始だから挨拶。そのたびに自分たちの仕事の時間が奪われる。そうでなくても働き方改革で仕事の時間は短くなり、成果はいままで同様に求められる。そんな時代に営業は、仕事のノイズでしかない。残念ながら、昔のように営業とのやりとりを息抜きとして楽しむほどの余裕はなくなってしまったのだ。私たちの日常は、もはや営業を必要としていないのだ。

明日に続く・・・

営業がいらない時代 掲載予定

  1. 私たちの日常は営業を必要としていない
  2. お客様の期待にも経営者の期待にも応えられない営業に存在意義はない
  3. 「営業がいらない時代」にどうやって生き抜けばいいのだろう
  4. 「営業」を再定義しよう

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【改訂】デジタル・トランスフォーメーションとの関係 p.15
【新規】破壊者は何を破壊するか p.22
【新規】経営者が新規事業を失敗させてしまう7つの罠 p31
【新規】デジタル・トランスフォーメーションのBefore / After p.43
【新規】デジタル・トランスフォーメーションを取り巻く2つの環境 p.55
【新規】DXシステムの実装 p.56
【新規】「学び」の歴史から考える、これからの「学び」 p.193
【新規】これからの時代を生き抜くための3ヶ条 p.194

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【新規】学習と推論の関係、そしてIoT p.77

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ITインフラとプラットフォーム編
【改訂】「境界防衛」から「ゼロトラスト」へ p.108

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