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「リーダーに向いていない」と感じる人がラクになるには

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ロングヘアーが似合う、スラリとした30代前半の女性。プロジェクトをまとめるリーダー候補に抜擢された彼女が私に、「今回研修に参加できて良かったです」と一言。
「ありがとう。どんなところが良かったの?」そう問いかけると、
「今までリーダーというと、皆を引っ張ってまとめていかなければならない。そう思っていて、自分にはとても無理だと思っていました。でも今回の研修でわかったことは、私が皆にとってどんな存在でありたいか。まずはそれをしっかり考えて、自分の仕事に対する姿勢を見せ続けること。それでいいことがわかって、とても気持ちがラクになりました」

さすが!研修の本質をしっかりつかんでいらっしゃる。私はとても嬉しくなりました。

「リーダー」という役割に描くイメージ
「リーダー」というと、どんな人を思い浮かべるでしょうか。リーダーシップには様々な定義がありますが、「リーダーになって」と言われ「向いていません」と返答したり、顔を曇らせたり強張らせたりする人は、リーダーに対して次のようなイメージを持っていることが多いようです。
・リーダーは人を引っ張らなければならない
・リーダーは人気者でなければならない
・リーダーは完璧でなければならない
・リーダーは家庭は二の次
・リーダーは24時間体制
・リーダーは孤独
など

実は私もそのようなイメージをずっと描いていました。というのは、私が社会に出た頃はバブル景気が真っ盛り。「24時間働けますか?」と問われ、肩パットがどーんと入ったスーツに身を包み、誰にも隙を見せず、ガンガン、バリバリ働くのが「出世街道を進む人」。そしてそれが「かっこいい」という刷り込みがなされていたからです。

そんなこともあり、リーダーという役割に対しては、先のようなイメージを40代にさしかかる頃までずっと持ち続けていました。

そんな私が「リーダーシップ」の考え方を変えたのは、起業後なかなかうまくいかず悩んでいたとき。その理由は、実は私は「代表」という仕事だけは「絶対に向いていない」、「そんな器ではない」と本気で思っていたから。でも、自分のやりたいこと、性格を鑑みると既存の組織で物事を進められそうにない。そこでやむをえず起業という道を選択したのですが、「代表」という役割にはずっと馴染めずにいたのです。

しかしあるとき、次のようなリーダーシップの定義に出あいます。

第28章 リーダーにカリスマ性はいらない~リーダーシップへの誤解
リーダーシップは手段にすぎない
リーダーシップはカリスマ性と無縁
リーダーシップとは仕事である
効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜きそれを目に見える形で明確に定義し、確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持するものである。
リーダーシップとは責任である
リーダーシップとは信頼である
『実践する経営者』ダイヤモンド社刊 2004年第1刷 P.197~141

上記はドラッカーの書籍からの引用ですが、この文章を見つけたときに本当に救われた気がしました。特に「組織の使命を考え抜く(何のためにこの組織は存在するのか、誰の、どのような役に立ちたいのか、そのために自分はどうありたいのか)」という点においては、そこだけはしっかりもてている自信があったからです。

そして今は、それすらも自分一人で考える必要はなく、仲間に意見をもらったり、自分ができないことは誰かの力を借りればよいことがわかり、最初に持っていたリーダーのイメージとは真逆ぐらいの感覚を持つにいたっています。

なので、彼女が「ラクになった」と話してくれたことが、ことの他嬉しかったのです。

私のように時代の流れの中で、誤った認識を持ち続けたまま、マネジメント職やリーダー職を担っている人は多いかもしれません。そして、そんな上司、先輩の考え方に触れる中で「マネジメントやリーダー職なんて絶対に嫌」という人も少なくないように思います。

しかし、マネジメントやリーダーに指名される人は、先のドラッカーの定義で言えば「仕事に真摯に向き合えている人」と言えます。そこが誰よりも光っている、ということなのではないでしょうか。

それでも「リーダーには向いていない」と感じるとき
もしそれでも「向いていない」と感じるときは、ドラッカー学会の理事(事務局長)、翻訳家として幅広く活躍される井坂康志さんが考案された「5つの質問の樹」をもとに、自分たちの組織、プロジェクト、チームの「ミッション」、「顧客」、「顧客の価値」、「私たちにとっての成果」について考えてみる、あるいは、メンバーと話し合ってみてはいかがでしょうか。5つの質問の樹(井坂康志様).pngのサムネイル画像のサムネイル画像リーダーってやってみる価値ありますよ。

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