「LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲」より(後編) [働きやすい環境へ]
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さて、前編では本の価格、中編では女性が活躍する会社の話をしました。後編は、「LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 」を読み、自らの家庭を振り返った話、そして子育てに取り組む男性にもある内なる障壁の話です。
振り返って自分の家庭では
現在、我が家には3歳児がおり、私も妻も共働きです。子どもが生まれ、妻が育休後に職場へ復帰する時期を考え始めた際に、妻と次のようなことを緩やかに合意しています(その時々の状況で柔軟に分担しています)。
分担項目 | 妻 | 夫 |
---|---|---|
勤務時間の前提 | 9:00-16:00(当初・時短勤務) 9:00-17:00(現在・裁量勤務) |
9:30-(裁量勤務) |
子どもの送迎 | 夕方 (飲み会時などは交代) |
朝 (出張時などは交代) ※保育士の女性陣にいってらっしゃい、と言われるのがモチベーション! |
子どもの食事の準備 | 朝・夜 | 妻不在時 |
子どものトイレサポート (乳児のときはおむつ替え) |
適宜分担(実績50%) | 適宜分担(実績50%) ※自分の子なら平気! |
子どものお風呂 | 適宜分担(実績50%) | 適宜分担(実績50%) ※身体を洗うことで病気や怪我の発見に役立つ |
子どもの病気時の付き添い | 適宜分担(実績70%) | 適宜分担(実績30%) ※途中で遊びのネタが尽きるが... |
その他の家事 | (それぞれの得意分野で)料理とか水回り ※掃除・片付けは苦手 |
(それぞれの得意分野で)掃除(ルンバ活用!)とか洗濯物 ※料理は正直面倒くさい! |
妻の勤務時間を妥協してもらったのは、私のわがままだったかもしれません。ただ、その後、彼女の働き方を見ると、会社ではとても集中して業務に取り組んでいることが伝わってきます。さらに会社にいる時間だけで終わる仕事は少ないため、子どもが寝た後にも再び仕事をしています(23時頃、家でお互いにPCを開いて仕事をしていることもよくある)。同僚を見ていると、私の家庭に限った話ではなく、子育てしながら働く女性たちの生産性は非常に高いと感じます。
私は、学生時代は教育系の専攻でしたが、特別、小さな子どもが好きだったわけではありません。というより、小さな子どもがどういう存在かを知らなかったと言えます。子どもが生まれた際、3人の子どもを抱えながら第一線で働く女性の同僚が「毎日が発見の連続ですよ」とお祝いのメッセージを伝えてくれたのを覚えています。確かに一緒に過ごしてみると、その通りだと実感します。今が掛け替えのない時間で、少しでも大切に過ごしたいと思っています。
そんな掛け替えのない時間を削り、子どもを保育園に預けて働くことへ妻は当初、罪悪感があったようです。そして、今は小学校入学後に過ごす子どもとの時間の少なさを気にしているようです。
前者については、私も感じることがありました。入園できる保育園が見つかったときには、ほっと安心したものの、子どもがまだ保育園に慣れていない頃は、子どもの泣く姿を見ながら、後ろ髪を引かれる思いで通勤していました。
でも、子どもの順応性は高く、20分もすると泣き止み、一日元気に過ごしていたそうです...(預ける先は信頼できる保育園であることが大前提ですが)。
今、彼は「保育園好きなんだ~、仲間がいるんだよ」、と言っておりとても楽しそうです。
この前者のケースについて、シェリルは、重要なデータを取り上げてくれています。
母親が全面的に育児をした子どもとそれ以外の人が育児に携わった子供のあいだでは、発達に何ら違いは認められなかった
後者の小学校通学時については、今から心配をしていてもしょうがないので、その時点で、その時におかれている状況で考えようと、会話をしています。確定的ではない状況の中では、きっと先送りというアプローチも有効だと信じて。
子育てに取り組む男性にもある内なる障壁
自分はイクメンという言葉が好きではありません。子育てを親がすることは当たり前だと思っているので、何か名付けられ、おだてあげられると嫌な気持ちになります(概してそのように呼ぶのは私の母だったりするのですが...)。ただ、自分で「イクメン」と自称する(へりくだる?)ことで、子育てに参画しやすい状況を作らねばいけない場合がある方もいるでしょう。
同世代の友人たちは、自分の父親のことを語るとき、あまり遊んでもらった記憶がない、いわゆる仕事人間で、家庭は二の次であったように見えた、と言うことがあります。私の父も、自分たちの時代は仕事のために生きているようなものだった、と語ります。その姿を、自分は今、別に悪い印象を持って思い出しません。逆に、時々自分の仕事に対する姿勢とを比較し、反省することがあります。
ただ、父の印象が強かったせいか、子どもが生まれる前は、自分がベビーカーやママチャリで朝、保育園まで子どもを連れて行く光景も格好悪いと思っていたし(大体において自分は自意識過剰です)、17時に子どもをお迎えに行く、と周囲に公言することは考えられませんでした。
子育ての分担が進んで行くと、子育てに集中したいから、自分の昇進の機会を先送りする、諦めるといった男性も出てくるでしょう。それこそ、男性にも潜む、もしくは新たに出現する「内なる障壁」に違いありません。
シェリルは次のように言っています。
私たちは多くのものを勝ち得たけれども、今日なお女性も男性も真の意味での選択肢はもっていない。パートナーが家事や育児を分担するようになり、そして雇用主と同僚から理解と協力を得られるようになるまで、男性にも真の選択肢はない。機会の平等は、その機会の活用を誰もが奨励され応援されるようになったとき初めて真に実現するのであり、そのときこそ男も女も能力を思い切り発揮することができる。
子どもの成長を見据えた親の生き方
子どもの幼少期だけを見て、自分自身の生き方を選択するというのは、どのような影響をもたらすのでしょうか。
自分の親のことを振り返ると、父は働き通して培った技術力を買われて、晩年、家族の誰もが予想しなかった韓国で仕事を始めました。その決断を子どもとして誇りに思っていますし、現役時代の仕事に対する真剣な姿勢をよく思い出します(まだ生きています)。
一方で、自称フリーライターの母は還暦を超えた現在も、常に新しい活動にチャレンジをしています。
様々な親子の形態があるかと思いますが、子育てをしつつも、親は自分自身の生き方も追求すべきだと感じています。その姿勢は成長した子どもにとって、数十年に渡って価値あるメッセージを送ることになるでしょう。
実はTEDの動画は話のトピックが多く、私にとって、文脈がわかりにくいものだったのですが、「LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲 」はその文脈が丁寧に記述されており、これだけのことを書いてみる気持ちにさせてくれる良書でした。
家でも会社でも働きやすい環境づくりに向けて是非どうぞ。